
このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
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高市首相で日銀利上げ遠退くとの見方 キャリートレードのペソ買い
ペソ/円は6日の東京市場で急伸。午後には8.160円前後まで上昇して昨年8月以来の高値を付けた。4日に行われた自民党総裁選で金融緩和と財政拡大に前向きな高市早苗前経済安全保障担当相が勝利。15日にも行われる首班指名選挙を経て第104代の日本国首相に就任することが確実視されている。こうした中、日銀が利上げを継続しにくくなるとの見方から週明けの取引開始と同時に円売りが活発化。同様の見方から日本株が大幅に上昇する中、投資家のリスク志向の高まりによって、高金利通貨の代表格であるメキシコペソを買う動きも強い。
自民党総裁選を巡っては、高市氏を不利とする事前報道もあったことから、市場の円安・株高の初期反応がやや増幅された面もあるようだ。とはいえ、こうした金融市場の反応が一過性のものに終わるとは言い切れないだろう。金利市場が織り込む日銀の今月利上げの確率は、総裁選前の6割弱から半分以下の2割強へと低下したが、これについては「依然として利上げ期待が2割強も残っている」と見ることもできる。そこで、注目されるのは8日に予定されている植田日銀総裁の講演となりそうだ。総裁は先週3日の講演で早期利上げに慎重な姿勢を示した。8日の講演が同様の内容であれば「2割強」も残った利上げ期待がさらに低下し、あらためて円が売られることも考えられる。この場合、日本株も続伸が見込まれることから、キャリートレードのペソ買い・円売りが一段と活気づくだろう。
メキシコペソ/円 週足チャート

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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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