執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は90.45円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は84.27円前後で週初を迎えました。トランプ米大統領によるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長への口撃が強まる中、FRBの独立性への疑念が米ドル売りを強め、豪ドルやNZドルは対米ドルでは底堅い動きとなりました。一方で、日米財務相協議では円安是正が話し合われる可能性があると市場は警戒していたため米ドル/円は下落。週前半は豪ドル/円とNZドル/円は強い円と弱い米ドルの引っ張り合いとなり狭いレンジでのもみあいが中心となりました。週後半に入ると、米中貿易摩擦改善に向けたコメントが見られたことで、過度のリスク懸念が後退したことで、豪ドル/円は91円台半ば、NZドル/円は85円台半ば前上値を伸ばしました(執筆時)。
CPI低下でも豪ドルへの影響は限定的?
来週の豪州の注目経済指標は30日(水)に発表される1-3月期消費者物価指数(CPI)と3月CPI、5月2日(金)の3月小売売上高となります。豪州の四半期CPIは豪準備銀行(RBA)が最も注目するインフレ指標です。前回(2024年10-12月期)は前年比+2.4%まで低下しており、その結果を見て2月18日の理事会でコロナ禍後初の利下げを実施しました。その後も四半期CPIの補助的な役割を持つ月次CPIは2%台半ばで推移していることから、利下げしてもRBAの金融政策は依然として引き締め的であることを示唆しています。来週発表の豪1-3月期CPIの市場予想は+2.3%、コアCPIにあたるCPIトリム平均は+2.8%(10-12月期+3.2%)となっています。市場の予想通り、CPIが2%台前半、コアCPIがRBAのインフレ目標である2~3%のレンジ内に落ち着けば、次回(5月20日)の理事会での追加利下げの可能性がぐっと高まることになるでしょう。ただし、金利先物でみる5月の25bp(0.25%ポイント)利下げはすでに完全に織り込まれているため、1-3月期CPIが市場予想通りであれば、豪ドル相場への影響は限定的となりそうです。
また、2日に発表される豪3月小売売上高の市場予想は前月比+0.4%となっています。RBAは2月の理事会で豪州の雇用とインフレ、そして経済状況を気にしていました。米国の関税による豪経済への影響が不透明な中で仮に弱い結果となった場合には、RBAが今後利下げペースを早めることも考えられます。豪1-3月期CPIと豪3月小売売上高はRBAの今後を占ううえで注目です。
【豪四半期、月次CPI推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
今週の豪ドル/円は日足一目均衡表・転換線がサポートして機能しました。来週も目先の下値目途はとして意識されそうです。その下の水準では今週22日安値の89.64円前後がサポートになりそうです。一方上値は4日高値の92.65円前後が目先の上値目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:90.00-94.00、NZD/JPY:83.50-87.50
4/28週のイベント:
04/30 (水) 10:00 NZ 4月ANZ企業信頼感
04/30 (水) 10:30 中国 4月製造業購買担当者景気指数(PMI)
04/30 (水) 10:30 豪 3月消費者物価指数(CPI)
04/30 (水) 10:30 豪 1-3月期四半期消費者物価(CPI)
04/30 (水) 10:45 中国 4月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
05/01 (木) 10:30 豪 1-3月期四半期輸入物価指数
05/01 (木) 10:30 豪 3月貿易収支
05/02 (金) 07:45 NZ 3月住宅建設許可件数
05/02 (金) 10:30 豪 1-3月期四半期卸売物価指数(PPI)
05/02 (金) 10:30 豪 3月小売売上高
05/03 (土) 豪 総選挙
一言コメント:
ゴールデンウィークが近付き、気温もやっと上がってきました。そうなるとBBQをしたくなるのですが、今年は息子のサッカーと野球の練習が毎日のように入っていて私も付き添いで行くのでBBQどころではありません…
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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