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4月米雇用統計(5月8日発表)の予想・注目点|ドル円シナリオと労働市場の弱点【外為総研】

 

米雇用統計見通し2026年5月

執筆日時:2026年5月6日 18時05分

更新日時:2026年5月8日 22時25分(データを更新)

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

【4月米雇用統計の焦点】米労働市場の抱える問題解決には至らず

2026年5月8日21時30分に4月分の米雇用統計が発表されます。

3月分の米雇用統計は、2月に高まった景気後退懸念をひとまず後退させたものの、一時的な押し上げ要因が大きく寄与していました。また、労働参加率の低下など家計調査が示す基調の弱さも残り、労働市場の実力を正確に評価するには慎重さが求められる状況です。

こうした「強さと弱さが混在する」前回の結果を踏まえると、4月統計では一時要因が抑えられ、労働市場の本来の姿がより鮮明に表れる可能性があり、市場は注目しています。特に、移民流入の鈍化による供給制約がどの程度影響しているのかは、FRBの政策判断に直結する重要なポイントです。

まずは、前回の結果と市場の反応を整理します。

3月NFPの結果とドル円の反応

2026年3月の米国雇用統計は、強さと弱さが混在する複雑な結果となりました。NFPは前月比17.8万人増と、2月の13.3万人減少(当初9.2万人減、後に13.3万人減へ下方修正)から大きく反発しました。一方、失業率は4.3%へ小幅低下しました。

ヘッドラインの強さによって、2月に高まった「労働市場の急減速=景気後退懸念」はいったん後退しました。しかし、労働参加率の低下など家計調査が示す実態の弱さや、構造的な人員削減が続く業種の存在を踏まえると、「見かけ上の改善」という側面も否めませんでした。

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:米国労働省

産業別 2025年3月 2026年1月 2026年2月 2026年3月
全体 67 160 -133 178
財生産部門 -1 45 -20 43
鉱業・林業 -2 -2 -1 2
建設業 6 45 -13 26
製造 -5 2 -6 15
民間サービス部門 68 135 -109 143
卸売 -13.9 2.1 6.7 3.3
小売 15.70 12.7 -8 9.7
運輸 -17.4 22.6 -48.5 21
公益(電気・ガス・水道) 1.6 0.2 1.5 -1.2
情報 -9 -27 -21 -3
金融・保険 2 -39 2 -15
専門・企業向け -16 36 7 2
民間教育・医療サービス 68 119 -42 91
娯楽・接客 27 5 -11 44
その他のサービス 10 3 5 -9
政府分野 0 -20 -4 -8

各市場の反応

【為替市場】

グッドフライデー(聖金曜日)の祝日で市場参加者が少なく流動性が低下する中、米ドルは指標発表直後にドル円で159.760円まで上昇しましたが、その後は159.488円まで反落しました。休暇中の投資家が多かったこともあり、方向感は乏しい展開となりました。

 

【株式市場】

米国の現物株式市場はグッドフライデーのため休場でした。

  • ダウ平均:休場
  • ナスダック総合:休場
  • S&P500:休場

【金市場】

米国の金先物市場もグッドフライデーで休場となりました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
米雇用統計のドル円5分足チャート(2026年4月)
ドル円 5分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

4月雇用統計の予想と市場への影響

一時要因の剥落で、4月は雇用減速へ

3月の好調なデータには、ストライキ明けの復帰や暖冬による雇用維持といった一時要因が重なっていました。4月はこれらが剥落するため、増加幅は6万人程度へ減速すると見込まれています。

図表3.雇用者数変化に関連するデータ

項目 12月 1月 2月 3月 4月
NFP 万人 -1.7 16 -13.3 17.8 11.5
ADP民間雇用者数 万人 3.7 1.1 6.6 6.2 10.9
ISM製造業雇用指数 44.9 48.1 48.8 48.7 46.4
ISM非製造業雇用指数 52 50.3 51.8 45.2 48.0
新規失業保険申請者件数 万件 22.4 21.0 20.8 20.5 21.4
失業保険継続受給者数 万人 191.3 181.9 183.3 181.9 178.5

出所:各種公表データを基に外為総研が作成
※失業保険データは、雇用統計調査週の分
※Indeed job postings(平均)は各月ごとの平均値、3月分は20日までの平均値

移民低下が米労働市場に与える影響

背景には、労働供給の伸びが鈍っていることがあります。2024年まで雇用拡大を支えた移民流入は、2025年以降に大きく低下し、2026年も低水準が続いているとみられます。そのため、米労働市場では、需要の弱さだけでなく、働き手の供給制約も雇用統計を読むうえで重要な論点になっています。Indeedの求人指数がパンデミック前水準まで低下していることも、企業が慎重姿勢を強めている現状を示しています。

一方で、深刻な人手不足を経験した企業は従業員を手放さず、失業保険申請も低水準のままです。求人の勢いは鈍る一方で、解雇はなお限定的にとどまっています。3月JOLTSでは採用件数が増加しており、一概に「採用が止まっている」とは言えませんが、労働市場全体では求人の減速と低い解雇が併存する、やや硬直した状態が続いています。

