総括
FX「連立政権樹立への道へ2週間」南アランド見通し
「通貨7位、株価17位」
「予想レンジ 南アランド円8.1-8.6」
(ポイント)
*南ア与党ANCは総選挙で過半数を割り込む
*ANCは連立政権樹立へ向け野党と協議を行う(6月2日から14日以内)
*政策金利は据え置き、インフレ懸念は弱まる
*今週は1Q・GDPの発表
*資源価格 上昇一服
*豪BHP、アングロ買収断念を表明
*トリプル高のリズム崩れる
*4月消費者物価は若干低下
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*IMFが2024の成長見通しを0.1%引き下げ
*現在、電力負荷制限は行われていない
*日本企業、海外企業も問題山積でも撤退せず
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*中国と南アの関係は強化されている
(トリプル高からトリプル安へ)
5月月間は一時首位に立ったが、終盤は下落し月間は8位、年間でも7位となった。上昇は4月半ばのBHPのアングロアメリカンの買収交渉に始まり、銅を中心に南ア関連の資源価格が上昇、与党ANCの大統領選挙への見方が楽観的なものとなったことで上昇。しかし月の終盤にはその要因がいずれも崩れ下落した。株価も下落、全株指数は0.25%安となった。
10年国債利回りは前週末の10.79%から10.96%へ上昇(債券価格下落)。
(総選挙結果)
*ANC39.77% 159議席
*DA21.78% 87議席
*MK14.36% 58議席
*EFF9.68% 39議席
*IFP4.1% 17議席 *投票数16025198、投票率58.61%ANCは30年続いた議会での過半数を失った
南ア総選挙で、アパルトヘイト=人種隔離政策が撤廃されて以降、30年にわたって政権を担ってきた与党が初めて、議会で過半数を割り込む。汚職のまん延や経済の低迷、それに治安の悪化などへの国民の批判が高まっていた。
(連立政権への道)
南アの新議会は選挙結果が発表されてから14日以内に初めて開会し大統領を選出する必要があるため、連立協議を進展させ不確実性を最小限に抑えるには時間的なプレッシャーがある。
連立の選択肢は数多くあるが、ANCはMKや極左の経済的自由の闘士たちと組む可能性もある。ただし、両党は投資家を不安にさせるパートナーとみなされている。両党は、世界有数の産出国である南アフリカの金鉱山やプラチナ鉱山など、同国経済の一部を国有化すると約束している。
DAは以前からEFFとMKとは協力しないと述べており、両党を南アフリカにとっての「終末連合」と呼んでいる。スティーンホイゼン党首は日曜、国営テレビでの演説でこの立場を繰り返したが、DAは他党との協議を開始しており、「冷静かつ偏見のない態度で」アプローチしていくと述べた。
政治アナリストは、ANCとDAの連立政権は「おそらく安定をもたらすだろう」としながらも、ANC内には反対する者もいると指摘。他の小政党が関与して連立政権を弱め、ANCにとってより受け入れやすいものにする可能性があると、一部の評論家は指摘している。
「DAは長年にわたりANCを敵視してきた」と見られている。「今後数日間は非常に困難な時期となるだろう。人々は密室で大人にならなければならないだろう。」
(政策金利据え置き、インフレ懸念やや和らぐ)
南ア中銀は先週、予想通り政策金利を8.25%に据え置いた。据え置きは6会合連続。中銀はインフレリスクは幾分か緩和したものの、インフレ期待は高水準にあるとの認識を示した。
中銀は声明で、インフレリスクは現在は均衡しているとの認識を表明。インフレリスクは上方に傾いているとするこれまでの文言を削除した。
同時に、インフレ率は来年2Qに目標とする4.5%で安定化するとの見通しを示した。3月時点では、インフレ率がこの水準に達するのは2025年末になると予想していた。
クガニャゴ中銀総裁は「インフレリスクはおおむね均衡していると見なしている。ただ、インフレ期待が高いため、早急にインフレ目標を達成する必要がある」と言及。中銀の政策スタンスは効果を発揮しているが、インフレ率を目標に引き下げるためにまだやるべきことは残っているとの認識を示した。
(今週は1Q・GDPの発表)
予想は前期比0.7%増。前年比で0.5%増。新興国としては低い。停電、物流混乱などの問題が影響している。
(資源価格 上昇一服)
ひと頃の資源高は収まり、先週の南ア関連の資源動向は以下の通り(週間ベース)
・金 0.27%安・銀0.22%高・銅3.19%安・白金0.93%高・パラジウム6.66%安
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ上限から下限へ下落
日足、2段下げ。5月22日にボリバン2σ上限から下げ、3日連続陽線で戻すも、5月28日-29日の上昇ラインを下抜きボリバン2σ下限へ下落。4月19日-5月31日の上昇ラインがサポート。5月29日-30日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く、上向きの20日線を下抜く。
週足、2週連続陰線。ボリバン2σ上限から反落。5月13日週-20日週の上昇ラインを下抜く。5月6日週-27日週の上昇ラインがサポート。5週線下向く、20週線上向き。
月足、3か月ぶり陰線、2σ上限で伸び悩む。3月-4月の上昇ラインがサポート。22年6月-24年5月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。今年は円を大きく引き離す。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。
喜望峰
豪BHP、アングロ買収断念を表明
豪資源大手BHPは5月29日、アングロ・アメリカン>の買収を断念する方針を表明した。アングロ・アメリカンが買収提案期限の延長を拒否したため、法的拘束力のある買収提案は行わないと述べた。
BHPは声明で「南アフリカの規制リスクとコストに関し、アングロ・アメリカンと合意に達することができなかった」とし、リスクに対処するための「重要な情報」を得られなかったと表明。同時に「われわれの提案がアングロ・アメリカンの株主に価値をもたらすために最も効果的であるという見解を変えていない」とした。
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