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FX「ドル円は3週連続週足陰線を1週間で取り戻す、ただボリバン上限と6月需給に注意」

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総括

FX「ドル円は3週連続週足陰線を1週間で取り戻す、ただボリバン上限と6月需給に注意」

ドル円=128-133、ユーロ円=138-143 、ユーロドル=1.05-1.10

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨11位(11位)、株価5位(8位)、ドル円は3週連続週足陰線を1週間で取り戻す、ただボリバン上限と6月需給に注意」
 ドル円のリバウンドは速かった。3週連続陰線の後は1週間で3週分の下落を取り戻した。ただ日足でボリバン2σ上限の131.20-30あたりにきているので注意したいところだ。新年度の為替予約が始まり輸出先行なので5月のドル円は下落するも6月は上昇スタート。6月は前回触れたように外債金利の受け取りが減少し、貿易が赤字となれば経常赤字になる可能性のある月だ。原油価格が再び120ドルにのせているので貿易赤字が拡大する可能性もある。一方7月、8月には外債受け取りも増加して再び落ちついてくる。
 
 先週は財務省の口先介入もほどんど聞こえてこなかった。1ドル130円前後のレベルを容認か。実際、悪い円安と言われるほどの具体的な数値は上っていない。黒田日銀総裁は「体感物価の上昇が家計の消費マインドに悪影響を及ぼす可能性がある」とし十分注意して見ていくと語った。日本の物価は欧米ほど上昇していない。また2022年1-3月の企業の経常利益は、前年同期から13.7%増加、比較可能な昭和29年以降で、この時期として過去最高の水準となった。貿易赤字は1ドル105円から125円へのせた2013-14年の額に近づいている。原油価格は当時よりやや高いが、まだ下落する兆候がないのが日本にとっての弱みだ。2013-14年は原油価格が100ドル台をつけたが、その後は50ドルを割り込んで貿易赤字から黒字となり1ドル100円を割り込んだ。原油価格次第、ロシア次第とも言える。

*米ドル「通貨4位(3位)、株価(NYダウ)10位(9位)、雇用統計でドル反発も株下落、サマーズ氏が警告」
 ドルは強いのだが最強ではない。メキシコペソ、南アランド、カナダドルといった資源国の後塵を拝す。5月の雇用者数は増加、賃金は落ち着き、ISM非製造業は悪化したが、ドルは上昇した。消費者物価、卸売物価、輸入物価からインフレがピークに達したのではないかとの見方が出て、FOMC議事要旨やボスティック・アトランタ連銀総裁が年後半の利上げペースの鈍化や低下を示唆したことで米金利が低下し、ドルが下落していたところからの週末の巻き戻しが起こった。ブレイナードFRB副議長が「9月に利上げを休止するという可能性は、現時点では非常に低いと思われる」と発言したことも巻き戻しに影響した。
 
 ただドル円の強さはともかく、現在ドルが4位にいることは、いくつかの不安要因もある。サマーズ元米財務長官は、金融政策が米経済に影響を及ぼしている証拠が顕在化し始め、労働力需要の変調や売れ残り商品の在庫増加といった一部の兆候が見られると述べた。また、インフレ率が4%を突破し、失業率が4%を割り込んだ場合、過去の事例では2年以内にリセッションに陥ることが示されているとあらためて指摘した。ベージュブックには「4地区は成長ペースが減速したと明確に指摘した」と記述された。マクロソフトの収益はドル高で落ち込んだともされた。まだドル高の弊害を示唆する声は大きくないが、近い将来には高インフレでのドル高容認論とのせめぎ合いになるだろう。それには資源高が収まらないといけないが原油は120ドルにのせてしまった。