図表4.雇用統計の先行指標

項目 12月 1月 2月 3月 4月
Indeed Job Postings Index 102.9 103.3 104.6 103.9 102.7
JOLTS求人件数 万件 655 724 692.2 686.6 -
失業者数 万人 750.3 736.8 757.1 723.9 -
失業者一人あたりの求人件数 0.87 0.98 0.91 0.95 -
レイオフ率 % 1.05% 1.05% 1.08% 1.18% -

FRB利下げ観測とドル円の見通し

この供給制約はFRBの判断にも直結するかもしれません。今回の統計は、パウエルFRB議長の議長任期が5月15日に満了する直前の重要データとなります。また、ウォーシュ氏が上院で承認されれば新体制への移行を控えるタイミングでもあり、雇用・賃金・失業率の組み合わせが、今後の政策運営を占う材料として注目されます。もし雇用が予想を大きく下回る一方で賃金が高止まりすれば、新体制は景気減速とインフレ圧力の併存という難しい判断を迫られる可能性があります。 

  • 下振れ(3万人以下):労働市場の減速懸念から、6月または7月利下げを織り込みに行く動きが一時的に強まる可能性があります。ただし、賃金やインフレ指標が高止まりする場合、FRBがすぐに利下げへ動くとは限らず、ドル安反応は限定される可能性もあります。
  • 予想通り(6万人前後):雇用者数が6万人前後、失業率が4.3%近辺、平均時給が0.3%前後であれば、労働市場の急悪化は避けられたとの見方から、為替・金利は方向感を欠きやすいとみられます。株式はイベント通過で底堅さを見せる可能性がありますが、賃金が強ければ金利上昇が重荷になります。
  • 上振れ(10万人超):賃金インフレの粘り強さが意識され、利下げ時期はさらに後ずれする可能性があります(ドル高要因)。

結局のところ、サービス分野の雇用拡大が全体を支えそうですが、企業の採用停滞の流れは継続して雇用拡大ペースは鈍いままなのではないでしょうか。また、移民の減少という構造的な歪みが続くことから、労働市場への不安は払拭されにくいのではないかと考えています。さらに今回の統計は単なる景気指標という枠を超えて、移民という外部供給を失った米国経済が、自律的にソフトランディングを続けられるかを測る試金石であり、4月雇用統計は米経済の真の実力が問われる転換点となります。 

弱い雇用だけでは6月利下げ期待は高まりにくい

シナリオ別にみた市場反応

どのシナリオでも共通して意識すべき点は以下のとおりです。

  • ・賃金インフレが高止まり → FRBは利下げに動きにくくなります
  • ・労働供給が増えにくい → 雇用拡大の持続力に限界が出やすくなります
  • ・企業は解雇に慎重だが、求人は抑制気味 → 成長の伸びしろは限られやすいです

この構造が、金利・為替・株式の反応を決める“背景の力”になっています。
実際には、事前予想との強弱で各市場は以下のように動くのではないかと考えています。

  • ・下振れ:ドル売り・債券ロング・株はディフェンシブ・金は上昇。
  • ・予想通り:ドル円はレンジ継続、株はイベント通過で底堅い可能性。ただし賃金が強ければ金利上昇が重荷。
  • ・上振れ:ドル買い・債券ショート・株はバリュー優位・金は下落。

図表5.ドル円チャート

ドル円 日足/10・100日移動平均線/MACD(12,26,9)外為どっとコム外貨ネクストネオ

ドル円 日足/10・100日移動平均線/MACD(12,26,9)外為どっとコム外貨ネクストネオ

ドル円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表6.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2026年04 6.2 11.5 4.3 4.3
2026年03月 6.5 17.8 4.4 4.3
2026年02月 5.5 -9.2 4.3 4.4
2026年01月 7.0 13.0 4.4 4.3
2025年12月 7.0 5.0 4.5 4.4
2025年11月 5.0 6.4 4.5 4.6

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2026年04月 0.3 0.2 61.8
2026年03月 0.3 0.2 61.9
2026年02月 0.3 0.4 62.0
2026年01月 0.3 0.4 62.5
2025年12月 0.3 0.3 62.4
2025年11月 0.3 0.1 62.5

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2026年04 46.4 48.0
2026年03 48.7 45.2
2026年02月 48.8 51.8
2026年01月 48.1 50.3
2025年12月 44.9 52.0
2025年11月 44.0 48.9

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー
市場予想は弊社経済カレンダーより、2026年5月6日 現在

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株式会社外為どっとコム総合研究所
小野 直人
株式会社DZHフィナンシャルリサーチでの情報配信業務、上田ハーロー株式会社での調査・市場部門を経て、2021年より外為どっとコム総合研究所へ参画。ニュースベンダーとFX会社で培った「情報の目利き力」と「市場実務の経験」を武器に、個人投資家へ有益な情報を発信している。ドル円などの主要通貨に加え、トルコリラ・メキシコペソなどの新興国通貨、日経平均・NYダウといった株価指数(CFD)まで、幅広い金融商品の分析を得意とするマーケットアナリスト。
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