執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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目次
豪ドルは米中消費者物価指数に注意!RBNZは据え置き?
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は96.09円前後で、NZドル/円は88.48円前後で週初を迎えました。 4日には豪準備銀行(RBA)が政策金利を発表。多くの市場参加者が予想していた通り政策金利は据え置かれましたが、一部参加者が0.25%の利上げを予想していたため豪ドルは売りで反応しました。5日以降は中国の景気停滞懸念が重しとなり、中国株を中心に各国の株価が大幅に低下したこと、米経済指標の堅調な結果を受けた米金融引き締め長期化観測が高まったことなどでリスクオフの動きとなり豪ドル/円は6日に95.30円前後まで下落しました。NZドル/円は5日に89.69円前後まで上値を伸ばしましたが、世界的にリスク警戒感が高まった6日には88.53円前後まで下落しました(執筆時)。
中国の景気刺激策は期待薄…
今週は豪州で主要経済指標の発表はありません。豪準備銀行(RBA)の金融政策における今後の方向性は、今後発表される豪消費者物価指数などの主要経済指標の結果(データ)次第となります。そのため、今週の豪ドル相場は国外要因が主導することになりそうです。
まず、10日に豪州と交易関係の強い中国で中国6月消費者物価指数(CPI)と6月生産者物価指数(PPI)が発表されます。中国は欧米や日本と言った主要国とは違いインフレが伸びていません。5月の中国CPIは前年比+0.2%で中国政府の目標とする+3.0%前後には程遠い状況です。6日には中国の李強首相が景気回復を強化するために、「的を絞った」対策の実施を約束しました。しかし、中国の部分的な景気刺激策実施については、以前から予想されていたため、同策への期待が中国の株価指数の下落を止めるには至っておりません。市場が予想しているものよりも大規模な景気刺激策にならなければ、豪ドルを押し上げる材料にはならなそうです。そのため、中国6月CPIの結果が市場予想を下回った場合には、中国経済の鈍化懸念がさらに強まりそうです。
他方で、来週は12日に米6月CPIの発表も控えています。先週発表された一連の米経済指標は、米国の景気は市場が予想していたよりも堅調に推移していることを示していました。一方で、6月ISM非製造業景況指数の仕入れ価格や6月ADP雇用統計の平均時給などのインフレ指数は低下を示していました。仮に米6月CPIが大きく低下していれば、米国の利上げ期待が低下することになります。金融引き締めの度合いが低減することは株価にとってはポジティブな材料です。リスクセンチメントに敏感な豪ドルもポジティブな反応を示すのではないでしょうか。
RBNZは据え置き?
12日にはニュージーランド準備銀行(RBNZ)が政策金利を発表します。RBNZは前回(5月24日)の金融政策会合で0.25%の利上げを実施し政策金利を5.50%としました。同時に公表された声明文では2024年半ばまで金利を据え置くことを示唆しました。そのため、今回はRBNZが政策金利を据え置くと市場は予想しています。仮に据え置きとなった場合でも、市場は既に織り込んでいます。ですので、NZドルを動かす材料にはならなそうです。市場の注目は声明文の内容になります。RBNZは前回の声明文で「インフレとインフレ期待の緩やかな減速が織り込まれている」と示しています。この国内のインフレ動向や見通しに関して何かしらの変化があった場合には注意が必要でしょう。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は95円台前半~96円台後半のレンジ相場が続いています。目先はこのレンジをどちらにブレイクするか?になりそうです。レンジを上抜けた場合は、6/19高値の97.68円前後や、昨年9/13高値の98.79円前後が目安となりそうです。一方で下値は、6月上旬の上昇局面の高値安値を結んだフィボナッチリトレースメント半値戻しとなる93.99円前後が目途となりそうです。また来週は日足一目均衡表・基準線がじりじりと上昇してきます。同線を下抜けた場合には、一転して強いレジスタンス(上値目途)として意識される可能性がありますのでご注意ください。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、フィボナッチリトレースメント】
予想レンジ:AUD/JPY:93.00-98.00、NZD/JPY:85.00-90.00
7/10 週のイベント:
07/10 (月) 10:30 中国 6月消費者物価指数(CPI)
07/10 (月) 10:30 中国 6月生産者物価指数(PPI)
07/11 (火) 09:30 豪 7月ウエストパック消費者信頼感指数
07/11 (火) 10:30 豪 6月NAB企業景況感指数
07/12 (水) 11:00 NZ ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中央銀行)政策金利
07/13 (木) 未定 中国 6月貿易収支
一言コメント:
暑くなってきました。6月は夜になると気温が下がっていたので、就寝時は窓を開ければ心地よく眠れたのですが、そろそろ冷房、扇風機が必要ですね。避暑地で優雅にテレワークも憧れますが、私は同僚と相場について話している時に色々な発見や再認識が出来る、オフィスでの仕事が好きです。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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