米国とメキシコの経済減速懸念が重しに【知っトク!メキシコペソ】2022/12/8
新興国通貨であり、アメリカ経済との親和性の高いメキシコペソについて、投資に役立つ「知ってトクする」情報をまとめました。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
メキシコペソは12月に入り弱含み
12月に入りメキシコペソが弱含みで推移している。対円では5日に6.850円前後まで下落して8月下旬以来の安値を付けたほか、対ドルでも同日に19.864ペソ前後まで軟化して10月下旬以来の安値を記録した。世界的な金融引き締めによる景気後退(リセッション)への懸念が新興国通貨への下落圧力となっているようだ。
足下のペソ安は年初からの上昇に対する調整との見方も
足元のペソの下落については、年始から進んだペソ高に対する調整が働いていると見ることもできそうだ。今年1月から11月までのペソ/円の上昇率は27.7%で、ドル/円の20.0%を上回る。つまり今年は、米連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げを受けて上昇したドルよりも、ペソのほうがさらに強かったということになる。年末を前にペソの持ち高を落とす動きが強まっていることが、足元の下落の主因と考えるのが自然であろう。
23年は米・メキシコ経済にくすぶる不透明感が重しに
もっとも、来年23年のペソ相場について弱気な見方がくすぶり始めたことが持ち高調整につながっている可能性は否定できない。米国がリセッションに陥れば、米経済への依存度が高いメキシコでも景気が悪化するとの見方が強い。持ち高調整のペソ売りは近々収束すると見られるが、米国およびメキシコ経済の先行きに不透明感が残る限り、大幅な反発は望めないだろう。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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