主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年5月22日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼19日(金)の為替相場
(1):本邦CPI 伸びが加速
(2):ラガルドECB総裁 タカ派的発言
(3):FRBの6月金利据え置き観測高まる
(4):米債務上限問題を巡る交渉が難航
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:上値の重い展開/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
19日(金)の為替相場
期間:19日(金)午前6時10分~20日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦CPI 伸びが加速
日本4月消費者物価指数(CPI)は、日銀が注目する生鮮食品を除いたコアベースで前年比+3.4%と予想に一致。前月(+3.1%)から上昇幅が拡大した。伸びが加速するのは3カ月ぶり。その後、植田日銀総裁はコアCPIについて「今年度半ばにかけて2%を下回る水準までプラス幅を縮小する」との見通しを示した上で「現在はしっかりと金融緩和を続けていくことが必要」とあらためて発言した。
(2):ラガルドECB総裁 タカ派的発言
欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は「ECBはインフレ率を2%に下げるため必要な決断を下す」 「政策金利は依然として持続的に高水準である必要がある」などと発言した。
(3):FRBの6月金利据え置き観測高まる
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「金利をそれほど引き上げる必要はないかもしれない」と発言。地銀破綻などによる信用不安の影響を考慮して利上げを停止する可能性を示唆した。イエレン米財務長官が大手銀行幹部に対し、さらなる銀行合併が必要となる可能性があると語ったこともほぼ同時に伝わった。6月にFRBが利上げを見送るとの観測が高まりドル売りが活発化した。
(4):米債務上限問題を巡る交渉が難航
米債務上限引き上げを巡る交渉で、野党共和党側の担当者が突然退席したことが伝わった。交渉に参加した共和党のグレイス下院議員は「(協議)が生産的でないため、中断を決めた」と発言した。その後、米ホワイトハウスは「予算に関して両者間に実質的な相違がある」「超党派の債務解決策に向けて一生懸命取り組んでいる」と説明。この日の夜には協議が再開されることになった。
19日(金)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:上値の重い展開
19日のドル/円は、NY市場でドル売りが強まると137円台へと反落。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「金利をそれほど引き上げる必要はないかもしれない」と発言したことを受けて6月の利上げ停止観測が高まった。米債務上限問題を巡るホワイトハウスと共和党の協議が一時中断したと伝わったことも重しとなり137.42円前後まで下落した。終値は前日比0.5%安の137.97円前後だった。パウエルFRB議長のハト派発言を受けて、米金利先物市場では6月の25bp(0.25%)ポイント利上げの織り込みが17%程度まで低下。前日には36%程度まで上昇していた。
米債務上限交渉の一時停止については、与野党の駆け引きが続く中、前日にはマッカーシー下院議長(共和党)が楽観的な見方を示していただけに市場心理を悪化させた。とはいえ、市場には債務上限引き上げで合意できないまま米国が債務不履行(デフォルト)に陥るとの観測はまだほとんどない。あくまでも与野党の「チキンレース」であり、最終的には引き上げに合意せざるを得ないとの見方が強い中、本日行われるバイデン大統領とマッカーシー下院議長の会談にも市場の注目が集まりそうだ。本日のドル/円は、FRBの利上げ停止観測と米債務上限問題を巡る不透明感で上値の重い展開が予想される。
注目の経済指標:欧消費者信頼感
注目のイベント:米債務上限問題を巡る交渉
※時間は日本時間での表示になります。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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