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トランプMAGAでもバイデンBBBでも米貿易赤字からのドル売りは変わらず

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総括

トランプMAGAでもバイデンBBBでも米貿易赤字からのドル売りは変わらず

ドル円=101-106、ユーロ円=124-129 、ユーロドル=1.19-1.24

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨10(7)位、株価5(6)位、持続的なドル円の小幅下落が止まるのか」
 2016年からの長期的なドル円の小幅下落はまだ止まらない。原因ははっきりしている。マイナス金利導入と消費増税で消費が弱くなり、輸入減少が続いている(ISバランス)。輸出も減少しているが、輸入の減少幅がより大きく質の良くない貿易黒字となっている。出来高をみれば、ほぼ輸出入取引をカバーするだけの最小限の金額に減少。機関投資家も外貨投資に積極的ではない。米国の膨大な貿易黒字と
日本の持続的な対米黒字ではドル円の長期的下落傾向は変わらない。もしドルの反発があるとするならば短期的なものだろう。米金利上昇思惑が高まり、米長期金利が1.5%、2%あたりに上昇し、日本の機関投資家に動意(買い)が見られる時だ。日本の機関投資家は横並びに動くので影響力は大きい。年初でもそういう場面があり102円から104円まで上伸したが、今後も散発的にそのようなドル買いはある。長期のドル安傾向を変えるものではないが。
 短期は若干の貿易黒字といえども需給が均衡しているだけに相場に伸びがない。買い切り売り切りの実需のフォローがないので、突っ込んで売ったり買ったりしても相場が伸びず、自ら買い戻さないといけない。輸出入が追っかけてこない。
 3月までの需給要因は日本のリパトリがどれくらいでるか。センチメントではワクチンの接種・効果の進み具合か。

*米ドル「通貨6(4)位、株価(NYダウ)13(13)位、MAGAでもバイデンBBBでも米貿易赤字からのドル売りは変わらず」
 トランプ氏のやや乱暴な「MAGA」(Make America Great Again)でもバイデン新大統領の穏健な「BBB」(Build Back Better)でも、貿易取引が民間同士の最大利益追求である限り、米国の貿易赤字は変わらない。プラザ合意直後に円高となっても一向に改善しない日米貿易不均衡で米国が日本に米国製品の輸入を強要しても、日本人はアメ車を買わなかった。米国の膨大な貿易赤字がある限りドル安は続く。米金利上昇などの短期的要因でドルを買っても、米国貿易赤字から生み出される世界で1日当たり20億ドルから30億ドルのドル売りにいずれ吸収されてしまう。
 さて短期ではユーロドルが昨年3月のボリバン下限から今月は上限に達し小反落している。このような短期的な調整はある。今週発表される米国の4Q・GDPが欧州と比べて強いものとなればそのドル高調整は続く。一方、FOMCでバイデン新経済対策で上昇した長期金利の緩和を抑えるような発言が出れば、ドルが売られる。いずれにせよ短期的なものだ。長期の貿易不均衡からの需給的なドル安要因は消えない。

*ユーロ「通貨9(9)位、株価14(12)位(DAX)米国と対極にあり、弱い成長、貿易黒字、ユーロ高」
 最近の経済指標は弱い。1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が47.5となり、前月の49.1から大きく低下した。4Qではプラス成長となる見込みの米国に比しユーロ圏は前期比でも前年比でもマイナス成長になりそうだ。インフレも低下が続いている。それゆえにECBは「為替レートの動向が中期的なインフレ見通しに与える影響について引き続き注視していく。全ての政策手段は調整可能で、いかなる選択肢も排除されていない」と市場のユーロ買いに牽制球を投げている。ただG20の原則に従い実弾介入はないだろう。ユーロ発足は1ユーロ1.16ドルであったがその後の安値は0.82台、高値は1.60台で、その半値は1.21台で今のレベルに違和感はない。
 11月のユーロ圏の経常収支は246億ユーロ、10月は256億ユーロの黒字だった。これだけ黒字があれば、ユーロ安は認められないところであり、下落するとしても短期的にテクニカルでボリバン上限へ達した行き過ぎの時などに限られる。景気が弱くて強いユーロ、景気が強くて弱いドルが長期トレンドである。

*ポンド「通貨3(8)位、株価7(4)位、一から出直し。意外と強いのは解放感とテクニカルか、スターリングなパウンドを取り戻せるか」
 なんとなくポンドが強い。2016年のEU離脱の国民投票、2013年のキャメロン首相の国民投票決定、2008年のリーマンショックなどで下落を加速していたポンドがなんとなく強い。EUから離脱して一からやり直しのフレッシュ感がある。チャートを見ると月足では2007年11月と2014年7月の長期下降トレンドラインを上抜き、年足では2007年と2014年の下降ラインを上抜いている。2020年は長い下ヒゲも示している。
14年間の鬱憤を晴らすことができるのか。貿易面では一からやり直しで先ずはトルコとFTA、これから米国やTPPとも交渉を始めるその点ではEUにいたほうが効率的だった思うが、プライドでEUを離脱したこともあり一からやり直し。ポンドについている接頭語「Stering」(本物、信頼できる)を取り戻せるか、かつての基軸通貨。もちろんカギは貿易収支。去年は一時黒字となる月もあり驚きの上昇もあった。

