米雇用統計後の為替相場分析:予想外の展開と今後の見通し 【明快!テクニカルレビュー】
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動画解説
相場分析ポイント解説・通貨ペア分析
米雇用統計結果と予想外の市場反応
米雇用統計の発表を受けた市場の動きは、予想していたシナリオとは正反対の展開となりました。当初想定していたアメリカの景気鈍化による金利低下、ドル売り、株高のシナリオとは異なり、金利が大幅に上昇し、ドル高方向に動きました。円については円安が進行し、見た目にはドル安よりも円安の影響が強く表れる結果となりました。
金利動向と今後の注目点
ドルの金利動向に引き続き注目が必要です。現時点では、ドル金利がどんどん上昇していく局面からは遠いと考えられますが、これだけ金利が上昇すると市場環境も複雑になります。ドル安のシナリオはまだ残っているものの、難しい局面が続くため、チャートを見ながら素直にトレードしていくことが重要です。
ドル円相場の現状分析
先週のドル円は陰線、陽線、陰線、陽線と値動きが激しく、金曜日は陽線で引けました。短期と長期の移動平均線の中間付近まで戻しましたが、積極的に買いを入れる状況からは遠い状況です。MACDがゴールデンクロスを形成し、金曜日の足形は月曜日から木曜日の取引レンジに腰掛けるような形となっているため、大きく下押しするリスクは低下したと考えられます。ただし、長期の移動平均線は依然として下落傾向を保っており、チャートが陽転したとは言えない状況です。
ユーロ円の強い上昇トレンド
ユーロ円は木曜日、金曜日と連続して大きく上昇し、5月13日の高値を終値ベースで抜けて高く引けました。165円台は昨年11月以来、半年ぶり以上の水準となります。明確に円安への足掛かりを築いたと判断できる状況で、円安方向への動きが期待されます。MACDも0ラインの上側でゴールデンクロスを形成しており、強気に傾けても良いチャートとなっています。
ポンド円と豪ドル円の状況
ポンド円はユーロ円と似た雰囲気ですが、5月中旬の高値を超えきれていない点が異なります。MACDは0ラインの上側でゴールデンクロス、実体線も3本の移動平均線の上側に位置していますが、上下のブレが大きく、戻り高値を超えきれていないため、買うならユーロ円の方が良いと考えられます。
オージー円も木曜日、金曜日と陽線が出現しましたが、5月上旬の高値を抜けきれていないため、積極的に買い進める状況からは遠い状況です。0ラインの上側でゴールデンクロスしているものの、他の対円ペアと比較すると魅力は劣ります。
対円ペアの投資判断序列
対円ペアの中では、ドル円が最も買いにくく、次に買いにくいのがオージー円、ポンド円は買いにくいものの、最も買いやすいのはユーロ円という序列になります。ユーロが相対的に強く、円が相対的に弱いことで、ユーロ円が際立っている状況です。
対ドルペアの動向と今後の見通し
ユーロドルは金曜日に陰線で終わりましたが、チャートが陰転したわけではありません。先週の取引は月曜日の陽線の範囲内の動きであり、中期長期の移動平均線も右上がりを維持しています。上値追いには再度高値を更新して高く引ける条件が必要です。
ポンドドルも金曜日に陰線で沈みましたが、ユーロドルと同様にチャートが陰転したわけではなく、戻れば上値追いの余地は十分あります。オージー米ドルも中途半端に引けましたが、高いレベルを保っての週越しとなっており、チャートが悪化したわけではありません。
個人的には、まだドル安の芽は十分残っていると考えており、今後の展開に注目していきたいと思います。
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株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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