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ユーロ/円の1月見通し「ユーロ安・円高に巻き戻し」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

「見通しの要約」昨年12月、ユーロはドルに対しては上昇したが、円に対しては下落した。欧州中銀の利下げに慎重な姿勢やドイツの景気不安が、ユーロの動きに影響を与えている。一方、米国では早期利下げの予想が過剰だったと見られ、ドルが強まる可能性がある。日本では新年に発生した能登半島地震が円に影響し、日銀の緩和策の修正が遅れると予想されている。これらの要因により、ユーロ/円相場は1月に上昇する可能性があるが、一目均衡表の雲下限が上値の抵抗となり、大幅な円安がなければ160円台への回復は難しい。予想レンジは153.500~159.500円。

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 12月の推移
・12月の各市場
・12月のユーロ/円ポジション動向
・1月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 1月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 12月の推移

12月のユーロ/円相場は153.132~161.778円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約3.5%下落した(ユーロ安・円高)。

日銀の植田総裁が7日、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことで早期の緩和修正観測が高まると円買い主導で153.13円前後まで下落。7月28日以来の安値を付けたが、その後は下げ渋った。12-13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利下げを議論したことを明かした一方、14日の欧州中銀(ECB)理事会でラガルド総裁は、利下げについて「全く議論しなかった」と強調。これらを受けてドル安・ユーロ高に振れたため、ユーロ/円の下値は堅かった。

もっとも、ドルが全面的に下落する中、円も上昇したためユーロ/円の上値は限定的だった。日銀が大規模緩和を維持した19日こそ158円台半ばへと値を戻したが、クリスマスから年末にかけては動意が鈍り、155.69円前後で2023年の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
161.278 161.778 153.132 155.686


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

5日
タカ派として知られるECBのシュナーベル理事は「追加利上げの可能性は低くなった」と述べた上で、来年半ばまでの利下げについて「データ次第」で「なにが起きるか見極めなければならない」との見解を示した。

6日
独10月製造業受注は前月比-3.7%と市場予想(+0.2%)に反して大幅に落ち込んだ。ECBの早期利下げを織り込む形で独長期金利が低下。一方、独株(DAX指数)は長期金利の低下を好感して連日の史上最高値更新となった。

12日
独12月ZEW景気期待指数は12.8と市場予想(9.5)に反して前月(9.8)から上昇。5カ月連続の上昇で今年3月以来の水準を回復した。

14日
ECBは予想通りに主要政策金利を4.50%に据え置いた。声明で「基調インフレは一段と緩和した」としながらも「主に単位労働コストの大幅な伸びにより、域内の物価圧力は依然として高い」として「金利は必要な限り、十分に制約的な水準に設定される」と改めて表明した。

ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「インフレは2024年にさらに緩やかに鈍化する見通し」としつつも「決して警戒を緩めてはならない」とした上で「利下げについては全く議論しなかった」と述べた。

15日
独12月製造業PMI・速報値は43.1、同サービス業PMI・速報値は48.4といずれも市場予想(43.2、49.8)を下回った。その後に発表されたユーロ圏12月製造業PMI・速報値は44.2、同サービス業PMI・速報値は48.1だった(予想44.6、49.0)。

18日
独12月IFO企業景況感指数は86.4と市場予想(87.7)に反して前月(87.2)から低下した。ベルギー中銀のウンシュ総裁はユーロ圏の20カ国で賃金上昇率が5%を上回っていると指摘。その上で「(利下げを議論する前に)賃金が2%のインフレ目標に構造的に相容れる水準へと移行する明確な示唆が必要だ」と述べた。

これより前には、スロバキア中銀のカジミール総裁も「早すぎる金融緩和という政策の誤りは、緩和的な政策を長すぎる期間にわたり維持することのリスクよりも重大だ」と述べた。

12月の各市場

12月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

1月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 1月の見通し

昨年12月のユーロは対ドルで上昇したが、対円では下落した。押しなべてみれば、ユーロは強くも弱くもなかった一方で、ドルが弱く円が強かったことが確認できる。

ユーロについては、欧州中銀(ECB)が早期利下げに否定的な姿勢を示していることが強気材料ではあるが、ドイツを中心に景気不安がくすぶっている点が弱気材料だ。1月もユーロの動きに明確な方向性は出そうにない。翻って、米国では新年に入り長期金利が上昇しており、市場が12月に織り込みを進めた早期利下げの思惑は行き過ぎだったとの観測が浮上している。1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも政策金利を据え置く公算が大きく、ドルは12月の下落の反動で強含む展開が予想される。

他方、日本では新年早々に能登半島地震が発生しており、その影響で日銀の緩和修正が後ずれするとの思惑が広がっている。円についても、日銀がマイナス金利を当面維持するとの観測の下、12月の上昇の反動で下落しやすい流れとなりそうだ。

こうした見方に基づけば、1月のユーロ/円相場は12月に下落した反動による上昇が見込めそうだ。もっとも、1ユーロ159円台前半には上値抵抗となり得る日足一目均衡表の雲下限が位置しており、1月中旬以降には157円台へ下降する。よほど大幅に円安が進まなければ160円台の回復は難しそうだ。
(予想レンジ:153.500~159.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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