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ドル/円の1月見通し「日米ともに1月金融政策変更なしの公算」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

「見通しの要約」2024年初め、ドル/円は2営業日で約3円上昇した。この上昇は、能登半島地震の影響で日銀の緩和策の修正が遅れるとの観測と、米国の早期利下げに懐疑的な見方に基づくものである。米国ではFOMC議事録が金利を高水準に維持する可能性を示唆しており、1月のFOMCでの利下げの可能性は低い。ドル/円は昨年の高値と安値の半値戻し地点である146.08円を目指す動きが予想され、140円台後半がサポートとなる見込みである。予想レンジは140.500~146.500円。

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のドル/円ポジション動向
・1月の日・米注目イベント
・ドル/円 1月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 12月の推移

12月のドル/円相場は140.255~148.341円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約4.8%下落した(ドル安・円高)。

日銀による早期のマイナス金利解除観測が円高材料として意識された一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測がドル安材料として意識された。円高の決め手になったのは7日の植田日銀総裁による「チャレンジング」発言であり、ドル安の決め手はパウエルFRB議長の「利下げを議論した」との発言(13日)だった。

植田総裁の発言についてはその後、日銀関係者や自身の口から金融政策に関する発言ではないとの指摘が相次いだが、市場はこれを額面通りには受け取らなかった。2024年1月の次回会合でマイナス金利が解除されるとの見方はやや後退したが、4月には解除されるとの見方がむしろ強まった。

パウエルFRB議長の利下げに関する発言についても、米連邦公開市場委員会(FOMC)の副委員長でもあるウィリアムズNY連銀総裁らが早期利下げを否定したが、2024年3月の利下げ開始をほぼ織り込んだ市場はあまり耳を貸さなかった。22日に発表された米11月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が予想を下回るなど米国のインフレ鈍化基調が確認されたことで、ドルは年末に向けて手仕舞い売りが優勢となり、28日には5カ月ぶりに140.26円前後まで下値を拡大した。

始値 高値 安値 終値
148.160 148.341 140.255 141.019


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米11月ISM製造業景況指数は46.7と市場予想(47.8)を下回り、前月から横ばいだった。分岐点の50.0を13カ月連続で下回った。

その後、FRBのパウエル議長は「利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクはより均衡している」「政策金利はかなり制約的な領域に入っている」と述べた。

5日
米10月JOLT求人件数は873.3万件と市場予想(930.0万件)を下回り2021年3月以来の低水準となった。一方、米11月ISM非製造業景況指数が52.7と市場予想(52.3)を上回った。

7日
植田日銀総裁は参院金融委員会で「様々な不確実性が高い状況の下で、チャレンジングな状況が続いているが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。日銀が早ければ12月会合でマイナス金利を解除するとの思惑が高まった。植田総裁が岸田首相との会談に向けて官邸入りしたとの報道も市場の思惑を煽った。

8日
米11月雇用統計は非農業部門雇用者数が19.9万人増と市場予想(18.5万人)を上回ったほか、失業率は3.7%と市場予想や前月(ともに3.9%)から低下。平均時給は前月比が+0.4%で予想(+0.3%前回+0.2%)を上回った。一方で、前年比は+4.0%で予想通りに前月から横ばいとなった。その後、米12月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値の調査項目で1年先のインフレ期待が3.1%に低下。市場予想(4.3%)や前月(4.5%)を大幅に下回った。

11日
「日銀がマイナス金利解除を今月急ぐ必要はほとんどない」などとして、7日の植田日銀総裁の発言を否定する関係者の談話が伝わった。

12日
米11月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.1%と予想通りに前月(+3.2%)から小幅に伸びが鈍化。一方、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+4.0%と予想通りに前月から横ばいと高止まりした。

13日
FOMCは大方の予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明文に大きな変化はなかったが、同時に公表した経済見通しで2024年末のインフレ率予測を2.4%、25年末を2.1%へそれぞれ0.1ポイント引き下げた。その上で、政策金利見通しでは利上げがすでに終了したことを示唆。さらに、2024年末までに75bp(0.75%ポイント)の利下げを実施するとの予測を示した。

パウエルFRB議長は会見で「インフレは緩和したものの依然として高すぎる」「追加利上げの選択肢を外す用意はない」と発言。ただ、利下げについて「視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白だ。今回のFOMCでも議論した」と明言した。また、「FOMCは(高金利)を長引かせるリスクを認識している」とも述べた。

15日
NY連銀のウィリアムズ総裁は、12-13日のFOMCを受けて利下げ観測が高まったことについて、「利下げについて協議しているというほどでもない」と発言。また、2024年3月の利下げについて考えるのは「時期尚早」だと述べてパウエルFRB議長の発言を否定。市場の早期利下げ期待をけん制した。

19日
日銀は金融政策の現状維持を決定。声明では、一部の思惑に反して「内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで賃金の上昇を伴う形で、2%の『物価安定の目標』を持続的・安定的に実現することを目指していく」とあらためて表明。

植田総裁は物価2%目標の達成について「確度は引き続き少しずつ高まってきている」としつつも、賃上げと物価上昇の好循環が実現していくかについて「なお見極めていく必要がある」と発言。金融政策の正常化に踏み出すかどうかについて「もう少し状況をみたい」との考えを示した。7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と発言したことについては「今後の取り組み姿勢を問われたので『一段と気を引き締めて』という意味で発言したと説明した。

12月の各市場

12月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

1月の日・米注目イベント

ドル/円 1月の見通し

 ドル/円は2024年に入り2営業日で3円弱上昇。1日に発生した能登半島地震の影響で日銀の金融緩和修正が後ずれするとの観測に加え、米国の早期利下げ開始を巡っては懐疑的な見方が出ており、円売り戻し・ドル買戻しが先行している。能登半島地震(被害の全容は見えていないものの)が日銀の政策判断に大きな影響を及ぼすことはないと見るが、少なくとも1月会合でマイナス金利をいきなり解除する可能性はきわめて低いだろう。

 他方、米国では3日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、政策金利はピークを付けたとして利上げの打ち止めを示唆しつつも「金利を想定以上に高い水準に維持する可能性がある」との見解が示された。今年のFOMCで投票権を得たバーキン米リッチモンド連銀総裁は「追加利上げの可能性は依然としてある」とタカ派スタンスを表明した。FOMCが1月会合で利下げに動く可能性も低そうだ。

5日に発表される米12月雇用統計や11日の米12月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るようなら3月会合での利下げ観測も後退することになるだろう。ドル/円は昨年11月高値151.91円前後と12月安値140.23円前後の半値戻しにあたる146.08円前後をメドに戻りを試す展開となることも考えられる。

一方、4日時点で3月利下げの織り込みが依然として7割を超えていることを踏まえると、仮に米12月雇用統計や米12月CPIが予想に届かなかったとしても、米長期金利やドルの低下余地は限られるだろう。年末年始に下げ渋った水準である140円台後半はサポートになりそうだ。
(予想レンジ:140.500~146.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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