
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2026年3月13日 18時00分
ECBのインフレ警戒スタンスはどの程度か!ポンドは高値圏でもみ合いか
ユーロ円・ポンド円は高値もみ合い
ユーロ円やポンド円は後半に失速しました。週前半にはG7が緊急石油備蓄の共同放出を協議するとの報道を受けて、ユーロ円は184.076円を試す場面もありました。しかし、中東情勢の緊迫化が続き、上昇一巡後は182.295円付近まで押し戻されました。また、ポンド円も一時213.303円まで上昇しました。その後は高値もみ合う展開になりましたが、週末前のポジション調整から、ポンド円は211.105円付近へ上げ幅を縮小しました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
視線は中東情勢に向かいがちだが、ECBのタカ派には警戒
■ユーロの見通し
来週はECB理事会が最大の焦点になります。市場の関心は単純な据え置きかどうかだけではなく、原油高を受けたインフレ再燃リスクにECBがどこまで警戒感を示すかに移っています。ECB当局者からは、物価安定を守る姿勢を崩さないとの発信が出ており、今回の会合も完全な「無風通過」とは言い切れません。そのため、政策金利自体に大きな変更がなくても、ラガルド総裁がインフレや賃金動向への警戒を強めるトーンを示せば、ユーロが買い戻される余地はあります。ただし、足元の相場ではECBよりも中東情勢と原油の動きの方が影響力は大きく、ユーロ円は結局、原油相場とリスク選好の変化に左右されやすい地合いが続きそうです。
■ポンドの見通し
英国では3月19日にBOEの金融政策発表が予定されています。市場では、3月会合は政策金利を3.75%に据え置くとの見方が中心です。また、年内はなお複数回の利下げが見込まれているものの、次回利下げの時期は4月か6月かで判断が割れています。つまり、従来のように「すぐ利下げ」という見方は後退した一方、利下げそのものが消えたわけではありません。
原油高が長引けばインフレ再加速への警戒が強まりやすく、BOEの慎重姿勢がポンドを支える可能性はありますが、地政学リスクが残る局面では一方向の上昇にはつながりにくいとみられます。したがって、ポンド円も高値圏を保ちながら、材料待ちの展開になりやすいのではないかと考えています。
ユーロ円とポンド円(テクニカル分析)
■ユーロ円:三角保ち合いで方向感出にくい
ユーロ円は長期的な上昇基調を維持しているものの、現在は高値圏での保ち合いに入り、方向感を欠く展開が続いています。高値が切り下がり、安値が切り上がる形で値幅が縮小しており、相場はエネルギーを溜める「三角保ち合い」に近い状態です。RSI(47.9)は中立の50をわずかに下回り、過熱感のない中でやや売り優勢ながらも、明確なトレンドは出ていません。
短期的には、5日移動平均線を回復できない場合は100日移動平均線(182.217円)を試す可能性があります。100日線は強いサポートとして意識され、ここで反発できれば押し目買いの好機となりますが、日足で明確に割り込むと180円台前半までの調整も視野に入ります。一方で、現在値や100日線付近で下げ止まり、5日線を上抜いて184.50円を突破できれば、再び186円台の高値を試す展開が期待されます。
■ポンド円:100日線までの下押し局面は買いか
ポンド円は長期的な上昇トレンドを維持している一方で、直近では5日移動平均線を割り込み、短期的な調整局面に入っています。100日移動平均線(208.80円)が右肩上がりを続けていることから、大局的な上昇基調は崩れていませんが、足元では上昇の勢いが一服し、押し目を形成しつつある状況です。RSIは50を上回っており基調の強さは残るものの、ピークからは下向きに転じており、過熱感が解消された中立寄りの状態となっています。
短期的には、5日線の下で推移が続く場合、ポンド円は211円台前半から210円台へと調整が進み、最終的には100日線(208.80円)を試す可能性があります。ただし、長期トレンドが上向きであるため、こうした下落局面は押し目買いの好機として意識されやすい環境です。一方で、現在値付近で下げ止まり、5日線(212.42円)を早期に回復できれば、調整が浅く済んだと判断され、3月11日の高値213.303円の突破、さらには年初来高値214.998円を再び試す展開も期待されます。
【ユーロ円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:EUR/JPY:180.000-185.500
【ポンド円チャート 日足】

出典:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:GBP/JPY:208.000-215.000
2026年3月16日~3月20日の重要経済指標・イベントスケジュール
3/16(月)
- 21:30 アメリカ 3月ニューヨーク連銀製造業景気指数
3/17(火)
- 19:00 ユーロ 3月ZEW景況感調査
3/18(水)
- 未定 日本 春闘の集中回答日
- 19:00 ユーロ 2月消費者物価指数(改定値)
- 21:30 アメリカ 2月卸売物価指数
- 27:00 アメリカ FOMC政策金利発表
- 27:30 アメリカ パウエルFRB議長 記者会見
3/19(木)
- 未定 日本 日銀金融政策決定会合・政策金利発表
- 8:50 日本 対外・対内証券売買契約等の状況
- 15:30 日本 植田日銀総裁 記者会見
- 16:00 イギリス 2月失業率
- 17:30 スイス スイス国立銀行政策金利
- 21:00 イギリス BOE政策金利発表
- 21:00 イギリス MPC議事要旨
- 21:30 アメリカ 新規失業保険申請件数
- 22:15 ユーロ ECB政策金利
- 22:45 ユーロ ラガルドECB総裁 記者会見
3/20(金)
- 19:00 ユーロ 1月貿易収支
一言コメント
春に向かう空気の中で雪が降り、気温が急に冷え込んだ今回のような状況は、まさに季節が足踏みする“寒の戻り”そのものと言えます。
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