
このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
USMCA見直し協議直前にFTA締結 EUと対米めぐる思惑一致
先週22日、メキシコ政府は欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結・署名した。これまで、工業製品のみを対象とした貿易協定を結んでいたが、今回これを拡大することで「ほぼ全品目」の関税が段階的に撤廃されることになる。これまで両者が聖域として関税を維持してきた農産物・食品も対象となった。自由貿易に背を向けるトランプ大統領率いる米国への依存度を下げるという点で、両者の思惑が一致したと見られる。特にメキシコは、総輸出の8割超が米国向けであり、2025年の対米貿易黒字(米国側の赤字)は中国に次ぐ世界第2位の大きさに膨らんでいる。ましてや、米国との間でUSMCA(米国、メキシコ、カナダ協定)の見直しに向けた2国間協議が今週にも本格的に始まるタイミングだ。米通商代表部(USTR)は、USMCAには欠陥が多いとして「現行の協定をそのまま更新することはない」との立場を取る。一定の条件を満たせば関税がゼロになるなど、USMCAの恩恵を受けて対米黒字を稼いできたメキシコにとって、見直しは「改悪」となる公算が大きい。こうしたタイミングでメキシコがEUとFTAを締結したのには、トランプ政権に圧力をかける狙いもあったと考えられる。今週27日にも始まるであろうメキシコと米国のUSMCA見直しに向けた本格協議の行方に注目したい。
メキシコペソ/円 週足チャート

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外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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