主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年3月14日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼13日(水)の為替相場
(1):春闘の結果を受けて一時円買い
(2):岸田首相「デフレ脱却には至っていない」
(3):英月次GDPは予想通り
(4):欧鉱工業生産は大幅な落ち込み
(5):日銀観測報道も反応は円買い続かず
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:ドルの動きがカギ/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
13日(水)の為替相場
期間:13日(水)午前6時10分~14日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):春闘の結果を受けて一時円買い
日銀がマイナス金利の解除を判断する上で注目する春闘を巡り、トヨタ自動車が労組の賃上げ要求に対し満額回答したことが伝わると、日経平均株価が下落に転じるとともに一時円買いに傾いた。
(2):岸田首相「デフレ脱却には至っていない」
岸田首相が「日本経済はデフレ脱却には至っていない」と発言したことで円売りに傾く場面があった。日銀のマイナス金利解除をけん制したと受け止められた模様。ただ、首相は「政府によるデフレ脱却の判断は、日銀の金融政策変更そのものと連動するものではない」とも説明した。岸田首相の発言とほぼ同時に植田日銀総裁が、マイナス金利解除について「春闘の動向は大きなポイント」として「企業から賃上げ回答が今後表明されていく。その他のデータや様々なヒアリング情報を総合的に点検した上で適切に判断していきたい」と述べたことも伝わった。
(3):英月次GDPは予想通り
英1月国内総生産(GDP)は前月比+0.2%と予想通りだった一方、英1月鉱工業生産は前月比-0.2%と市場予想(±0.0%)を下回った。また、英1月貿易収支は145.15億ポンドの赤字だった(予想150.00億ポンドの赤字)。
(4):欧鉱工業生産は大幅な落ち込み
ユーロ圏1月鉱工業生産は前月比-3.2%と市場予想(-1.8%)以上の落ち込みとなった。前月分も+2.6%から+1.6%へ下方修正された。
(5):日銀観測報道も反応は円買い続かず
日本経済新聞は「日銀、マイナス金利解除議論へ 賃上げ集計見極め判断」として、日銀は来週18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利を解除するか議論すると報じた。これを受けて一時円買いに傾いたが、これまでの観測報道と同内容で目新しさがなかったことから円買いは続かなかった。
13日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:ドルの動きがカギ
昨日のドル/円はほぼ横ばい。日銀が来週にもマイナス金利を解除するとの観測から147.20円台へ下落したが、海外市場では米長期金利の上昇を背景に148.05円前後へと反発した。ただ、148円台では上値が重く前日比10銭程度ドル高・円安水準の147.77円前後で取引を終えた。
昨日も日銀の政策修正を巡る観測報道が相次いだが円相場の反応は限定的だった。昨日、植田日銀総裁が政策判断のポイントだと指摘した春闘の動向についても、明日の連合による回答集計が前年を上回ることはすでに確実視されている。市場は来週の日銀による利上げへの備えをほぼ終えたと見て良さそうだ。したがって、本日のドル/円相場はドルの動きがカギになると見ている。NY市場で発表される米2月小売売上高を始め、米2月生産者物価指数(PPI)、米新規失業保険申請件数などの結果が注目されよう。
注目の経済指標:米小売売上高など
注目のイベント:欧州要人発言
※時間は日本時間での表示になります。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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