
作成日:2026年6月15日 11時00分
今週のドル円は、プロの間でも見方が分かれやすい局面です。6月5日の5月米雇用統計は明確にドル高材料でしたが、その後は米国とイランの戦闘終結に向けた合意成立が伝わり、原油安・株高・ドル安圧力も出ています。
つまり、米金利の高さを見ればドル円の下値は支えられやすい一方、中東リスク後退を見れば160円台では上値を追いにくい状況です。大切なのは、どちらかを「正解」と決め打ちすることではなく、どの水準なら自分の見立てを維持し、どこを割れば見方を修正するのかを先に整理しておくことです。
今週のドル円の予想レンジ158.70円〜161.00円
ドル円強い米雇用で160円台回復、中東リスク後退で上値は試される展開
底堅い米雇用受け、ドル円は160円台での定着期待広がるも...
6月5日に発表された5月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が17.2万人増と、市場予想の8.8万人増を大きく上回りました。さらに、前回値も11.5万人増から17.9万人増へ大幅に上方修正され、失業率は4.3%、平均時給は前月比0.3%上昇と、全体として堅調な内容でした。
この結果を受けて、米10年債利回りは4.47%付近から4.53%台へ急上昇し、ドル買いが強まりました。ドル円も再び160円台に乗せ、米雇用の強さを背景に、下値の堅さを確認する展開となりました。
ただし、週末12日にかけては、米国とイランの戦闘終結に向けた合意期待をめぐる報道で相場が振らされました。ドル円は上下に揺れながらも、最終的には160円台前半で越週しています。
中東情勢の劇的変化でドル円には下押し圧力も
米国とイランの戦闘終結に向けた合意成立が伝わり、原油価格は下落、株価は上昇し、市場にはリスクオンムードが広がっています。ブレント原油は4%超下落して83ドル後半、ドル指数は99.492まで低下しました。
ドルにも原油安を通じた米インフレ低下期待から下押し圧力がかかりやすく、ドル円は160円台前半で伸びが一服しています。
一方で、米金利が大きく崩れているわけではない点は注意が必要です。米財務省データでは、6月12日時点の米10年債利回りは4.48%(15日10時時点では4.42%付近)、30年債利回りは4.97%(15日10時時点では4.92%付近)です。米長期金利はなお高い水準にあるため、ドル円の下落も一定のところでは止まりやすいと考えます。
また、リスクオンでは円も売られやすいため、ドル円が一方向に下落するとは限りません。ドルには下押し圧力がかかりやすい一方、円も買われにくい地合いであり、ドル円は160円台では戻り売り、159円前後から158円台後半では下げ渋りを探る展開が意識されます。
日銀会合、FOMCと続く注目のイベント週
今週は、日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が重なる重要週です。
日銀会合では、政策変更の有無だけでなく、日銀が追加利上げにどの程度前向きな姿勢を示すかが注目されます(今会合では、植田日銀総裁が入院治療のため欠席。副総裁2名と審議委員6名の計8名で政策が決定されます。また会合後の会見は内田副総裁が務める予定です)。日銀が物価見通しや円安への警戒を強めれば、円買いが入りやすくなり、ドル円は159円割れを試す可能性があります。
一方で、日銀が利上げに慎重な姿勢を示した場合は、円買いは続きにくくなります。その場合、ドル円は159円前後で下げ渋り、再び160円台後半を試す展開も考えられます。
ドル円見通し|日銀会合・FOMC「運命の決断」!利上げ確実?安達誠司が暴く!異例の植田総裁不在とドル円の真実【内田副総裁】
米国ではFOMCが予定されています。今回は、政策金利の決定だけでなく、政策金利見通しであるドット・プロットが公表される会合です。市場は、年内の利下げ余地がどの程度残るのか、あるいは高金利が長引く見通しなのかを確認することになります。
米インフレか中東リスクの低下か
5月米雇用統計は、ドル円の下値を支える材料になりました。非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り、前回値も上方修正されたことで、米景気の底堅さが改めて意識されました。
このため、米連邦準備制度理事会(FRB)がすぐに利下げ方向へ傾くとの見方は強まりにくい状況です。雇用が強いままであれば、FRBはインフレの再加速リスクを警戒しやすく、米金利も下がりにくくなります。
ただし、今回は中東情勢の変化も重要です。米国とイランの合意によって原油価格が下落すれば、エネルギー価格を通じたインフレ圧力は和らぎやすくなります。つまり、雇用はドル高材料、原油安はドル安材料です。今週のドル円は、この2つの材料の綱引きをどう読むかが重要になります。
投機筋の円売りポジションは約2年ぶりの水準

2026年6月9日現在、円買いポジションは前週比で+6,671枚となり、円売りポジションは前週比で+22,922枚となっています。これに伴い、投機筋ポジションの売り越しは前週比で+16,251枚となり、投機筋の円ショートは2024年7月以来の水準まで積み上がっています。米金利低下、日銀のタカ派姿勢、介入警戒などが重なれば、円ショートの巻き戻しによってドル円が急落しやすい点には注意が必要です。
