執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼4月24日週のユーロ/円とポンド/円はしっかり
- ▼ECBは引き続き大幅利上げに向かいそう
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼英国も利上げ到達点が上振れ
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 5/1 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年4月28日 15時00分
ユーロ/円のレートがポンド/円に見えてきた件
4月24日週のユーロ/円とポンド/円はしっか
欧州や英国の経済に明るい兆しが出てきたほか、日銀のYCC（イールドカーブ・コントロール）修正見送りがサポート材料となりました。ユーロ/円は2014年12月以来の高値となる149.421円上昇した。また、ポンド/円も169.096円まで上昇幅を広げました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECBは引き続き大幅利上げに向かいそう
来週は5月4日に欧州中央銀行（ECB）理事会が開催されます。市場の見通しでは、ECBは4会合連続で0.5％利上げし、主要金利であるリファイナンスオペ金利を4.0％にすると考えています。ユーロ圏の昨年の時間当たりの労働コストは前年比5.7％上昇しており、賃金インフレがピークアウトした様子は見られていません。また、多くのECBメンバーが主要金利はまだ最終到達点に達していないと共通認識を持っている点も、0.5％利上げを支持していると考えます。約3割程度が0.25％に留めるとの見方を示しており、十分に0.5％織り込みが進んでいないため、ユーロはまだ上昇余地があるように感じています。
最終的には理事会の2日前に発表される4月消費者物価指数（HICP、速報値）の結果をみなければ判断できませんが、金利先高感からユーロは底堅い展開が見込めそうです。ただし、米中堅銀行のファースト・リパブリック銀行の経営不振のほか、米国の債務上限引き上げ問題など金融市場を混乱させそうな材料も散見されるため、これらを巡るヘッドラインによってはリスク回避の円買いからユーロ/円が急落する危険もあり、注意は怠れません。
ユーロ/円は少し上昇が速すぎる感じですが、あえて流れに逆らう材料も少ないです。2014年12月高値の149.760円が最も近い目標点となりますが、すでにだいぶ接近しており、このポイントは単なる通過点となるかもしれません。ここを抜けてくるようなら、次は2008年3月安値151.720円が意識されそうです。ただ、4月25日高値の148.620円を下回ってきたら、いったんポジションを軽くして、新たな押し目を探りたいです。そして、146.18円付近を上昇中の21日移動平均線を割れたところでは撤退したいです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：146.000-151.000
英国も利上げ到達点が上振れ
足もとの経済指標が思いのほど悪くなく、英中銀が3月に示した経済見通しが悲観的過ぎたのではとの見方から、英中銀が利上げの道筋を上方向へ移して、金利を5％台まで引き上げるとの考えが浮上しています。金利の先高観は、利上げサイクルが休止された豪州の通貨である豪ドル、近い将来に利上げが停止される可能性が高いとされる米国の通貨である米ドル、金融緩和からの脱却が見通せないでいる日本の通貨である円などに対してポンドの優位性を高めることになりそうです。もっとも、消費者マインドは最悪期を脱したとはいえ、インフレにより英国内での消費活動は勢いを欠いた状態です。こうした状況が続けばスタグフレーションへの懸念が再燃して、ポンドの上値余地を今後、削る可能性もあります。
ポンド/円は、21日線にサポートされて下値を切り上げる動きを続けており、短期的なところでの地合いの良さが窺えます。ユーロ/円と同様に買い回転で相場についていく方が無難と考えます。これまでは、目先のランドマークは昨年12月13日高値の169.273円でしたが、ここを抜けてきたため同年10月31日高値172.125円が視界に入ってきました。一方、下方向は4月25日安値の165.427円を下回った場合はいったん撤退して、次を考えたいです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：165.000-173.000
5/1 週のイベント
5/2(火) 17:00 ユーロ 4月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
5/2(火) 17:30 イギリス 4月製造業購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
5/2(火) 18:00 ユーロ 4月消費者物価指数（ＨＩＣＰ、速報値）
5/3(水) 18:00 ユーロ 3月失業率
5/4(木) 17:00 ユーロ 4月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
5/4(木) 17:30 イギリス 4月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
5/4(木) 18:00 ユーロ 3月卸売物価指数（ＰＰＩ）
5/4(木) 21:15 ユーロ 欧州中央銀行（ＥＣＢ）政策金利
5/4(木) 21:45 ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ＥＣＢ)総裁、定例記者会見
5/5(金) 15:00 ドイツ 3月製造業新規受注
5/5(金) 17:30 イギリス 4月建設業購買担当者景気指数（ＰＭＩ）
5/5(金) 18:00 ユーロ 3月小売売上高
一言コメント
ユーロ/円は149円台に乗せ、150円の大台突破も意識される展開になっています。150円台は実に2008年のリーマンショック前の水準とあって久方ぶりのレベルです。しばらくこんなレートをお目にかかれなかったので、ユーロ/円がポンド/円に見えてきました。
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