執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也(Twitter)
エルドアン大統領発言の波紋
トルコのエルドアン大統領は13日、経済・金融政策について「財務相が中央銀行とともに迅速に手を打つことを受け入れた」と発言。
新財務相は『合理的な政策』への回帰を示唆
5月の選挙後に財務相に就任したシムシェキ氏は「透明性や予測可能性、一貫性、国際規範との整合性が基本原則となる」として『合理的な政策』への回帰を示唆。同じく中銀総裁に就任したエルカン氏は明確な発言こそないものの、米大学で金融工学の博士号を取得している点や米銀の最高経営責任者(CEO)を務めた実績などから、伝統的な政策スタンスを重んじると見られている。
大統領発言でリラの史上最安値更新が止まる
こうした中で飛び出したエルドアン大統領の冒頭の発言に、通貨リラは対ドルで反発。「利下げで通貨安が進み、通貨安でインフレが高進するとインフレで通貨安が加速する」という悪循環を招いた非伝統的な金融政策を、トルコ当局が修正するとの期待が高まった。ブルームバーグのデータによれば、ドル/トルコリラ相場の連続史上最高値更新(リラの史上最安値)は13日で止まった。
「思い違いをすべきでない」と大統領 大幅利上げへのけん制か
ただ、エルドアン大統領は冒頭の発言の後に「大統領が金利政策で本格的な変更に向けて動いていると思い違いをすべきではない。私は変わっていない」と付け加えた。トルコの政策金利は現在8.5%で、5月時点のインフレ率は約40%。-30%以下の実質政策金利をプラスに転じさせて通貨安を止めるためには、今後インフレが緩やかに鈍化していく可能性を考慮しても、政策金利を大幅に引き上げる必要がある。低金利が低インフレにつながるとの考えを変えていないエルドアン大統領の管理下で、中銀が25%や30%におよぶ大幅利上げに踏み切れるかどうかは疑わしいと言わざるを得ない。まずは22日に予定されているトルコ中銀の金融政策決定会合に注目したい。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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