執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年12月1日 15時10分
148円中心に振幅か、米利下げ開始は5月軸に前後
11月27日週の米ドル/円は売り先行
米国の利上げ停止観測が燻る中で、米金融当局者のハト派な発言内容が重しとなり、米ドル/円は146.656円と9月12日以来の安値圏を付けました。その後は、足許の下落スピードが速かったことへの調整からショートカバーが誘発されたほか、月末関連の米ドル買いフローも手伝って、148.50円付近まで持ち直しました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
テーマが「引き締め」から「緩和」へ
米国の利上げ停止が濃厚となる中で、次のステージ(いつ頃、利下げに踏み切るか)へ市場の視線が動き始めています。為替相場の反応も、インフレを警戒する経済指標よりも、インフレ鈍化を示唆する経済指標への反応が大きくなり始めており、「引き締めサイクル」から「緩和サイクル」へテーマが変わったように感じです。では、緩和がテーマだとするなら、利下げの時期がいつ頃になるかが投資家の次の関心事となります。2000年以降の緩和局面を調べると、利下げ局面は3回ありましたが、その時の利上げ停止から利下げ開始までの間隔を調べると、平均10カ月となっています。今回は7月の利上げが最後とすれば、利下げ開始は来年5月頃となり、金利先物市場でもこうした予測が反映されています。
今後、利下げ開始の予想中央値の5月を軸として、これよりも前倒しされるのか、それとも後ろ倒しとなるかを経済指標や各当局者の発言などから汲み取っていくことになるでしょう。来週はISM非製造業景況指標や雇用統計の結果が、利下げ開始を巡る期待感をどちらに向かせるかが注目されます。雇用統計は、これまでの累積的な利上げの影響から労働市場の鈍化傾向は意識されるものの、ストライキ終了で一時的に低下トレンドから上振れると見られ、利下げの織り込みは緩みそうです。結果的に米ドル/円は、147.00円-149.00円を中核レンジとした推移に落ち着くのではないでしょうか。ただ、最初に述べたように、ネガティブな指標への反応が強く出やすい環境にあるため、下方向へ動き出した場合の方が、値幅を広げそうです。
米ドル/円、上下に抵抗帯(チャート分析)
米ドル/円は、上方向は日足一目雲、11月13日高値(151.910円)からの下降トレンドライン、下方向は7月28日安値(138.065円)を起点とするフィボナッチファンの50%ラインや100日移動平均線がそれぞれ抵抗帯として意識されます。今後、上下どちらにブレイクするか着目されそうで、レンジブレイクまでは、少しもみ合い相場が続くかもしれません。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:146.000-150.000
12/4 週のイベント:
12/4(月) 24:00 米国 10月製造業新規受注
12/5(火) 8:30 日本 11月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
12/5(火) 23:45 米国 11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI、改定値)
12/5(火) 23:45 米国 11月総合購買担当者景気指数(PMI、改定値)
12/5(火) 24:00 米国 10月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
12/5(火) 24:00 米国 11月ISM非製造業景況指数
12/6(水) 22:15 米国 11月ADP雇用統計
12/6(水) 22:30 米国 10月貿易収支
12/6(水) 22:30 米国 7-9月期四半期非農業部門労働生産性・改定値
12/7(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
12/7(木) 21:30 米国 11月チャレンジャー人員削減数
12/7(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
12/8(金) 8:30 日本 10月毎月勤労統計調査
12/8(金) 8:50 日本 7-9月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
12/8(金) 8:50 日本 10月国際収支・経常収支
12/8(金) 8:50 日本 10月国際収支・貿易収支
12/8(金) 14:00 日本 11月景気ウオッチャー調査
12/8(金) 22:30 米国 11月雇用統計
12/8(金) 24:00 米国 12月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
一言コメント
昼が20度以上になる日があれば、10度程度までしか上がらない日があるなど寒暖の激しい日が続いています。服選びを間違えると、汗をかきながら出勤となったり、逆に凍えながらの帰宅だったりと、体への負荷もばかになりません。ご自愛くださいませ。
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