主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年6月29日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼28日(水)の為替相場
(1):政府高官の円安けん制発言続く
(2):豪月次CPIが大幅鈍化
(3):ECBフォーラムで主要国中央銀行トップが発言
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:145.00円を意識した相場展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
28日(水)の為替相場
期間:28日(水)午前6時10分~29日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):政府高官の円安けん制発言続く
神田財務官は「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視」「過度な動きがあれば適切に対応」と述べて円安の動きをけん制した。午後には鈴木財務相も「足元でやや一方的な動きが見られる」として「行き過ぎた動きには適切に対応する」と発言した。
(2):豪月次CPIが大幅鈍化
豪5月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.6%と市場予想(+6.1%)を下回り、前月(+6.8%)から大幅に伸びが鈍化した。これを受けて豪中銀(RBA)の7月利上げ観測が後退すると豪ドルは売りが強まった。
(3):ECBフォーラムで主要国中央銀行トップが発言
欧州中銀(ECB)主催の国際会議「ECBフォーラム」のパネルディスカッションに、ラガルドECB総裁、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長、ベイリー英中銀(BOE)総裁、植田日銀総裁が登壇。ラガルド総裁は「コアインフレが低下している十分な証拠はない」として「現時点では利上げ休止は考えていない」などと発言。パウエル議長は「あと2回の利上げが多数派」とした上で「連続利上げの可能性も選択肢から排除しない」と述べた。ベイリー総裁は「データはインフレが持続する兆しを示唆している」として目標達成に向けて断固対応する姿勢を強調した。欧米の中銀トップが揃ってインフレ抑制に向けたタカ派スタンスを示した一方、植田総裁は「基調的なインフレ率は(目標の)2%より少し低いと考えている」「年末にかけてインフレの伸びは鈍化する見通し」として早期の緩和修正に慎重な姿勢を改めて示した。ただ、植田総裁は2024年にはインフレがいくぶん加速すると予想しているが、この見通しについてはさほど確信が持てない」とした上で「(見通しに)妥当な確信が持てれば、政策を変更する良い理由となる可能性はある」と述べた。
28日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:145.00円を意識した相場展開
昨日のドル/円は年初来高値を再び更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀の金融政策の方向性の違いからドル買い・円売りが加速。NY市場で144.61円前後まで続伸して昨年11月10日以来の高値を付けた。パウエルFRB議長が改めて年内2回の利上げの可能性を示唆した一方、植田日銀総裁は「基調的なインフレ率は(目標の)2%より少し低いと考えている」として早期の緩和修正に慎重な姿勢を強調した。
ドル/円は高値更新後にいくぶん調整が入ったものの144円台を維持しており、本日は心理的節目の145.00円を意識した相場展開となりそうだ。ただし、本邦当局による円買い介入への警戒感がくすぶる中で一気に145円台に乗せるのは容易ではないだろう。政府筋による円安けん制(口先介入)のトーンが一段と上がるかにも関心が集まりそうだ。仮に145.00円を突破して上伸するとすれば、介入警戒感がいくぶん薄れる欧米市場だろう。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:パウエルFRB議長発言
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※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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