ドル円テクニカル分析、週足でコマ足出現で調整の流れも警戒

日足チャートでは、5月安値の155.03円から上昇し、6月に160.592円まで戻した後、いったん上値が重くなっています。上昇トレンド自体は崩れていませんが、160円台前半では利益確定売りや介入警戒が意識されやすく、目先は押し目を探る場面です。
25日移動平均線は159.40円付近、75日移動平均線は158.95円付近です。現在値はこの2本を上回っており、形としてはまだ買い優勢です。ただし、週足ローソク足は、実体が非常に小さいコマ足が出現しているため、まずは159円台半ばから159円前後で下げ渋れるかが焦点です。
相対力指数(RSI、9日)は58.5です。買われ過ぎの70には届いておらず、過熱感はやや後退しています。一方で50は上回っているため、売り優勢に転じたというより、上昇トレンド内の調整と見るのが自然です。
上値では、直近高値の160.59円付近、その上の5月高値160.72円付近が抵抗帯です。ここを明確に上抜ければ161円方向も視野に入りますが、160円台では介入警戒が強まりやすく、深追いは避けたいところです。
下値では、まず159.40円付近の25日線が重要です。ここを守れれば短期上昇トレンドは維持されます。次に、158.95円付近の75日線が大きなサポートです。ここを割り込むと、158円台前半まで調整が深まる可能性があります。
プロの視点と、ご自身のシナリオの組み立て方
メインシナリオは、160円台で追い買いせず、159円台半ばから159円前後への押し目を待つ形です。
買いを検討するなら、第一候補は159.30〜159.50円です。より慎重に見るなら、75日線に近い158.90〜159.10円まで待つ考え方もあります。
損切りは、短期なら158.90円割れ、やや広めなら158.70円割れを目安にします。75日線を明確に割り込むと、上昇の勢いはいったん後退したと判断する余地が出てきます。
売買水準の目安
- 第一の買い場 159.30〜159.50円
- 慎重な買い場 158.90〜159.10円
- 損切り 158.70〜158.90円割れ
- 第一利食い 160.20〜160.30円
- 第二利食い 160.50〜160.70円
- 上抜け時の目標 161.00円前後
ただし、これはあくまでベースシナリオです。米雇用統計の強さを重視するなら、159円台では買いが入りやすいと見ることもできます。反対に、中東リスク後退による原油安・ドル安圧力を重視するなら、160円台では上値が重いと見ることもできます。
大切なのは、どちらの見方が正しいかを先に決めることではありません。159.40円の25日線、158.95円の75日線、160.59円から160.72円の上値抵抗帯を見ながら、ご自身の見立てに合わせて戦略を組み立ててください。
今後の見通し
今週のメインシナリオは、160円台では戻り売りが出やすく、159円前後から158円台後半で下げ渋りを確認する展開です。
米雇用統計の強さはドル円の下値を支える一方、米イラン合意による原油安・株高はドルの上値を抑える材料になります。さらに、日銀会合とFOMCという重要イベントを控えているため、160円台では積極的に上値を追いにくい相場です。
ただし、米長期金利はなお高く、円ショートも残っているため、ドル円が一方向に崩れる可能性も現時点では限定的と考えます。まずは159.40円の25日線、深くても158.95円の75日線で下げ渋れるかがポイントです。
【あなたの見通しは?】
今週のドル円について、ご自身の見立てに近いものはどれでしょうか。
- A. 強い米雇用統計と米長期金利の高さを重視し、159円前後では下げ渋ると見る
- B. 中東リスク後退による原油安・ドル安圧力を重視し、160円台では上値が重いと見る
- C. 日銀会合とFOMCを見極めるまで、159円台中心のレンジ相場を想定する
どれを選ぶかよりも、「なぜそう考えるのか」を言葉にできることが重要です。市況を読むだけで終わらせず、自分のシナリオに置き換えた時点で、相場との向き合い方は一段変わっています。
今後の重要イベント
- 6月15日(月) 米国 22:15 5月鉱工業生産・設備稼働率
- 6月16日(火) 日本 昼前後 日銀金融政策決定会合の結果公表
- 6月16日(火) 日本 15:30 内田日銀副総裁会見
- 6月16日(火) 米国 21:30 5月輸入物価・輸出物価指数
- 6月17日(水) 米国 21:30 5月小売売上高
- 6月17日(水) 米国 27:00 FOMC声明、ドット・プロット
- 6月17日(水) 米国 27:30 ウォーシュFRB議長会見
- 6月18日(木) 米国 21:30 新規失業保険申請件数
- 6月19日(金) 米国 奴隷解放記念日で米金融市場は休場
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