
ドル円レポート:「買戻し失望」の債券安でも戻り鈍いドル円、嵐の前の静けさか
ニューヨーク市場:米長期金利急伸も上値は限定的、153円台半ばで5日続落
ベッセント米財務長官の円安けん制発言などを背景にドル売り・円買いが進行し、ドル円はアジア時間に152.935円まで下落。中東情勢の緊迫化に伴い北海ブレント原油先物が一時1バレル=100ドルを突破する中、NY時間に入ると、米財務省が発表した長期国債の買い戻し(バイバック)規模(最大60億ドル)が市場の過度な期待を下回ったことで米国債が売られ、米10年債利回りは一時4.85%台と2023年11月以来の高水準を記録した。これを受けてドル円は153.804円まで買い戻された。しかしNY時間終盤は、日銀の早期追加利上げ観測やレパトリ(国内資金回帰)観測、ベッセント長官発言の余波が根強く意識され、154円台を回復できずに153円台半ばでのもみ合いにとどまった。
本日10日のアジア時間:重要経済指標とECB理事会を控え、神経質な攻防へ
ドル円は足元、153円台半ばで推移している。本日は欧米の重要イベントが目白押しとなっており、指標結果次第でボラティリティが高まりやすい局面だ。東京時間午前は増日銀審議委員のあいさつに注目。タカ派的な発言があれば円買い圧力が強まり、昨日の安値(152.89円近辺)を再び試すリスクがある。また、NY時間には21:30に米8月PPI(卸売物価指数)と新規失業保険申請件数が発表される。来週のFOMCを前にインフレ動向と労働市場の強さを確認する最重要イベントであり、市場予想(総合PPI前月比+0.4%、新規失業保険20.5万件)を上回る強い結果となれば、米金利高を背景に154円台回復へのトライが想定される。
黒川健(くろかわ・たける)
米国Capital Market Services LLCニューヨーク本社および上田ハーロー株式会社でカバーディーラー、プロップディーラーを約20年間務める。2021年9月(株)外為どっとコム総合研究所入社後は、テクニカル分析、ファンダメンタル情報を配信している。
