執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
豪雇用統計でRBAへの利上げ期待が高まる？
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は95.09円前後で、NZドル/円は88.18円前後で週初を迎えました。
10日はこの日発表された中国6月消費者物価指数（CPI）が予想を下回り前年比±0.0%と横ばいだったことで、中国の景気鈍化懸念が高まり、豪ドル、NZドルの上値を抑えました。また、前週末から米ドル/円に調整の動きがあり、急速に円高に振れたことで豪ドル/円とNZドル/円も下げ幅を拡大しました。12日に発表された米6月CPIと13日の米6月生産者物価指数（PPI）がともに市場予想を下回り前月から大きく低下を示しました。これを受け、米景気鈍化懸念が後退しリスクオンの動きとなり豪ドル/円、NZドル/円ともに買い戻しが優勢となりました（執筆時）。
豪雇用統計で8月利上げの可能性を占う？
今週は20日に豪6月雇用統計が発表されます。前回（5月分）は雇用者数が大幅に増加。豪州の労働市場が引き続きひっ迫していることを示す結果となりました。今回発表される6月分の市場予想は、雇用者数が1.4万人増、失業率が3.6%、労働参加率は66.9%となっています。失業率と労働参加率は前月から横ばいの予想です。雇用者数は5月に統計開始以来初めて1400万人台に乗せました。失業率は昨年の7月、10月、11月に記録した3.4%が過去最低ですので、低水準と言えるでしょう。労働参加率は5月の66.9%が過去最高となりました。
【豪4月、5月雇用統計結果】
2020年始めからの豪州の雇用者数の推移を見ると、コロナ禍の初期は非常勤の雇用者数が増加していましたが、その後は正規の雇用者数が順調に増えたことがわかります。（表1参照）
【表1：豪州雇用者数の推移 2020年～】
この正規雇用者採用の力強さが、平均賃金が上昇する一因であり、インフレを下支えしている可能性が考えられます。そのため、今回の豪6月雇用統計でも雇用の質の部分に注目したいと思います。つまり正規雇用者数の増減です。正規雇用者数が増加していれば、「豪州の労働市場のひっ迫は続いている」との見方から、RBAの追加利上げ期待が高まり豪ドルには買い圧力がかかってきそうです。
一方で、正規雇用者数が減少していた場合ですが、前述した通り豪州の労働市場は過去最高に強いため、豪ドル売りは短期的なものになるのではないでしょうか。
米国の景気動向に注目
12日と13日に発表された米6月CPIと米6月PPIは米国のインフレ鈍化を示唆する結果となりました。そのため、市場は米連邦準備制度理事会（FRB）による年内の追加利上げは、「多くてもあと1回」と見ています。来週は米6月小売売上高や、米6月住宅着工件数などの経済指標の発表が予定されています。インフレ鈍化が確認できた状況で景気が上向いている経済指標結果が出れば、リスクオンの動きとなり米株価が上昇し、豪ドルは株価に連れて上昇するとみています。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円はこれまでサポートとして意識されていた日足一目均衡表・基準線を下抜けてしまいました。目先は「基準線を早期に上抜けられるか？」になります。上抜けに成功した場合は7/5高値の96.83円前後が次の上値目途となりそうです。一方で下値は、7/12安値の93.21円前後が目途として意識されそうです。また、来週は一目均衡表の雲がジリジリと上昇してきますので、雲が下支え出来るかも注目点となります。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：93.00-97.50、NZD/JPY：86.00-90.00
7/17 週のイベント:
07/17 (月) 11:00 中国 4-6月期四半期国内総生産（GDP）
07/17 (月) 11:00 中国 6月小売売上高
07/17 (月) 11:00 中国 6月鉱工業生産
07/18 (火) 10:30 豪 豪準備銀行（RBA）、金融政策会合議事要旨公表
07/19 (水) 07:45 NZ 4-6月期四半期消費者物価（ＣＰＩ）
07/20 (木) 10:30 豪 6月新規雇用者数
07/20 (木) 10:30 豪 6月失業率
一言コメント：
水曜日にJリーグを観に行ってきました。当日は気温がかなり高く、ビールだけでは危険だと思い、麦茶を多めに持っていきましたが大正解でした。暑くて汗が大量に出るのでアルコールだけ飲んでいたらふらふらになっていたと思います。みなさんもこれからの時期はBBQやスポーツ観戦など、外でアルコールを口にする機会が増えると思います。アルコール以外の水分補給も忘れないようにしましょう。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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