高金利通貨であるメキシコペソについて、中長期にわたり買いポジションを保有する場合に知っておきたい情報、投資を行う視点で、現在の市場を分析します。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
メキシコペソ/円 上昇・下落のパワーバランス
メキシコペソ/円をトレードするうえで重要となる経済指標やイベントを個別に点検します。
4月の失業率は2.82%に上昇。前月に2005年に現在の方法で統計を開始して以降の最低水準を更新していた。ただし、労働環境は厳しく、最低賃金(もしくはそれ以下)での労働者数は増加している。
メキシコ中銀は5月17日の会合で金利を据え置き。2021年6月から始まった利上げは15会合連続で行われ、5月は停止となった。この期間で政策金利は11.25%となった。中銀はインフレを目標に下げるため、現行水準で長期間維持する可能性を示唆した。
6月8日に発表されたメキシコ5月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.84%となり、2021年8月以来の6%割れとなった。ただ、食品とエネルギーを除く5月コアCPIは+7.39%で高止まりしている(前月:+7.67%)。
最大の貿易相手国である米国の景気は、一時期ほどではないが底堅さを見せている。その他、米中対立が深まる中で、メキシコへの生産の拠点を消費地(米国)に近づけること(ニアショアリング)が起こっており、メキシコ経済への好材料が多い。
パワーバランス まとめ
メキシコ中銀は、5月に政策金利を11.25%で据え置いたが、当面は現行水準で維持することを示唆した。5月にインフレは5.84%まで低下しているが、コア指数が高止まりしている。失業率は低水準にあるが、労働条件等を加味すると先進国のそれと同等には捉えられない。中国と米国の政治的な対立により、メキシコへのニアショアリングが起こっていることはポジティブ要因だ。
メキシコペソ/円、いまが買いどき?
メキシコ中銀は遂に利上げを停止した。政策金利を11.25%まで上昇しており、今後も同水準を維持することを示唆している。インフレが1年9カ月振りに6%以下まで低下しているが、コアCPIが高止まりしているため、インフレ鈍化に対して楽観視は出来ないようだ。経済的に繋がりの強い米国経済が底堅いことはメキシコペソの支援材料。失業率は過去最低を記録しているが、労働環境は改善されていないため、低賃金での労働者が増加していることは懸念材料。この辺りは先進国と違い失業率の数値を鵜呑みにできない。米中対立によりメキシコへのニアショアリングが起こっていることは国内経済にとってポジティブ材料。一方で、中国の景気回復に勢いが感じられないこと、高金利の影響から世界の主要国の景気減速が予想されていることなどは、資源国通貨であるメキシコペソにとっては懸念材料。
最新のメキシコペソ/円チャート
メキシコペソに関する経済指標予定
6月20日 21:00 メキシコ4月小売売上高
6月23日 28:00 メキシコ中銀オーバーナイト・レート(政策金利)発表
メキシコペソ 関連レポート
NEW!!スワップポイント自動振替│初心者にもわかるFX積立(外貨積立)投資 | 外為どっとコムのFX積立
FX積立│初心者にもわかるFX積立(外貨積立)投資 | 外為どっとコムのFX積立
NEW!!スワップポイント最大70%増額キャンペーン | 外為どっとコムのFX
NEW!!らくつむ定期買付応援キャンペーン | 外為どっとコムのFX
当社取扱通貨のうち、いわゆる新興国通貨に分類されるトルコリラ・南アフリカランドおよびメキシコペソ(MXN)はインターバンク(銀行間為替市場)における流動性が主要国通貨に比べ相対的に低く、経済指標発表のみならず金融政策変更やその他政治的要因、さらには地政学的リスク等の要因による突発的な相場急変動が起こりやすい環境下にございます。また、こうした急変動時には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時に比べ大幅に拡大する傾向にあり、その場合には当社でもやむなく提示スプレッドを一時的に拡大することがございます。あわせて、相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がございますので、あらかじめご承知おきくださいますようお願いいたします。これら新興国通貨のお取引、およびこれらを対象とするキャンペーンへのご参加に際しては、以上につきあらかじめご留意のうえ、ポジション保有時、特に法人会員様の高レバレッジ取引における口座管理には十分ご注意くださいますようお願い申し上げます。以上の新興国通貨それぞれのリスク、および直近時点でのリスクレポートにつきましては、こちらのページをご参照願います。
新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。