
中東の緊張下でも「3.57円前後」で底堅さをキープ
中東情勢の緊張が一気に高まりましたが、トルコリラ円は大きく崩れることなく3.57円前後で推移しました。この背景には、中東の混乱による「原油高」が日本にとっての「円安要因(輸入コスト増)」となり、結果的にトルコリラが対円で下がる圧力をうまく打ち消してくれたという構図があります。
トルコの注目ポイント3つ:中銀会合と「実質的な引き締め」/中東情勢と原油高リスク/日銀の動向と「春闘」
中銀会合と「実質的な引き締め」
今週最大の注目は、3月12日のトルコ中央銀行の政策金利発表です。トルコでは物価の上昇(インフレ)が再びやや加速しており、今回は政策金利を「37%で据え置き」とする予想が優勢となっています。
注目したいのは、表面的な金利は変わらなくても、トルコ当局が市場に出回るお金を調整し、実質的な金利を40%近くまで引き上げている点です。これが現在のリラを下支えしています。発表で「インフレを抑えるため、利下げは急がない」という強い姿勢が示されれば、リラにとって良い材料になります。
中東情勢と原油高リスク:ホルムズ海峡の緊張が与える影響
今週の相場を考える上で外せないのが、イランを巡る中東リスクと原油高です。世界の石油やLNG(液化天然ガス)の約2割が通過する重要拠点「ホルムズ海峡」では、現在タンカーの通行が事実上ゼロに落ち込むなど、エネルギー供給への不安から原油価格がイラン攻撃前より上昇しています。
この原油高は、トルコと日本の両国に異なる形で痛手を与えます。
- トルコへの影響: エネルギー輸入の負担が増え、国内の物価高(インフレ)がさらに悪化してしまいます。これは「リラ安」の要因です。
- 日本への影響: 輸入コストが上昇して経済の負担になるため、「円安」が進みやすくなります。
つまり、中東リスクは「リラにとっての悪材料」であると同時に「円にとっての悪材料」でもあります。両方の通貨が弱くなりやすいため、リラ円の相場が一方的に大きく下がりにくい(暴落しにくい)という複雑な状況を生んでいます。ただし、軍事衝突の不安がさらに高まると、投資家が一斉に「安全資産である円」を買う動き(リスク回避の円買い)に走り、急激なリラ安・円高を引き起こす危険があるため油断はできません。
日銀の動向と「春闘」の結果
日本では、日銀の追加利上げがあるかどうかが引き続き大きなテーマです。上記のような原油高は日本の景気を冷やす恐れがあるため、今のところ「3月は利上げを見送り、4月以降に再検討する」という見方がやや優勢です。
ただし、今週発表される「春闘」の集中回答で高い賃上げが確認されれば、日銀が利上げに踏み切る後押しになり、「円高」が進むリスクも残っています。
チャートからわかる値動きのポイント

① 現在の状況(短期的には回復中だが、油断は禁物)
先週一番安かった3.517円から、現在は3.58円近辺まで少しずつ値段が戻ってきています。ただ、長い目で見ると「全体としては下がっている途中の、一時的な反発」と見るのが自然です。少し上がると「今のうちに売っておこう」と考える人が増えやすいため、上がったからといって慌てて買うのは要注意の1週間です。
② 上がるための「壁」
今後値段が上がっていく場合、まずは3.60円、さらにその上の3.62円付近が「これ以上は上がりにくい壁」として意識されやすいポイントです。
③ 下がる場合の「ストッパー」
もし値段が下がる場合、3.517円で下げ止まるかどうかが最初の関門になります。もし3.517円をはっきりと突き抜けて下がってしまうと、次は3.460円の方向へ落ち込んでしまうリスクが高まります。
今後の予想シナリオ(想定レンジ:3.52円~3.62円)
- メインシナリオ: トルコが金利据え置き、日銀の利上げ見送りムード続けば、現在の水準(3.52~3.62円)で神経質な値動きが続く見込みです。
- 上昇シナリオ: トルコ中銀が「必要ならさらに金利を上げる」などの強気な姿勢を見せ、3.60円の壁を超えて3.62円~3.65円へと上がる期待が持てます。
- 下落シナリオ: 中東情勢の悪化で「原油高+リスク回避の円買い」が同時に起きたりすると、これまで相場を支えていたバランスが崩れ、一気に3.45円前後まで急落する危険性があります。
今後の重要イベントまとめ
- 3月12日(木): トルコ中央銀行 政策金利発表(日本時間20:00)★最重要
- 3月中旬: 日本の春闘 集中回答(高い賃上げなら日銀の利上げ観測が高まる)
- 3月18日(水): トルコ中銀の議事要旨公表
- 3月18日〜19日: 日銀 金融政策決定会合(政策発表は19日)
- 随時: 中東情勢(ホルムズ海峡の通航状況)や原油価格のニュース速報
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