執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は92.47円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は85.25円前後で週初を迎えました。前週末にトランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する50%の関税賦課を発動する考えを示していましたが、欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談後に「発動期限を7月9日まで延期」と明かしたことで、リスク回避の巻き戻しが優勢になりました。29日には米国際貿易裁判所がトランプ大統領の関税政策の大部分を違法と判断したことで、米ドルが急反発。米ドル/円が大きく上昇した影響から豪ドル/円は93.89円前後、NZドル/円は87.02円前後まで上値を伸ばしました。ただ、その後は米ドル/円が反落したため、豪ドル/円、NZドル/円も下落となっています(執筆時)。
来週GDP発表でRBA追加利下げ観測に注目
今週発表された豪州の主要な経済指標を見ると、28日に発表された豪4月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%で前月から横ばいとなった一方、30日の豪4月小売売上高は前月比-0.1%と市場予想(+0.3%)に反して前月から減少となりました。小売売上高の落ち込みは、衣料品などの身の回り品の小売業と百貨店の売り上げが大きく減少したことが主因です。豪統計局(ABS)の担当者は「4月は例年より暖かく、消費者は冬物の購入を控えた」(※豪州は南半球に位置するため、北半球の国とは夏冬が逆)と分析しており、この落ち込みは一時的なものと考えられます。こうした指標の結果を受けて、金利先物は豪準備銀行(RBA)の年内3回利下げを完全に織り込んだ状態となりました。
来週4日(水)には豪1-3月期国内総生産(GDP)が発表されます。豪州の個人消費はGDPの約5割を占める重要な要素です。前述の豪4月小売売上高は低調な結果に終わりましたが、1~3月の小売売上高は堅調な伸びを示していたことから、個人消費に関してはGDPのマイナス要因になる可能性は低そうです。豪1-3月GDPの市場予想は前期比+0.4%となっています。仮に市場予想を下回る結果となった場合は、まだ完全に織り込みきれていない次回7月のRBA理事会での追加利下げの可能性が高まることになりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円はローソク足が雲の上で推移しています。5月23日に雲上限で下値を支えられたため、引き続き同線がサポートとなりそうです。この水準を下抜けた場合には、心理的な節目となる90.00円がサポートとなるでしょう。一方上値では、5月20日、28日と93.80円台でキャップされたことから、同水準が目先のレジスタンスとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:90.00-94.50、NZD/JPY:84.00-88.00
6/2週のイベント:
06/03 (火) 10:30 豪 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
06/03 (火) 10:30 豪 1-3月期経常収支
06/03 (火) 10:45 中国 5月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
06/04 (水) 10:30 豪 1-3月期四半期国内総生産(GDP)
06/05 (木) 10:30 豪 4月貿易収支
06/05 (木) 10:45 中国 5月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
一言コメント:
息子にみまもりGPSというのを持たせています。息子の持っている機器にGPS機能が付いていて、その機器と紐づけたスマホならアプリで居場所が確認できます。先日、息子が遠足に行った際には、GPSの動きをみて「今はお昼かな?」など想像していました。面白いです。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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