執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼6月19日週のユーロ/円とポンド/円は上伸
- ▼マクロでは買いだが、ミクロは不安
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼180円前半で押し目買い検討
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 6/26 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年6月23日 17時00分
ストップロスをタイトに設定し買い回転、ユーロは159円からは戻り売り
6月19日週のユーロ/円とポンド/円は上伸
米ドル/円が143円台へ上昇する中、為替市場全体で円安が優勢となり、ユーロ/円は2008年9月以来の156.925円、ポンド/円は182.557円まで上伸しました。ただ、ポンド/円については、英中銀が市場予想0.25%を上回る0.5%利上げに踏み切りましたが、英国のスタグフレーションへの懸念から、ポンド押し上げへの手掛かりにはなりづらかったようです。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、ドル円143円は時間の問題?虎視眈々と (2023年6月22日)- YouTube
マクロでは買いだが、ミクロは不安
ECBによる7月利上げ観測やインフレ見通しの引き上げに加えて、エネルギー価格の低下によるユーロ圏の経常収支の黒字化と、ユーロの支援材料は増えつつあります。当面、ユーロの下値は限定されそうです。しかし、1-3月期の四半期域内総生産(GDP)がマイナスへ落ち込んでいるほか、景況感改善が一服しつつあり、成長への不安が広がりつつある点は気になります。
6月26日のドイツ6月IFO企業景況感指数や6月28日のドイツ7月GFK消費者信頼感調査が頭打ち傾向を示す結果となれば、ユーロ圏の景気の先行き不安を強め、ユーロ上昇の勢いが後退する危険があるかもしれません。マクロ的な環境はユーロ買いを支援していると思われますが、ミクロな材料が完全にユーロ高を支援しているとは言えず、高値掴みにならないように気を付けるべきでしょう。ストップロスをタイトに設定しながら、慎重に押し目レベルを見極めて短期売買を中心に考えたいです。
ユーロ/円はトレンド的には堅調な推移が続いており、2022年10月21日高値(148.403円)と2023年1月3日安値(137.386円)の値幅の倍返しとなる159.420円付近までの上昇余地はあるでしょう。6月20日安値(154.051円)からの上昇幅の61.8%押しとなる155.15円レベルでは押し目買いを検討して上値を伸ばすことを期待したいです。
ただ、5月11日安値(146.129円)を起点に考えれば、現在は推進5波と見られるため、その値幅は推進1波と同じ値幅程度の上昇と見るなら、158.989円付近では上値追いの勢いが限られてくることになるため、159円付近からは戻り売りを狙うことも検討したいです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:153.500-159.000
180円前半で押し目買い検討
英中銀は大方の予想に反し0.5%の利上げをし、政策金利を5.00%としました。また、ベイリー英中銀総裁も「圧力が持続すれば一段の踏み込みが必要となる」として、金利が来年序盤に6%前後と見る市場のスタンスを否定しませんでしたので、ポンドは底堅い動きがしばらく続きそうです。また、欧州ではユーロやノルウェーなども利上げの継続を示唆しており、欧州のタカ派進展がポンドへの期待感を高めている側面もあります。今週は、ポルトガル・シントラで開催されるECBフォーラムに各中銀総裁が集まるため、ベイリー総裁が改めてタカ派な認識を示せば、ポンドのさらなる上昇が期待できそうです。ただ、足もとの円安を受けた本邦要人による口先介入が少し強まる危険もあるため注意は怠れません。
ポンド/円は上昇のモメンタムを維持しながら下値を切り上げる格好になっており、地合いの好調さが窺えます。上値目途は2015年11月の安値である184.242円となる一方、下値の目途は6月16日の安値(178.809円)付近と考えますので、期間21日ボリンジャーバンドの+1σレベルである180.22円付近では押し目を拾うことをまずは検討したいです。ただし、6月20日の安値(179.926円)を割り込んできたら、一度ポジションをクローズして179.000円割れまで待ってから新たにポジション構築を考えたいです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:178.500-184.500
6/26 週のイベント
6/26(月) 17:00 ドイツ 6月IFO企業景況感指数
6/28(水) 15:00 ドイツ 7月GFK消費者信頼感調査
6/28(水) 22:30 ― パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、植田日銀総裁、ベイリー中銀総裁、パネル討論会に参加
6/29(木) 17:30 イギリス 5月消費者信用残高
6/29(木) 18:00 ユーロ 6月消費者信頼感(確定値)
6/29(木) 18:00 ユーロ 6月経済信頼感
6/29(木) 21:00 ドイツ 6月消費者物価指数(CPI、速報値)
6/30(金) 15:00 イギリス 1-3月期四半期国内総生産(GDP、改定値)
6/30(金) 15:00 イギリス 1-3月期四半期経常収支
6/30(金) 16:55 ドイツ 6月失業者数
6/30(金) 16:55 ドイツ 6月失業率
6/30(金) 18:00 ユーロ 5月失業率
6/30(金) 18:00 ユーロ 6月消費者物価指数(HICP、速報値)
一言コメント
22日のトルコ中銀政策金利が市場予想に届かずにトルコリラはじりじりと下落してきて不気味な感じです。欧州経済や金融市場に影響が出ないことを願うばかりです。
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