来週の為替予想（豪ドル/円 NZドル/円）「米中貿易協議に期待？金輸出が豪ドルのネックになる可能性」ハロンズ FX 2025/5/10　＃外為ドキッ

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執筆：外為どっとコム総合研究所　中村　勉
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今週の振り返り

今週の豪ドル/円は93.30円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は86.03円前後で週初を迎えました。
週前半は米中関税問題の先行き不透明感が相場の重石となる中で、リスク回避の動きが先行。豪ドル/円は92.10円台、NZドル/円は85.20円台まで下落する場面も見られました。週後半に入ると、米英が貿易協定を締結したことで、他国との関税協議進展への期待が高まりリスク選好の動きに転じました。また、米中が週末にスイスで貿易交渉に向けて会談することについて、トランプ米大統領が「実質的な交渉」などと発言したため、米中貿易摩擦解消への期待が高まり、豪ドル/円は93.50円台、NZドル/円は86.20円台まで上値を伸ばす場面も見られました（執筆時）。

米中貿易摩擦の進展に注目

トランプ米大統領が、週末のスイスでの米中会談は「実質的な交渉」「上手くいけば対中関税を引き下げる可能性」などと語ったことで、会談への注目度や期待値が一層高まっています。その分だけ、交渉が期待したほどではなかった場合は来週月曜日のオープンから豪ドル/円、NZドル/円ともに大きく下方向に窓を開けて取引開始となる可能性がありますので、十分注意しましょう。

経済指標に目を向けると、来週は豪州にて14日（水）に1-3月期賃金指数（WPI）が、15日（木）に4月雇用統計が発表されます。WPIは2023年10-12月期をピークに低下傾向にあり、前回（2024年10-12月期）は前年比+3.2％でした。ただ、賃金上昇率からインフレ率を差し引いた実質賃金はプラスを維持しています。今回のWPIの市場予想は前回同様に+3.2％となっています。4月30日に発表された1-3月期消費者物価指数は前年比+2.4％でしたので、WPIが予想通りであれば実質賃金は前期から横ばいとなります。予想を下回った場合には、各家庭で自由に使えるお金が目減りしていることになりますので、豪経済の先行き不安につながり豪ドル売りで反応することになりそうです。
翌15日の豪4月雇用統計について、豪州の労働市場は大きく悪化を示す月もありますが、比較的好調な状況を維持しています。ただし、労働参加率の低下を伴う失業率の悪化など、豪労働市場の減速を想起させるような結果になった場合には、こちらも豪ドル売りで反応しそうです。
ただし、現在の市場の最大の注目は米中関税問題であり、今週末に開催される米中会談です。中国と交易関係の強い豪ドルへ与える影響は、豪州国内の経済指標よりも大きなものになりますので、今後も米中問題に関するヘッドラインには引き続き注意しましょう。

【豪四半期CPIとWPIの推移】

豪ドル/円のテクニカル分析

今週の豪ドル/円は日足一目均衡表・雲を上抜けそうですが、今回は雲が急激に切り下がっている中での上抜け（の可能性）ですので、雲の水準はあまり意識しなくてもよさそうです。目先の上値目途としては93円台半ばが今月に入ってからレジスタンスとして働いていることから、ここを上抜けられるかがポイントになります。上抜けに成功すれば、米中関税戦争勃発前の高値（95.31円前後）が次の上値目途となりそうです。一方下値は、今月に入ってから日足一目均衡表・転換線がサポートして働いているため、来週も目先の目途となりそうです。

【豪ドル/円　日足・一目均衡表】