*ユーロ「通貨9位(9位)、株価9位(10位)DAX)、揺れるECB、ただ円よりは強く年初来高値を更新」
 年初来で対円で高値を更新(140.371)、7.05%高と強いが、ウクライナ紛争の影響もあり対ドルは5.81%安、株価(独DAX)も8.97%と安い。高インフレでもロシアへの経済制裁を行うことでユーロ圏の経済も厳しくなる。6月9日にECB理事会が開催される。今回は金融政策は現状維持だが今後の見通しが示されるだろう。高インフレと景気減速で悩んでいるところだ。積極利上げ論者も多いが、債務水準が高いイタリアとスペインの中銀総裁が慎重姿勢を示すなど、見解が分かれている。5月のユーロ圏消費者物価は過去最高の8.1%上昇となった。カジミール・スロバキア中銀総裁は「利上げの第一歩を踏み出す必要がある、利上げ幅は7月に0.25%、9月に0.5%になる可能性がある」と語った。クノット・オランダ中銀総裁は7月に0.25%の利上げを実施すべきだが、大幅利上げの可能性も現時点で排除すべきではないとした。
 
 一方、ビスコ・イタリア中銀総裁は、この夏に開始する可能性がある利上げを緩やかに進めるべきとの見解を示したほか、デコス・スペイン中銀総裁は、景気刺激策を段階的に撤回する方針を堅持し、7月と9月に利上げを実施する必要があるとしながらも、経済と地政学上の不確実性を踏まえ、特定の金利の道筋に事前にコミットするべきではないとの見解を示した。

*ポンド「通貨10位(10位)、株価3位(3位)、こわごわ利上げ、円より強いがドルよりかなり弱い、来週は0.25%の利上げか」
  円より強いがドルより弱い。株は小幅高(年初来では対円4.92%高、対ドル7.68%安、FT株価指数2.01%高)。主要12通貨では10位と低迷している。高インフレとスタグフレーションで苦悩が続く。英中銀の関係者のコメントにもにじみ出ている。英中銀のテンレイロ政策委員は、インフレ高進により可処分所得が打撃を受けているため、英中銀は将来の利上げを検討する際に微妙なバランスを取る必要に迫られるだろうと述べた。英中銀の責務として2-3年先のインフレ水準を見越し、インフレが目標を大幅に下回るような行動を避けることが求められると指摘。「総需要が落ち込むため、われわれは非常に微妙なバランスに直面する」とした。また「労働者は非常に困難な状況に置かれることになる。非常に厳しい選択を迫られ、実質所得が損なわれる」と語った。
 
 それを鑑みてか、英国政府は石油・ガス企業の利益に超過利潤税を課す。生活費の急騰に苦しむ市民を支援する財源とする狙いがある。石油・ガス企業の利益に25%の特別税を課して約50億ポンド(約8000億円)を調達し、国内の最貧困層800万世帯余りにそれぞれ650ポンドを一回限りで支給する。超過利潤税への支持が高まり、保守党の支持率が労働党を昨年12月以来下回り続ける中で、家計ひっ迫の緩和に介入せざるを得なくなった。
 来週、6月16日の政策金利は0.25%の小幅利上げで1.25%となる見込みだ(一部では利上げ見送り論もあり)。

*豪ドル「通貨5位(5位)、株価7位(7位)、強調推移、追加利上げへ」
 強調推移、対円、対ドルで3週連続陽線、対円では95.738の年初来高値にも近づいてきた。今週の焦点は政策金利の決定だ。利上げを支える経済状況も良し。新政権でも経済政策は大きく変わらないだろうが、対中関係が改善すれば経済にも好影響となる。
 さて政策金利は予想の3分の2が0.25%の利上げ、3分の1が0.4%の利上げ予想となっている。新型コロナウイルス禍から経済が順調に回復し、インフレ率が20年ぶり高水準の5.1%と目標レンジ(2-3%)を大きく上回る中、豪中銀は最近になって利上げの必要性を巡る姿勢を転換した。5月のRBA理事会の議事要旨では、インフレの高まりを受けて決定よりも大幅な利上げを議論したことが明らかされた。
 
 労働党新政権は、最低賃金の引き上げを提案した。インフレで打撃を受けている世帯の負担を軽減する。現在の最低賃金は時給20.33豪ドルだが、5.1%の賃上げを公約に掲げていた。4月の貿易収支は、液化天然ガス(LNG)輸出や観光客の増加を背景に貿易黒字が予想以上に拡大した。貿易黒字は105億豪ドルで、予想の93億豪ドルを上回った。
 1Q・GDPは前年比3.3%増と、前期の4.2%から伸びが鈍化した。輸入の急増や悪天候が響いた。ただ、内需が引き続き堅調で物価上昇圧力が強いため、追加利上げがなお必要になるとみられる。前期比で0.8%増加し、予想の0.5%増を上回った。貯蓄率は11.4%と、新型コロナウイルス流行前の水準を大幅に上回っており、家計の購買力は維持されている。

