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日経平均7万円へ!朝倉慶×武者陵司が語る円安・インフレ時代の資産防衛術〖BOOK REVIEW〗

投資ストラテジストの武者陵司氏と経済アナリストの朝倉慶氏。経済観は異なるが、二人は同じ結論に辿り着いた——「生き延びるために株を買え」。本書はその理由を、鋭く、かつ丁寧に解き明かす対談本です。

💡 なぜ今この本を読むべきか?

インフレと円安が進む中、現金や預金で資産を守ろうとすることのリスクはかつてなく高まっています。株を「リスク資産」として警戒する発想から、「通貨価値の低下から身を守る手段」として捉え直す——本書は、その発想の転換を静かに、しかし力強く促しています。

🎯 こんな人に読んでほしい

● 円安・インフレが進む中で、資産をどう守ればいいか悩んでいる方
● 株高の構造的な要因を経済理論で理解したい方
● 給料が上がりにくい時代に現実的な資産形成を考えている方

📊 なぜ「株はもう下がらない」のか?

1987年のブラックマンデー以降、株価が大きく崩れるたびに政府と中央銀行が市場に介入し、流動性を供給して下支えする仕組みが定着してきました。朝倉氏はこれを「人類が恐慌から抜け出す手段を発見した」と表現しています。

武者氏は、リーマンショック後の構造変化に着目します。銀行が企業や個人に貸し出すことで経済に資金が循環する構造が機能不全に陥り、金利を動かす従来型の金融政策も効きにくくなった。そこで台頭したのが「資産価格を上げることで経済を刺激する」という発想です。資産価格が上がれば人々の財布の紐が緩む——いわゆる「資産効果」を利用した経済運営への転換が起きたと指摘します。

一方、朝倉氏はこれに同意しつつ独自の視点を加えます。日本は政府債務が膨大なため、金利を大幅に引き上げれば利払い費が急増し財政の持続可能性が危うくなります。そのプレッシャーから日銀はインフレ率に見合うまで金利を上げられず、実質金利マイナスが常態化する。この政策対応が、円安・インフレを加速させ、株高を生む構造的な要因だと分析しています。

📈 株価と実体経済の「乖離」が示すもの

本書で最も示唆深いのが、株価と経済規模(GDP)の乖離に関する指摘です。2008年のリーマンショック以降、日経平均株価は約7倍、ナスダック指数は約20倍に上昇しました。しかし同期間の世界のGDPの伸びはわずか1.2倍程度にとどまります。

実体経済の成長と株価の上昇がこれほど乖離している——これが意味するのは「株だけが上がる世界」への構造転換だ、と朝倉氏は分析します。だから朝倉氏の主張はシンプルで強烈です。株を「投資先として選ぶ」のではなく、貯蓄や現金から「株に逃げる」しかない、と。

🏛️ 日本株大相場の前夜——歴史が示すシグナル

二人が共鳴する重要な視点があります。「株式市場の大相場には、必ず政策の大転換が伴う」という歴史的法則です。

● 2003年:りそな銀行の国有化(金融危機への政策対応)
● 2008年:リーマンショック後の大規模金融緩和
● 2013年:アベノミクスによる異次元緩和

これらはいずれも、政策の転換点と大相場が連動しています。そして2025年10月に誕生した高市政権のもとで財政政策においてレジームチェンジが起きようとしています。緊縮から積極財政への転換をマーケットは好感し、日経平均株価は6万円を突破しています。

⚖️ 高市政権の経済政策——二人の評価が分かれる理由

積極財政を掲げる高市政権への評価では、二人の見方が鮮明に割れます。

●朝倉氏の見方

朝倉氏の評価は厳しい。日本では深刻な供給制約に直面しており、そこに政府が需要を刺激する政策を重ねれば「悪性インフレが加速するだけ」と警鐘を鳴らします。

●武者氏の見方

武者氏はこれに反論します。グローバル化やテクノロジーの進化が世界規模でデフレ圧力を生み出し続けているため、需要不足こそが本質的な問題だと言います。だから政府が積極的に財政出動し、需要を生み出すことが必要だと主張します。

また武者氏は、朝倉氏の「悪性インフレ」論に対してこう切り返します。「もし本当に悪性インフレなら、株価は上がらず暴落するはず。しかし現実には企業業績は拡大し、株価は上昇している。つまり株高はマネー価値低下だけで説明できる現象ではない」と。

📝 まとめ:給料が増えない時代の「生存戦略」

二人の経済観は異なります。インフレへの危機感も、政策に対する評価も違います。それでも「生き延びるために株を買え」という結論は完全に一致しました。

給料が大きく増えにくい経済環境の中で、現金や預金だけで資産を守ろうとすることのリスクはかつてなく高まっています。株を「リスク資産」として警戒するのではなく、「インフレから身を守る手段」として捉え直す。そうした発想の転換を、本書は静かに、しかし力強く促しています。

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asakura.jpg 経済アナリスト
朝倉慶(あさくら・けい)
1954年、埼玉県生まれ。1977年、明治大学政治経済学部卒業後、証券会社に勤務するも3年で独立。顧客向けに発行するレポートが、この数年の経済予測をことごとく的中させる。船井幸雄氏が著書のなかで「経済予測の超プロ・K氏」として紹介し、一躍注目される。 2008年に初めて著書を出版し、以降、ベストセラーとなる本を次々と出版。

yoshizaki.jpg武者陵司氏
1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券(株)に入社。 1988年~1993年ニューヨーク駐在、(株)大和総研アメリカでチーフアナリスト、米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券(株)調査部長兼チーフストラテジスト、2005年ドイツ証券(株)副会長を経て、2009年(株)武者リサーチを設立。 著書に『株価7万円の最強日本経済』等がある。

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