執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年4月7日 17時30分
米5月利上げ期待強まっても、米ドルの上値は限定的か
4月3日週の米ドル/円は上値の重い展開
OPECプラスによる減産報道からインフレ率の上昇が懸念され、米ドル/円は133.758円まで買いが先行しました。しかし、ISM製造業・非製造業景況指数、JOLT求人件数、ADP雇用指数と弱さが目立つ指標を受けて、米景気減速懸念が意識されると米ドル売りが優勢に。米ドル/円は130.584円まで下げ幅を広げました。もっとも、大台割れを回避すると、週末前のポジション調整から下げ幅を縮小させました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX ライブ配信、米雇用統計 上振れ or 下振れ、イースター休暇の影響 (2023年4月6日)- YouTube
日銀への思惑が米ドルの上値を抑制
来週は12日(水)に米3月消費者物価指数(CPI)、同日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、14日(金)に米3月小売売上高が発表されます。これらを通じて、5月FOMCでの0.25%利上げの確度を見極めることになりそうです。もっとも、利上げサイクルが終盤に近付いているため、ここから昨年のように一気に米ドル高が加速していくとは考えにくいです。一連のイベントを受けて0.25%利上げ観測が高まったとしても、直近の米ドル安の調整の範囲に留まると思われます。また、4月27日-28日に開催される日銀金融政策決定会合でのイールドカーブ・コントロール(YCC)修正期待もくすぶる中で、円売りの勢いが継続しにくいこともあって、米ドル/円は上値の重さを意識した展開になりそうです。ショートカバーから米ドルが強含む局面があるようなら、戻り売りを検討する場面かもしれません。
米ドル/円、上方向にテクニカルなライン集まる
テクニカル分析では、米ドル/円は昨年10月21日高値(151.942円)からの下降トレンドラインと、1月16日安値(127.225円)からの上昇支持線に挟まれた領域を振幅する格好になっており、徐々に値幅が狭まっています。今後、どちらにレンジブレイクするのか注目されますが、テクニカルなラインがローソク足の上側に集まっていることを考えると、下方向への警戒が怠れないように感じます。21日移動平均線が推移する132.304円付近や100日移動平均線が推移する133.484円(執筆時点)が戻り売りのポイントの一つと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:129.000-133.500
4/10 週のイベント:
4/10(月)-日本 岸田文雄首相と植田和男日銀新総裁、面談
4/10(月) 8:50 日本 2月国際収支・貿易収支
4/10(月) 29:15 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁、発言
4/11(火) 26:30 米国 グールズビー米シカゴ連銀総裁、発言
4/12(水)- 4/13(木) G20財務相・中央銀行総裁会議(於:ワシントン)
4/12(水) 7:00 米国 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、発言
4/12(水) 8:30 米国 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、発言
4/12(水) 8:50 日本 3月国内企業物価指数
4/12(水) 8:50 日本 2月機械受注
4/12(水) 21:30 米国 3月消費者物価指数(CPI)
4/12(水) 22:00 米国 バーキン米リッチモンド連銀総裁、発言
4/12(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
4/13(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
4/13(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
4/13(木) 21:30 米国 3月卸売物価指数(PPI)
4/14(金) 21:30 米国 3月小売売上高
4/14(金) 23:00 米国 4月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
一言コメント
今週も投資家の皆さんお疲れさまでした。先週は動いた割には、何となく消化不良と言った感じの相場展開でした。早く方向性が出てくることを願います。
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