執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼米ドル/円は136円後半のゾーン割れに警戒、米FOMCは1.00％利上げも
- ▼7月18日週の米ドル/円は高値圏で不安定な動き
- ▼米重要イベント目白押し
- ▼米ドル/円、136.800-137.000円ゾーン割れに注意
- 7/25 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年7月22日 16時00分
米ドル/円は136円後半のゾーン割れに警戒、米FOMCは1.00％利上げも
7月18日週の米ドル/円は高値圏で不安定な動き
ユーロが反騰した影響から、ドルロングポジションの巻き戻しが誘発され、ドル/円は137.380円まで下げたあと、日銀による大規模緩和の継続性から138.875円まで切り返しました。しかし、米国のさえないファンダメンタルズを受けた成長への不安感が重荷になり137.021円まで下げるなど、金融政策と景気を巡る思惑に挟まれてトレンドは明確になりませんでした。
米重要イベント目白押し
27日にFOMC、翌28日に米4-6月期四半期実質国内総生産（GDP、速報値）、そして29日に米6月個人消費支出（PCE）と続きます。13日に公表された地区連銀報告書では「複数地区が需要減速の兆候が高まっている」と報告したほか、「5地区からは景気後退リスクが高まった」ことが明らかになりました。また、全ての地区で大幅な物価上昇が確認され「少なくとも年内は価格上昇圧力が続く見込み」との見解も見られました。FRBの積極的な金融引き締めが需要を抑制し始めている点は、政策の効果が出始めていると考えられ好感できますが、肝心の物価抑制の効果は局所的にとどまっています。こうした状況のうちは、FRBもそう簡単にタカ派姿勢を崩せないと見るべきで、市場コンセンサスの0.75％を超える1.00％利上げもあるかもしれません。
足もとの一連の弱い経済指標を受け市場に動揺が広がったところで、何となく今度は投資家がパウエルプットを期待しているような雰囲気も感じられます。こうした期待がもろくも打ち砕かれれば、株式市場を中心にリスク資産圧縮の流れが強まる危険があります。この場合、米ドル高から米ドル/円は一時的に140.000円を目指すかもしれませんが、世界的な景気の先行き不透明感から、その滞空時間は短いかもしれません。また、新たに日銀審議員に就任する高田、田村氏の会見が25日に行われます。高田氏はリフレ慎重派とあって、現状の大規模緩和政策の副作用を問題視する発言などが聞かれたときには、円が買い戻される可能性もありそうです。
米ドル/円、136.800-137.000円ゾーン割れに注意
テクニカル的には底堅い動きが続いており、再度、140円トライに向けて下値を切り上げていきそうです。ただし、137.000円を割り込んだ時には警戒が必要と考えます。137.000円は上昇過程で上向きの勢いが加速した地点であるほか、その下の136.800円レベルに21日移動平均線が控えるなど、短期的には重視したいレベルです。このゾーンを下回れば、日足一目均衡表・基準線が位置する135.762円（執筆時点）まで、目線が下がりそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：135.500-140.000
7/25 週のイベント:
7/25(月) ― 日本 日銀審議委員に就任する高田、田村両氏、記者会見
7/26(火) 08:50 日本 日銀・金融政策決定会合議事要旨
7/26(火) 22:00 米国 5月住宅価格指数
7/26(火) 23:00 米国 7月消費者信頼感指数（コンファレンス・ボード）
7/26(火) 23:00 米国 6月新築住宅販売件数
7/27(水) 21:30 米国 6月耐久財受注
7/27(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）、終了後政策金利発表
7/27(水) 27:30 米国 パウエル米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長、定例記者会見
7/28(木) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
7/28(木) 21:30 米国 4-6月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、速報値）
7/28(木) 21:30 米国 4-6月期四半期ＧＤＰ個人消費・速報値
7/28(木) 21:30 米国 4-6月期四半期コアＰＣＥ・速報値
7/28(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
7/29(金) 08:30 日本 7月東京都区部消費者物価指数（ＣＰＩ、生鮮食料品除く）
7/29(金) 08:30 日本 6月失業率
7/29(金) 08:50 日本 6月鉱工業生産・速報値
7/29(金) 21:30 米国 4-6月期四半期雇用コスト指数
7/29(金) 21:30 米国 6月個人所得
7/29(金) 21:30 米国 6月個人消費支出（ＰＣＥ）
7/29(金) 22:45 米国 7月シカゴ購買部協会景気指数
7/29(金) 23:00 米国 7月ミシガン大学消費者態度指数・確報値
一言コメント
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