執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
豪ドル/円(4時間足)
※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
直近1週間のポイント
・米地銀の破綻で金融システム不安
・大手スイス銀にも波及で金融不安高まる
・当局の対応で金融不安はやや緩和も豪ドルの戻り鈍い
・RBAが4月利上げ休止を再検討する構え
足元の豪ドル/円は年初来安値を更新
豪ドル/円相場は今週20日、昨年12月20日以来の安値となる87.13円前後まで下落する場面がありました。米地銀の破綻に端を発した欧米の金融システム不安がくすぶる中で上値の重い展開が続き、スイス金融大手クレディ・スイスの吸収合併を巡る混乱が意識されたことでリスク回避の動きが強まりました。その後は、欧米金融当局の素早い対応などで、連鎖的な金融危機に発展するとの懸念は和らぎましたが、そうした中でも豪ドルは伸び悩んでいます。豪中銀(RBA)が21日に公表した3月会合の議事録で、4月会合で利上げ休止を再検討すると表明したことが重しとなっているようで、22日のアジア市場でも株価が大幅に反発する中にあって88円台後半で上値が抑えられています。
注目ポイントは2月小売と2月CPI
豪州では、28日に2月小売売上高、29日に2月消費者物価指数(CPI)と重要経済指標の発表が相次ぎます。RBAは豪州のインフレがピークを越えたとの認識を示すとともに、利上げによって家計消費の伸びが鈍化していると指摘しています。28日の小売売上高と29日のCPIがRBAの見解に沿った結果となれば、市場は4月4日のRBA理事会における利上げ見送り(政策金利の据え置き)の見方を強めそうです。もっとも、豪金利先物はすでに4月の利上げ見送りを完全に織り込んだ水準で推移しています。このため、小売売上高とCPIが予想を上回るようなら、追加利上げの期待をいくらかでも織り込みに動く可能性はあるでしょう。なお、21日に公表されたRBA議事録には「利上げ休止のタイミングはデータや経済見通し次第」との見解も示されていました。当面の豪ドル相場は、RBAの金融政策を睨んで経済指標(データ)に一喜一憂しやすい展開が見込まれます。
来週までの豪ドル/円の見通し
予想レンジ
86.500円~90.000円
基調
一喜一憂
来週までの注目ポイント
☆3/28 豪2月小売売上高
☆3/29 豪2月CPI
・主要国株価、国際商品価格
「為替チャート|豪ドル/円(AUDJPY)|60分足」はこちら

神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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