執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は93.84円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は86.50円前後で週初を迎えました。週末に行われた米中貿易協議で「著しい進展」があったと米中両国が発表したことで、これまでリスク回避目的で買われていた円売りが先行したため、豪ドル/円、NZドル/円ともに前週末から70銭近く上昇して週初を迎えました。12日には米中が互いに115%ずつ関税を引き下げることを公表したことで円売りが加速。中国と交易関係の強い豪ドルやNZドルはこれを好感し、13日には豪ドル/円が一時95.64円前後、NZドル/円は87.73円前後まで上値を伸ばしました。ただ、その後は円安是正の思惑もあり円が急速に買われたことで、豪ドル/円は93.00円台、NZドル/円は85円前半まで下落しました（執筆時）。
RBAの利下げは織り込み済み 注目は？
今週14日に発表された、豪1-3月期賃金指数（WPI）は前年比+3.4%と前期（+3.2%）から賃金上昇率は加速していました。また15日に発表された、豪4月雇用統計では新規雇用者数が市場予想（2.25万人増）を大幅に上回る8.90万人増、労働参加率は過去最高に迫る67.1%まで上昇していました。これらの指標結果は、豪労働市場は引き続き強い状態であることを示しています。
豪準備銀行（RBA）は2月の会合で、コロナ禍以降初めて利下げを実施しました。前回4月の会合では政策金利こそ4.10%で据え置きましたが、ブロックRBA総裁は5月の会合での利下げについて「データを待つのが賢明」と述べるなど、データ次第の姿勢を示しました。4月30日に発表された豪1-3月期CPIは前期に続いて前年比+2.4%でした。つまり、労働市場が強く、インフレが反発する可能性があるにもかかわらず、インフレ率は豪準備銀行（RBA）の目標レンジ（2-3%）の中央付近で安定しているということです。そのため、短期金利やオーバーナイト・インデックス・スワップ（OIS）では20日に開催されるRBA理事会で、RBAは25bp（0.25%）の利下げを実施することをほぼ織り込んでいます。予想通り、RBAが利下げを実施した場合、市場の注目は次の利下げ時期に移ります。現時点で市場は今回RBAが利下げをした場合は、その次の利下げは次々回の8月会合になると予想しています。RBA声明やブロック総裁の会見で連続利下げの可能性があることが示されれば、豪ドル売りで反応することになりそうです。
【豪四半期CPIとWPIの推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
5月に入り、日足一目均衡表・転換線が豪ドル/円のサポートとして働いていましたが、同線を下抜けてしまいました。短期的には同線が上値目途として意識されやすそうです。その上では、今週高値（95.64円前後）がレジスタンスとして意識されそうです。
一方下値は、日足一目均衡表・雲がサポートとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：91.50-95.50、NZD/JPY：84.50-87.50
5/19週のイベント:
05/19 (月) 07:45 NZ 1-3月期四半期卸売物価指数（PPI）
05/19 (月) 11:00 中国 4月小売売上高
05/19 (月) 11:00 中国 4月鉱工業生産
05/20 (火) 13:30 豪 豪準備銀行（RBA）、政策金利発表
05/21 (水) 07:45 NZ 4月貿易収支
05/23 (金) 07:45 NZ 1-3月期四半期小売売上高
一言コメント：
最近、子供と一緒に21時台に寝ることが増えて、体力の衰えを感じます。ただ私の場合、平日は4時起きなので、21時に寝ても寝すぎではありませんが…
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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