執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
RBA議事要旨で利上げ継続の可能性を占う！
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は91.00円前後、NZドル/円は84.78円前後で週初を迎えました。10日（水）に市場が注目する米4月消費者物価指数（CPI）を控えを、結果を見極めたいとの思惑から週初は全体的に様子見ムードが強くなりました。その中で、原油価格の上昇を背景に豪ドル/円は8日に91.87円前後まで上昇しました。しかし、9日に発表された中国4月貿易収支の輸入が前年比で-7.9%と大幅に減少していたこと、11日発表の中国4月CPIが前年比+0.1%となったことで、中国の景気減速懸念が台頭。同国と交易関係が強い豪ドルが売られる材料となりました。市場の注目を集めていた10日の米4月CPI、11日の米4月生産者物価指数（PPI）が市場予想と前月を下回ったことで米連邦準備制度理事会（FRB）の利上げ停止観測が高まったため、米ドル/円が下落。豪ドル/円、NZドル/円はこの動きにつれることになりました。
また11日には米地銀の預金流出が判明し米金融システム不安が再燃。リスクオフの円買いドル買いが強まった結果、豪ドル/円は89.79円前後、NZドル/円は84.48円前後まで急速に下値を拡大しました。（執筆時）
気になるRBA議事要旨…
RBAは5月2日の理事会で0.25%の利上げを実施しました。これは大勢の市場予想を裏切るものでした。RBAは4月の理事会で金利据え置きを決めました。その後発表された豪1-3月期CPIが市場予想を下回り、豪州のインフレが堅調に鈍化していることを示しました。それにもかかわらず、RBAは5月に再び利上げを実施しましたので、その経緯と今後の金融政策の方向性を確認することになりそうです。市場ではRBAの利上げは5月が最後になるとの見方が大勢を占めています。この予想を覆す、つまり6月も利上げを継続する可能性が高いことが示唆されるといったことになれば豪ドルは買いで反応することになりそうです。
豪労働市場の動向は？
来週は17日に豪1-3月期賃金指数が、18日には豪4月雇用統計が発表されます。5月2日のRBA理事会の声明では賃金の伸びが物価上昇に寄与するリスクに警戒しているとしていました。賃金指数が予想以上に伸びていた場合には、RBAが6月にも追加利上げを実施する口実が増えることになりそうです。豪雇用統計では、雇用者数変化とその内訳に注意をしたいです。豪州の雇用を見ると2月3月に雇用者は合計で11.66万人増加しました。内訳を見ても正規雇用者数が15.14万人増加した一方で、非常勤雇用者数は3.48万人減少しています。RBAは労働市場のひっ迫が賃金の上昇に寄与しているとの見方をしています。豪4月雇用統計が、2月や3月と似通った内容（総合雇用者：増、正規雇用者：増、非常勤雇用者：減）となれば、市場もRBAの6月利上げの可能性を意識しないといけなくなるかもしれません。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は雲の上での推移となっていますが、200日移動平均線（MA）に上値を抑えられています。来週もこの200MAが目先のレジスタンスとして意識されそうです。この水準を上抜けられれば、5/2高値の92.43円前後や年初来高値（2/14）の93.04円前後が次の上値目途として意識されそうです。一方で下値ですが、来週は雲の下限が88円台半ば～後半で推移していますので、この水準が一つの目途となりそうです。週足を見ると88.79円前後に雲の下限が位置しています。週の終値でこの水準を下抜けていれば、①ローソク足が雲の下、②転換線が基準線の下、③遅行線がローソク足の下と『三役逆転』となり売りシグナルが点灯しますのでご注意ください。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200MA】
予想レンジ：AUD/JPY：88.00-92.50、NZD/JPY：82.00-86.00
5/15 週のイベント:
05/16 (火) 09:30 豪 5月ウエストパック消費者信頼感指数
05/16 (火) 10:30 豪 豪準備銀行（RBA）、金融政策会合議事要旨公表
05/16 (火) 11:00 中国 4月小売売上高
05/16 (火) 11:00 中国 4月鉱工業生産
05/17 (水) 10:30 豪 1-3月期四半期賃金指数
05/18 (木) 07:45 NZ 1-3月期四半期卸売物価指数（PPI）
05/18 (木) 10:30 豪 4月新規雇用者数
05/18 (木) 10:30 豪 4月失業率
05/19 (金) 07:45 NZ 4月貿易収支
一言コメント：
先日、今シーズン初めてJリーグの試合を観てきました。今シーズンは前席で声出し応援が可能となったので、久々にサポーターの声援や歌声が聞こえて楽しかったです。今年はJリーグに限らず、プロ野球やバスケなどスポーツ観戦に行きたいな～と思っています。
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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