執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中！
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は91.91円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は85.54円前後で週初を迎えました。米中の関税摩擦は、双方にとって有益ではなく歩み寄りは可能との意見が米中両国から示されている中で、トランプ関税を巡る過度の警戒感が後退。資源国通貨でリスクセンチメントに豪ドルやNZドルは買戻しが優勢となりました。1日に開催された日銀金融政策決定会合で、日銀が早期の追加利上げに慎重との見方が広がり円が広範に売られたことも相まって、豪ドル/円は93.48円前後、NZドル/円は86.44円前後まで上値を伸ばす場面も見られました（執筆時）。
米中貿易摩擦の進展に注目
来週は豪州にて注目の経済指標の発表は予定されていません。そのため、豪ドルは海外要因中心の展開になりそうです。豪州と交易関係の強い中国は、米国との関税合戦を展開するなど景気先行きに不安が生じていました。ただ両国ともこの争いを長続きさせることは有益ではないとの認識を持っているようです。問題はどちらが歩み寄りを見せるのかということです。中国商務省の報道官は24日に「貿易戦争は米国が一方的に引き起こした」とし、「米国が問題を解決したければ、全ての関税措置を撤廃すべきだ」と主張。一方で、ベッセント米財務長官は1日に「中国がまず高関税を引き下げる必要がある」との語っています。米国側から協議の申し出があったことを明かしていますが、妥協点を見つけることは一筋縄ではいかないでしょう。そうとはいえ、解決に向けて少しでも進展があれば豪ドルにとってもポジティブ材料になり得ますので、引き続き米中貿易摩擦を巡る、米中両国の発信には注目です。
豪ドル急落を招く可能性がある金の輸出
1日に発表された豪1-3月期貿易収支では対米貿易収支が41億豪ドルの黒字（前年同期は62億豪ドルの赤字）となっていました。トランプ関税の発動を控え、関税の対象外として見られていた金が関税の対象になった場合に備えて駆け込みの輸出が急増していたことが主な要因です。一時的なものと考えられますが、トランプ関税の不透明感もあり、今後も金の需要が増加していくことが見込まれています。仮に金の需要が持続し、豪州の対米貿易収支黒字が続けば、米国から法外な関税を課される可能性も出てきます。この場合は豪ドルが急落することも考えられますので、豪州の貿易収支の動向に注視が必要です。
豪ドル/円のテクニカル分析
今週の豪ドル/円は日足一目均衡表・基準線がサポートして機能しました。来週も目先の下値目途として意識されそうです。その下の水準では先週22日安値の89.64円前後がサポートになりそうです。一方上値は4月2日高値の95.31円前後が目先の上値目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：91.00-95.50、NZD/JPY：84.50-88.50
4/28週のイベント:
05/06 (火) 10:30 豪 3月住宅建設許可件数
05/06 (火) 10:45 中国 4月財新サービス部門購買担当者景気指数（PMI）
05/07 (水) 07:45 NZ 1-3月期四半期就業者数増減
05/07 (水) 07:45 NZ 1-3月期四半期失業率
一言コメント：
世間はゴールデンウィーク真っ只中。私もカレンダー通り今週末は4連休となります。ただ、連休明けの7日には米連邦公開市場委員会（FOMC）が開催せれるので、市場動向はしっかり追っていこうと思います。
お知らせ：FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
