執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年4月26日 13時10分
ユーロ/円170円、ポンド/円200円が見えてきているのか
ユーロ/円、ポンド/円も上伸
欧州や英国の景況感の改善期待、日銀会合が一段とタカ派色を強める会合にならなかったことから、ユーロ/円は167.382円、ポンド/円は195.131円まで年初来高値を塗り替えました。ユーロ/円については16年ぶり、ポンド/円は9年ぶりの高値圏となりました。イランとイスラエル問題がエスカレーションしなかったことも、リスクオンムードを後押しする格好になりました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロ、単なる下落過程の調整の見方も
域内の景況感、特にサービス分野の改善傾向が確認できるなど、ユーロ圏経済にとって前向きな材料が増えつつありユーロの下支えとなっています。経済回復がこのまま軌道に乗れば、ユーロが緩やかに戻りを試す期待はあります。しかしながら、こうした期待を支えている一因はECBに対する観測である点には注意が必要でしょう。来週に発表される消費者物価指数の結果次第では、ECBが6月・7月の両理事会で利下げするとの見通しへの支持も高まりそうで、その時はユーロが改めて下方向を試すことも考えられます。これをベースにすれば、現在のユーロ/米ドルは4月9日以降の下落の反発局面と捉えるのが妥当との見方から、4月9日高値(1.08846ドル)を起点としたフィボナッチリトレースメントの61.8%戻しとなる1.0776ドル付近や、その少し上の1.08082ドル(25日時点)を推移する200日移動平均線がレジスタンスとして意識されても不思議はなさそうです。
かたやユーロ/円は主要なレジスタンスラインを上抜けて、上昇ペースが加速しつつあり、1ユーロ=170円も意識され始めた雰囲気です。3月11日安値(160.217円)を起点とする、フィボナッチエクスパンションの100%ラインである167.408円を明確に突破できれば、170円の声も高まりそうです。ただ、このレベルで止められたときは、21日線(164.441円:25日時点)まで調整して、値固めする形になるのではないでしょうか。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:164.000-170.000
英ベイリー総裁、インフレ鈍化に自信
ベイリー英中銀総裁は「インフレ率が来月には急低下し、目標の2%へ大きく近づく」との見通しを示したのも束の間、ピル英中銀エコノミストは「インフレの状況は3月からほとんど変わっていない」、「FRBやECBと歩調を合わせる理由もない」と市場の見方を軌道修正しました。英中銀も一枚岩ではないようです。FRBやECBを巡る議論は市場でかなり進んだ雰囲気はあるものの、英中銀についてはまだ十分に議論が尽くされたと言いにくい状況で、今後も当局者の見解やファンダメンタルズに一喜一憂することになりそうです。来週は、目立った経済指標がない中で、ポンドは方向感が出にくそうです。
もっとも、諸外国との圧倒的な金利格差から円安バイアスがかかりやすい状況に変わりがないため、本邦政府の円安けん制トーンが一段と高まることは必至ですが、少なくとも市場センチメントでは、ポンド/円の底堅い推移が意識されそうです。一応、どのあたりで政府が円安対策へ本腰を入れてくるのかは気にかけておきたいです。
ポンド/円は、2015年の高値195.883円が迫っています。ここを抜けると、上方向に目立ったレジスタンスは見当たらず、1ポンド=200円が意識されてくるかもしれません。目先は、2015年の高値(195.883円)をすんなりとクリアしていけるかどうかが着目されそうです。一方で、足許の上昇ペースが速かったこともあり、日足一目均衡表・転換線、同基準線、21日移動平均線が推移する192円前半から後半レベルまでの調整は想定しておくべきでしょう。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:192.000-198.000
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一言コメント
4月30日は天からの恩恵を受けやすいと言われる天恩日(てんおんにち)です。新しいことを行うと良いと言われています。三日坊主の私も、この日から運動を始めれば、1週間程度は持続できるのだろうか。
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