メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。
作成日時 :2025年5月9日14時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
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執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
豪ドル/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
先週の豪ドル/円は93円を挟んで一進一退
NYダウ平均株価が10日ぶりに下落するなどリスクオンの流れが一服した5日に93円台を割り込むと、6日には92.10円台まで続落しました。しかし、92円台前半では下値が堅く、米中貿易交渉の初開催が決まった7日には93円台を一時回復。もっともこの日は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後にドル高・豪ドル安に振れたことなどから、再び92円台前半へと失速しました。それでも8日にはトランプ米大統領が中国との交渉次第では関税の引き下げもあり得ると述べたことで93.50円台に持ち直すなど、米中貿易交渉への期待と不安が交錯する中で一進一退の動きが続き、9日の東京市場でも93.00円を挟んで推移しています。
今週の豪ドル/円の注目ポイントは労働市場と米中交渉
今週は14日に豪1-3月期賃金指数、15日に豪4月雇用統計と豪州の労働市場に関する重要統計が立て続けに発表されます。市場は豪中銀(RBA)が4月理事会の議事録で「5月会合が金融政策設定を再検討する好機になる」との見解を示したこともあって、来週20日の理事会で25bp(0.25%ポイント)の利下げが決まるとの見方を強めています。ただ、RBAは同じ4月議事録の中で次期尚早な利下げによってインフレ抑制の進展をリスクにさらすことへの慎重な姿勢を示した上で「5月の措置(利下げ)は事前に決定されたものではない」と強調しています。RBAはインフレ統計である賃金指数にも注目しているでしょう。また、RBAは米連邦準備制度理事会(FRB)と同様に、物価安定と完全雇用を目標に金融政策を運営しています。したがって、1-3月期賃金指数と4月雇用統計は、RBAにとって利下げ再開の判断に向けた最後のチェックポイントになる公算です。これらの結果で市場の利下げに対する見方も変化する可能性があるため要注目です。さらに、豪州最大の貿易相手国である中国が、10日から11日にかけて米国と貿易に関する初の閣僚級協議を行います。お互いが100%を超える関税を課すなど貿易戦争の様相を呈している中で、対立緩和に向けた動きが期待されています。来週初めはこの米中貿易交渉の結果が豪ドル/円相場でも材料視されることになりそうです。
今週の豪ドル/円の見通し
予想レンジ
91.500円~95.000円
基調
方向感模索
今週の注目ポイント
☆5/10-11 米中貿易交渉(スイス)
☆5/14 豪1-3月期賃金指数
☆5/15 豪4月雇用統計
・ 主要国株価、国際商品価格

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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