執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼7月17日週のユーロ/円・ポンド/円は精彩さを欠く展開
- ▼ドイツCPI次第
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼英インフレ低下だがまだ高い
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 7/24 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年7月21日 14時50分
9月への期待高まればユーロ高加速、ポンドは調整後に反発か
7月17日週のユーロ/円・ポンド/円は精彩さを欠く展開
ユーロ円は米ドル/円の値動きに連動する形で、一時157.205円まで上昇幅を広げたものの、対米ドルでユーロ安が進んだため、ユーロ/円も155円半ばまで押し戻されました。一方で、ポンド/円は想定以上に英インフレ鈍化を示した物価指標が重しとなり、182円前半から179.665円まで下げました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、円安警戒なら7月日銀会合でYCC修正か、タンクトップ姿解禁 !? (2023年7月20日)
ドイツCPI次第
今週は27日にECB理事会が開催されます。すでに今理事会では0.25％利上げが確実視されていますので、注目は9月理事会に向けた利上げバイアスが強まるのか、それとも後退するのかどうかがポイントになりそうです。ただ、ユーロ圏がテクニカルリセッション入りする中でタカ派化進展は期待できず、ECBは「やることはまだある」としながらも「金利の道筋は経済指標次第」と無難な内容になると考えています。そのため、9月理事会に向けた見通しは、28日に発表されるドイツの7月消費者物価指数（CPI）の結果次第と言えそうです。ドイツのインフレ高止まり観測が強まれば、ユーロは再度上方向を試しそうですが、反対に鈍化が鮮明となればECBの利上げ継続期待が下方修正され、ユーロを圧迫する危険があります。
ユーロ/円は6月7日安値（148.637円）からの上昇幅の半値押しレベルで調整を済ませ、現在は156.00円前後でもみ合っています。今年3月以降の上昇トレンドが崩れたとは言えないものの、足もとのトレンドラインは横ばいのものが多くなり、短期的には上昇一服から次なる方向性を摸索する時期と考えられます。目先は、期間21日ボリンジャーバンドの±3σのレンジでの値動きを続け、次なる方向を探ることになるのではないでしょうか。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：153.000-159.000
英インフレ低下だがまだ高い
英国の6月消費者物価指数は前年比で7.9％まで低下し、5月に英中銀が見通した8.2％よりも低いレベルまでインフレが低下しました。また、小売物価指数は前年比で9.6％へ低下し、生産者物価指数に続き小売物価指数もインフレ鈍化が鮮明になりつつあります。インフレ圧力の緩和はポンドへの調整圧力になりやすいです。しかし、現在の失業率や賃金動向を踏まえると、英中銀が見通す来年の第2四半期までにインフレ率が3.4％まで低下するとの見方も早計です。OIS市場では、これまでターミナルレートが6％を超えるとの見方が優勢でしたが、現在は5.9％まで低下したものの、来年第2四半期に5.5％程度までしか下がらないと見ており、金利の高止まり傾向は続きそうです。これらを踏まえると、ポンドは上方向は抑えられながらも下値も広がらないのではないでしょうか。
ポンド/円は、3月24日安値（158.260円）と6月7日安値（172.674円）を結ぶ支持線を下抜けてきて、少し調整圧力が強まっている様子です。ただ、せり上がる日足一目均衡表・雲の形状を見ると、まだ好調さをキープしていると考えます。そのため、3月24日安値からのフィボナッチファンの38.2％ラインが通過する176.80円付近から177.20円付近では、短期反発狙いの押し目買いで構えたいと考えています。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：176.500-183.500
7/17 週のイベント
7/24(月) 17:00 ユーロ 7月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/24(月) 17:00 ユーロ 7月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/24(月) 17:30 イギリス 7月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/24(月) 17:30 イギリス 7月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、速報値）
7/25(火) 17:00 ドイツ 7月ＩＦＯ企業景況感指数
7/27(木) 15:00 ドイツ 8月ＧＦＫ消費者信頼感調査
7/27(木) 21:15 ユーロ 欧州中央銀行（ＥＣＢ）政策金利
7/27(木) 21:45 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ＥＣＢ)総裁、定例記者会見
7/28(金) 18:00 ユーロ 7月消費者信頼感（確定値）
7/28(金) 18:00 ユーロ 7月経済信頼感
7/28(金) 21:00 ドイツ 7月消費者物価指数（ＣＰＩ、速報値）
一言コメント
経営再建中の中国の不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)の債務超過額が11兆円を超えています。中国のスケールが大きいのは分かりますが、1企業でここまで行くと、恐ろしさも感じます。
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