
平素より野村雅道氏のメキシコペソ見通しレポートをご利用いただき、誠にありがとうございます。 誠に勝手ながら、2025年10月31日をもちまして本レポートの配信を終了させていただくこととなりました。これまで長らくご愛読・ご利用いただき、心より御礼申し上げます。
総括
FX「注目は3Q・GDP、ペソは静かに年初来2位堅持」メキシコペソ見通し
予想レンジ 8.0-8.5
(通貨2位、株価5位)
(ポイント)
*5日連続陽線。10月17日の長い下ヒゲが効く
*メキシコペソは年初来2位
*今後の注目の指標は3Q・GDP、9月貿易収支、失業率
*10月前半インフレ、小売売上、経済活動指数の結果は
*USMCA見直し、北米3カ国の合意は難しいか
*来年は緩やかに回復へ、IMFが成長見通し大幅修正
*株は強い 金利は低下傾向
*米国は50人以上のメキシコ政治家のビザを取り消す
*中銀議事要旨では追加利下げを示唆
*大統領支持率73%!
*郷里送金減少傾向
*FDIは米関税賦課の不確実性の中でも増加
*米との論点=関税、麻薬、移民、LA騒乱、送金課税、USMCA、司法、水、等々
(メキシコペソは年初来2位)
今月はメキシコペソが一時スイスを抜いて首位奪取(年間)したが続かず現在は2位。対円9.95%高、対ドル11.73%高。ボルサ株価指数は年初来24.29%高。10年国債利回りは8.53%で年初の10.83%から低下傾向。
(今後の注目の指標は3Q・GDP、9月貿易収支、失業率)
IMFなどが2025年の成長見通しを上方修正したが、10月30日に発表される3Q・GDPの予想は弱い。前期比で0.4%減少、前年比で0.8%減少。前期はそれぞれ0.6%増と前期比変わらずであった。後の指標は3Q・GDPの他に27日に9月貿易収支、28日に9月失業率がある。
(10月前半インフレ、小売売上、経済活動指数は)
10月前半消費者物価は3.63%上昇、前回は3.74%、コアは4.24%上昇、前回は4.26%。
依然コアが目標の上限である4%を上回っているが景気回復したと雖も低成長なので追加利下げ観測はある。
8月小売売上は前年比2.4%増で7月と変わらず。
8月経済活動指数は前年比で0.9%減少、7月は1.1%減少。前期比では0.6%増。7月は0.9%減少。経済活動指数はGDPを表すと言われるが8月は7月から若干改善。
(USMCA見直し、北米3カ国の合意は難しいか)
USMCAの見直しが始まっている。北米に進出している日系企業のビジネスは、USMCAの利用を前提にしているケースが多く、見直しの内容によっては、事業に大きな影響を及ぼす可能性がある。だが、見直しで3カ国が合意に至る可能性は低いとの見方が大勢だ。
米国は必ずしもUSMCAの継続にコミットしておらず、メキシコ、カナダそれぞれとの2国間協定の締結を示唆している一方、米国‐メキシコ間、米国‐カナダ間ではそれぞれ関税・非関税障壁が複数あることなどから、2026年7月の見直しで、協定の存続で合意に達するのは難しいと現時点ではみられている。合意できなかった場合、それ以降毎年、見直しを実施することが規定されている。こうした状況になれば、USMCAが中長期的に存続するのか不透明な状態が続くことになり、企業の事業計画に影響を及ぼし得る。
テクニカル分析
5日連続陽線。10月17日の長い下ヒゲが効く
日足、5日連続陽線。10月17日の長い下ヒゲが効いている。10月17日-23日の上昇ラインがサポート。10月9日-23日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、雲の上維持。ボリバン2σ上限。9月29日週-10月13日週の上昇ラインがサポート。24年5月20日週-25年10月6日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、8月は4か月ぶり陰線も9月は陽線。10月もここまで陽線。ボリバン中位越え。8月-9月の上昇ラインがサポート。24年5月-25年9月の下降ラインが上値抵抗だが上抜く。5か月線上向き、20か月線下向き。
年足、2024年は4年振り対円で年足が陰線。今年は5月以降円と大接戦となったが現在はペソが円を大きく上回る。23年-24年の上昇ラインを一時下抜くが上抜き返す。21年-22年の上昇ラインがサポート。

VAMOS MEXICO
来年は緩やかに回復へ
エコノミスト33人への調査によると、メキシコ経済はインフレ上昇リスク懸念がありながらも、今年のほぼ停滞した状態から2026年にかけて緩やかに回復する見通し。
メキシコは25年前半、政府支出の減少や米関税を巡る不透明感の高まりによって一時的に停滞したが、その後は持ち直しつつある。
USMCAの再交渉が順調に進むと期待され、サッカーのワールドカップが短期的な景気刺激効果をもたらすと見込まれることが、主要な回復要因に挙げられている。
しかし、既に実施されている米関税措置や世界的な関税引き上げ懸念が、引き続きメキシコ経済の重荷となっている一方で、とりわけ自動車産業のような最も影響が大きい部門で貿易交渉が長引いている。
調査結果の中央値によると、GDPの予測は25年が0.5%増、26年が1.3%増。中銀が緩やかな金融緩和政策を継続しているため、25年が0.0%、26年が1.2%増とした7月時点の予測よりも上方修正された。
インフレ率は中銀が掲げる3%±1%の目標の上限近くで推移する見通しだ。(ロイター)
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