*豪ドル「通貨2位(3位)、株価8(9)位、20年3月からの上昇一服も、依然ファンダメンタルズは良好」
 去年の3月からの中国を中心としたコロナ禍からの景気回復にのって上昇してきたが、週足や月足でもボリバン上限に達し一服している。基本的な豪の長所は変わっていない。健全な財政と厳しいコロナ抑制策だ。経済指標は12月小売売上が前月比4.2%減となったが、クリスマスの買い物を前倒しで行ったことが響いたとされ、金融機関の調査によると、新年に入り、消費は持ち直したとみられている。
12月の雇用統計も就業者数は前月比5万人増となり、前月の9万人増に続いて堅調な伸びを示した。失業率も予想以上に改善した。
2021年の国内総生産は3.5%増の予想だ。対中国の緊張関係が収まらないことや人口の伸び悩みが景気回復の勢いをある程度弱める懸念はある。ただ主要輸出品の鉄鉱石は高値を更新し、LNG輸出では中国との契約が継続している。また住宅投資の堅調さはさらなる金融緩和観測を後退させている。

*NZドル「通貨8(10)位、株価11(15)位、中銀データ流出事件の混乱から回復へ、景気指標も改善、マイナス金利導入観測は後退」
 年初は、中銀のデータ流出事件もあり、豪ドルに後れをとっていたが、漸く回復してきた。中銀は、データ流出を巡る調査は大幅に進展しており、不正アクセスされたファイルを特定できたとしていた。ただ今後数週間に予定していた経済指標の大部分について、発表を延期することを明らかにした。
 豪と同じく、中国景気の回復にのり、また健全な財政と厳しいコロナ抑制策で国への信頼感も強い。4Q消費者物価は、前年比1.4%上昇し、予想を大きく上回る伸びを示した。宿泊・住宅関連品目の価格上昇が要因。新型コロナウイルス対策の移動制限が緩和された 一方、海外旅行は引き続き制限されているため、国内観光が人気となっている。 また、4Q新築住宅建設コストは前期比1.3%上昇し、2年超ぶりの高い伸びを記録した。前年比では3.3%上昇。 低金利とコロナ対策の刺激策で、国内の住宅価格は歴史的な水準まで上昇している。 予想を上回るインフレ指標を受け、中銀の利下げ観測は後退している。

テクニカル分析

*ドル円「再び垂れ下がる雲にトライか」
日足、ボリバン2σ上限から反落。1月19日-22日の下降ラインが上値抵抗。1月21日-22日の上昇ラインがサポート。再び雲にトライか。5日線下向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発。1月4日週-18日週の上昇ラインがサポート。1月11日週-18日週の下降ラインが上値抵抗。なかなかボリバン中位を上抜けない。
月足、ボリバン2σ内に戻す。20年3月-21年1月の上昇ラインがサポート。20年11月-12月の下降ラインを上抜くか。
年足、2020年で5年連続陰線。ただ陰線開始の16年の安値98.45ををまだ下抜いていないここ4年の値幅の小ささ。15年-20年の下降ラインが上値抵抗。15-20年の上昇ラインがサポート。

*ユーロドル「ボリバン下限から反発。雲に落ちず」
日足、ボリバン2下限から反発。1月20日-21日の上昇ラインがサポート。1月7日-22日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、雲の中に下落せず。
週足、ボリバン2σ上限から反落。12月21日週-28日週の上昇ラインを下抜く。1月4日週の長い上ヒゲが効く。11月2日週-1月18日週の上昇ラインがサポート。1月4日週-18日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、ボリバン3σ上限から反落。11月-12月の上昇ラインを一時下抜く。7月-11月の上昇ラインがサポート。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。17年‐20年の上昇ラインがサポート。11年‐14年の下降ラインも上抜きそうだが年初は陰線スタート。

*ユーロ円「ボリバン下限と雲中から反発」
日足、ボリバン3σ上限から反落し一気に下限へ。そこから反発。1月21日-22日の上昇ラインがサポート。1月8日-22日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。雲から脱出上昇。
週足、ボリバン2σ上限越えられず反落。11月23日週-1月18日週の上昇ラインがサポート。1月4日週-11日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、ボリバン2σ上限。雲に抵抗される。11月-1月、5月-11月の上昇ラインがサポート。
年足、18年-19年の下降ラインを上抜く。16年-20年の上昇ラインがサポート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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