総括
FX「なべ底から抜け出し雲の上に浮上、回復への道」南アランド見通し
通貨2位、株価6位
予想レンジ 南アランド円 8.2-8.7
(ポイント)
*強調推移し雲の上に出る。なべ底から離脱
*5月PMIは改善、貿易黒字は維持
*今週は経常収支とGDPの発表
*通貨番付2位堅持
*利上げ、格付け見通し引き上げ、コロナ感染第5波ピークで上昇
*政策金利を予想通り0.5%引き上げ、4.75%へ
*4月の消費者物価上昇率は前年比5.9%
*世銀やIMFは成長見通し下方修正
*南ア産出の資源価格は上昇していない
*計画停電は続く
*上海経済再開もランドを支えた
*失業率は35%と高い
*アフリカ開銀はアフリカ大陸でのスタグフレーションを示唆
(なべ底から抜け出し雲の上、PMI回復)
ランド円はさらに上昇、なべ底から抜け出し雲の上に浮上した。経済指標は底堅い。5月製造業PMIは54.8で、前月の50.7から上昇した。景況改善・悪化の分岐点となる50を上回る水準を維持した。4月のクワズールー・ナタール州での洪水後、新規受注が回復した。洪水後に内需が正常化し、輸出も増加に転じた。またS&Pの民間部門PMIは50.7と、前月の50.3から小幅に上昇した。PMIはそれぞれ上昇したが、停電とインフレ圧力が引き続き経済活動の重しとなっている。
(貿易黒字維持がランドの支え)
貿易黒字は維持され4月も154.9億ランドの黒字となった。今週発表される1Qの経常収支も黒字を維持しそうだ。また1QのGDPは発表され前年比1.8%増の予想だ。不安は雇用だ。1Qの失業率は34.5%で、21年4Qから低下した。
(中銀は慎重な成長予想)
南ア経済は、昨年の新型コロナウイルス感染流行から予想より速く回復したが、中銀は今年の経済成長率が1.7%に縮小するとの予想を示している。1Qは社会サービスや製造業、貿易部門などで就業者数が引き続き増加した。一方、金融、建設、農業などの主要部門では就業者数が減少し、失業率は過去最高水準近くにとどまった。低成長だが、貿易・経常黒字がランドを支えている。
(公務員の賃金交渉)
公務員の労働組合は10%の賃上げを要求しているが、政府のオファーは4.5%となっている。これから交渉が続く
(ドイツのシステムを導入か)
ラマポーザ大統領は、政府がドイツの教育訓練システムを採用する計画があるとした。ドイツのショルツ首相と会談後、大統領は「ドイツとの貿易と投資の関係を深めることを楽しみにしています。水素やその他の再生可能エネルギーなどの新技術に着手するにあたり、グリーン経済、クリーンエネルギー、気候変動への耐性の構築に関する建設的な議論が期待されます」と述べた。「拡大したいもう1つの関係分野は、教育とスキルトレーニングです。ドイツの二重教育モデルと、ドイツの企業がどのように若者のトレーニングを職場環境に統合するかから、私たちが学ぶことができることはたくさんあります」とした。
テクニカル分析(ランド/円)
なべ底から離脱。雲の上へ
日足、なべ底から離脱。雲の上へ。ボリバン2σ上限中位超える。6月2日-3日の上昇ラインがサポート。4月19日-6月3日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、3週連続陽線。5月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。4月18日週-5月30日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、4月は陰線。5月はかろうじて陽線、下ヒゲ長く6月は上昇スタート。ボリバン2σ上限へ。3月-5月の上昇ラインがサポート。
年足、21年はかろうじて陽線。22年も陽線スタート。18年-21年の下降ラインを上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
喜望峰
アフリカにスタグフレーションリスク、コロナ禍と戦争で=開銀報告
アフリカ開発銀行(AfDB)は、年次リポート「アフリカ経済展望」を発表し、アフリカが高インフレと経済成長の停滞が併存するスタグフレーションに陥る危険が生じているとの見解を示した。「成長鈍化はウクライナ侵攻がアフリカ経済にもたらす影響の厳しさを浮き彫りにしている。紛争が長引けば、23年オアフリカ経済成長率は4%付近で停滞する公算が大きい」としている。
一方、今年のインフレ率はウクライナ戦争に関連したエネルギーと食品価格上昇で13.5%となり、昨年の13%から加速するとみられる。
さらにウクライナ戦争による経済混乱で、今年新たに約400万人が極貧状態に陥る可能性があると指摘。「影響を軽減する対策が取られなければ大陸全体で社会的緊張が高まる恐れがあるが、多くのアフリカ諸国はコロナ禍のため財政面の余力が限られている」と分析した。
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