*NZドル「通貨7位(6位)、株価14位(14位)、前回利上げから経済指標は悪化、対円では強いが、対ドルで伸び悩みか」
 NZドルは対円で3週連続陽線、対ドルでは2週連続陽線で3週連続とはならないところが、豪ドルよりは弱いところだろう。NZの株価指数は利上げを吸収できるほど強くなく年初来12.4%安だ。NZ中銀のチーフエコノミスト、コンウェイ氏は日、インフレ抑制に向け積極的に利上げを行ってもNZ経済を「ソフトランディング」に導くことは可能との見解を示した。コンウェイ氏は現行2%の政策金利は来年に4%近くでピークを打つとの見通しも示した。コンウェイ氏は、政策委員会は0.75%の利上げ幅を真剣に検討してはいないと語り、「0.50ポイントの利上げで、われわれが必要とするところに到着できると確信しているからだ」と説明した。
 
 ただ5月25日の利上げ以降の経済指標は冴えない。5月の企業信頼感は悪化した。インフレが高止まりし、経済見通しに対する企業の懸念が浮彫になった。向こう1年間に経済が悪化すると予想した回答者の割合は差し引き55.6%と、4月に行われた前回調査の42%から悪化した。向こう1年間に自社の事業が縮小すると予想している回答者は差し引き4.7%、4月は4.0%だった。4月建設許可は前月比8.5%減で3月の6.25増から悪化した。5月ANZ消費者信頼感指数も82.3と4月の84.4から悪化した。

テクニカル分析

*ドル円「ボリバンきっちり往復運動」
日足、ボリバン2σ下限から上限近くへ急上昇。6月1日-3日の上昇ラインがサポート。5月9日-6月3日の下降ラインとボリバン2σ上限が上値抵抗。5日線上向いて20日線を上抜く。
週足、3週連続陰線の後、先週は一気に3週前に戻る大陽線。5月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。5月9日週-30日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、3か月ぶり陰線だが再びボリバン2σ上限と3σ上限の間で推移する強さ。4月-5月の上昇ラインを下抜いているが6月は陽線スタート。
年足、2021年は6年ぶり陽線。今年もここまで陽線。2016年-20年の下降ラインを上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。15年-21年の下降ラインを上抜く。

*ユーロドル「5月月足は5か月ぶりに陽転、日足上昇も雲に入れず」
日足、ボリバン2σ下限から上限へ、雲には入らず。6月2日-3日の上昇ラインがサポート。5月30日-6月3日の下降ラインが上値抵抗。5日線横ばい、20日線は上向き。
週足、2週連続陽線の後の先週は伸び悩む。ボリバン2σ下限から反発。5月23日-30日週の上昇ラインがサポート。3月28週-5月30日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向く、20週線下向き。
月足、ボリバン3σ下限から反発、5月は5か月ぶりに陽転。3月-4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、20年‐21年の上昇ラインを下抜く。17年-20年の上昇ラインも下抜く。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。年足的サポートラインがない。ボリバン2σ下限は1.00あたり。

*ユーロ円「年初来高値更新、ボリバン3σ下限から2σ上限へ」
日足、ボリバン3σ下限まで下落し急反発。雲の上に出てボリバン2σ上限を上抜く。6月2日-3日の上昇ラインがサポート。5日線上向き20日線を上抜く。
週足、3週連続陽線、先週は一気にボリバン2σ上限へ。5月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。5週線上向く。20週線上向き。
月足、3か月連続陽線、6月も陽線スタートでボリバン2σ上限へ上昇を上抜く。22年3月-5月の上昇ラインがサポート。
年足、2年連続陽線。今年も3月に陽転。14年-21年の下降ラインを上抜く。12年-20年の上昇ラインがサポート。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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