通商問題
トランプ大統領は4月2日にすべての輸入品に対する一律10%の関税からメキシコとカナダを除外した。USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に準拠したメキシコとカナダからの輸入品は、自動車と鉄鋼・アルミニウム(3月に発動された25%の関税)を除き、引き続き関税がほぼ免除されることになった。
メキシコは米国の相互関税免除を受けて対抗措置を行うことを見送った。シェインバウム大統領は3日に両国関係が良好なおかげでトランプ氏の会話の意欲に感謝すると述べた。
メキシコ経済
9日にINEGI(メキシコ国家統計地理情報局)が発表した3月のCPIは前年同月比で3.8%と2月の3.77%から上昇した。食品とエネルギーを除くコア指数は3.64%の上昇となり2月の3.65%からは低下した。 メキシコのインフレ率は中銀の政策目標の上限の4%を3か月連続で下回っている。
IMF(国際通貨基金)は22日に世界経済見通しを発表した。メキシコの経済成長を25年は-0.3%とし1月の見通しから1.7%下方修正、26年を1.4%とし1月の見通しから0.6%引き下げた。IMFは下方修正の理由として経済成長が予想より弱まること、米国の関税による影響、不確実性と地政学的な緊張、資金調達条件の引き締まりなどを上げている。
このIMFの決定に対してシェインバウム大統領は、24~25年の経済活動の低下は米国の関税の影響、それに伴う不確実性と地政学的な緊張の高まり、資金調達条件の悪化を反映していると述べた。そのうえで公共投資が経済活動の縮小を抑え、米国の関税を受けた国内産業の活性化を目指す政府の取り組みであるプラン・メキシコの有効性を主張した。
一方でロイターが4月21~25日に実施した調査によると25年のメキシコのGDP予想は中央値で0.2%となり1月の1.2%から大幅に低下した。
メキシコ政府の成長見通しは1.5~2.3%となっている。
メキシコペソの投資戦略
29日の執筆時点で4月のドルペソは19.4590~21.0776ペソのレンジになっている。4月の月初に米国がトリプル安となった流れでドルペソは4月9日に21.0776までペソ安が加速した。その後はトランプ政権が10日に上乗せ関税を中国を除き90日間停止したことや、トランプ大統領がパウエル議長の解任を考えていないと発言したことで市場は落ち着きを取り戻した。
ここまでサポートされていた19.80ペソ付近、200日移動平均線が位置する19.75ペソ付近を下抜けして19.4590ペソまで下落した。
ここまでサポートとなっていた20ペソ付近が短期的なレジスタンスになっている。20ペソ付近がレジスタンスになれば19~20ペソのレンジを予想する。
ペソ円の4月のレンジは6.84~7.409円のレンジとなっている。7.37円付近に75日移動平均線が位置しており、ここがレジスタンスとなり7.1~7.37円のレンジを予想する。
【メキシコペソ/円 日足】
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当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。

株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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