執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼4月3日週のユーロ/円とポンド/円は方向性の見定めづらい展開
- ▼ユーロ、高値水準でもみ合いか
- △▼【ユーロ/円チャート 日足】
- ▼早期利下げあるのか?
- △▼【ポンド/円チャート 日足】
- 4/10 週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2023年4月7日 15時00分
手掛かり難で次の展開見極め、要人発言に注意
4月3日週のユーロ/円とポンド/円は方向性の見定めづらい展開
OPECプラスが5月から日量100万バレルを超える減産を実施するとのニュースを受けて、世界的な物価上昇懸念から円が売られ、ユーロ/円は145.431円、ポンド/円は166.411円まで円安が進みました。しかし、米国のさえない経済指標を受けて日米金利差縮小が意識されて、ユーロ/円は142.547円、ポンド/円は162.769円まで反落するなど、トレンドが今一つ明確になりませんでした。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、米雇用統計 上振れ or 下振れ、イースター休暇の影響 (2023年4月6日)- YouTube
ユーロ、高値水準でもみ合いか
コアインフレ率が高水準にとどまっているため、ECBはターミナルレート(金利の最高到達点)と見られる4.00%に向けて、利上げを継続する構えです。米国との金利差が縮小して行くため、ユーロは直近の高値圏で底堅い推移を続けそうです。ただ、銀行業界の健全性を巡る懸念がくすぶっているほか、ユーロ圏経済の回復の勢いが一服しつつあるなど、5月理事会での利上げ幅は0.25%へ減速されるとの見方が優勢になっていますので、ユーロが一気に上昇幅を広げる展開も考えづらいです。今週は4/12(水)- 4/13(木)に米ワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されるため、出席する当局者の発言や、他国の経済指標に振られる格好になりそうですが、目立った経済指標が見当たらない中で明確な方向性は出にくいかもしれません。
ユーロ/円のローソク足の並びを見ると、ダブルトップ形成が意識される形状になっています。21日移動平均線も緩やかに低下しているため、目先、140.000円を目指した値動きを先行させそうです。ただ、日足ボリンジャーバンドが縮小期に入り、値動きが全体的に限られるほか、140円半ばから下の水準では下ヒゲの長いローソク足が何本も並んでおり、同水準では買い戻しも入りそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:140.000-147.000
ポンド/円、押し目買いが優勢か
英中銀金融政策委員会のテンレイロ委員は4日、英中銀は早期に利下げに着手する必要があるとの見解を示しました。市場は米国のさえない経済指標で、ポンドまで手が回らなかったようで、発言へのポンドの反応はほとんど見られませんでした。市場はあと1回程度の利上げを見越していますが、同氏の主張が正しければ、5月11日の金融政策委員会(MPC)は金利据え置きもあり得るかもしれません。その場合、市場は利下げを織り込む動きが活発化して、ポンドを圧迫していくことになりそうです。ただ、現段階でそう判断するのは早計で、少なくとも4月19日の物価指数の発表を待ってからになりそうで、ポンドはしばらく主体性のない展開になるのではないでしょうか。
ポンド/円は、21日移動平均線が緩やかに右肩上がりで推移しているほか、ボリンジャーバンドの+2σラインも上方向に伸びており、上向きのバイアスが少し強そうに感じます。ただ、昨年9月26日安値(148.666円)、同10月31日高値(172.125円)、1月3日安値(155.363円)を結ぶフィボナッチエクスパンションの50%ラインが推移する167.093円手前では、上ヒゲの長いローソク足が数本出現していることもあって、この水準では戻り売りが強まるのではないでしょうか。短期では200日移動平均線が推移する163.145円付近で押し目を拾って、上昇を待ちたいと考えます。ただ、162.000円を割れたら、いったん撤退して、様子を確認したいです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:161.000-167.000
4/10 週のイベント
4/11(火) 8:01 イギリス 3月英小売連合(BRC)小売売上高調査
4/11(火) 18:00 ユーロ 2月小売売上高
4/12(水)- 4/13(木) G20財務相・中央銀行総裁会議(於:ワシントン)
4/13(木) 8:01 イギリス 3月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格指数
4/13(木) 15:00 ドイツ 3月消費者物価指数(CPI、改定値)
4/13(木) 15:00 イギリス 2月月次国内総生産(GDP)
4/13(木) 15:00 イギリス 2月鉱工業生産
4/13(木) 15:00 イギリス 2月製造業生産指数
4/13(木) 15:00 イギリス 2月商品貿易収支
4/13(木) 15:00 イギリス 2月貿易収支
4/13(木) 18:00 ユーロ 2月鉱工業生産
一言コメント
先週は値動きはそれなりにあったものの、何となく方向性は定まりませんでした。イースター休暇後に欧州勢が市場へ戻ってくるため、方向性が定まることを期待したいですが、SVBの破綻に関する報告書が出てくるまで、今のような振幅の相場が続くかもしれません。
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