執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2022年10月7日 16時00分
米ドル/円、強気な三角保ち合いのレジスタンス突破なら一気値幅拡大か
10月3日週の米ドル/円は足許の高値圏で底堅い展開
米雇用統計を控えて取引を手掛けづらい中ではあったが、目先のストップロス注文を巻き込みながら、米ドル/円は一時143.527円まで売りが先行しました。しかし、同水準からは押し目を拾う動きや、好調なISM非製造業景況指数を受けて米長期金利が3.8％台へ戻すと、米ドル/円は145.140円まで上昇幅を広げました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FXライブ/為替予想【実践リアルトレード】ADP・ISM LIVE、ドル高調整は続くのか ドル/円、豪ドル/円 徹底解明 エントリー・利食い・損切りポイント徹底解説、注目材料（2022年10月05日)- YouTube
目線が固定されている分だけ上振れ危険も高い
来週は10/12(水)に米連邦公開市場委員会（FOMC）議事要旨、10/13(木)に9月の米消費者物価指数（CPI）と重要イベントが続きます。FOMC議事要旨では、委員会の中で物価見通しや成長見通しに対してどのような意見交換が行われたか注目されます。とはいえ、これまでのタカ派姿勢がファンダメンタルズの裏付けもなく急に変わるとは考えにくいため、新たな手掛かりが出てくるかは微妙です。そのため、その後日に発表される物価指数一択かもしれません。燃料価格の低下で総合的なインフレ圧力緩和は期待出来ますが、賃金上昇分の価格転嫁の流れは健在で、変動幅の大きいエネルギー・食品を除いたコアは上昇基調が続いています。
米インフレを巡っては、FRBが想定する『抑制された状態』とかけ離れている状況が続きそうで、米ドルには上向き圧力がかかりやすそうな感じです。本邦の円買い介入への警戒心から多くの投資家が、米ドル/円の145円台は売り目線で固定され、上値を伸ばす可能性への警戒が甘くなっているように感じますので、上向きのバイアスが強まると、その分一気に値幅を広げるリスクはありそうです。仮に円買い介入が実施されるとするなら、そうして伸びきったところもしくは、G20財務相・中央銀行総裁会議後ではないでしょうか。
米ドル/円、147円半ばは通過点となる可能性も
チャート形状を見ると、24年ぶりの高値である145.906円（9月22日）と、8月中旬からの上向き支持線が形成する、強気の三角保ち合いとなっており、上向きの動きへの警戒は怠れません。146円台に乗せてくれば、1998年8月高値の147.66円は単なる通過点となる展開もあり得そうです。もっとも、その時はかなり高値警戒心が高まりやすくなるため、戻り売りによる反落幅も相応に広がりそうで、上値追いは長期保有ではなく短期回転を心掛けたいです。また、143.500円を割れたら撤退と考えます。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：143.500-148.000
10/10 週のイベント:
10/10(月) 26:00 米国 ブレイナードFRB副議長、発言
10/11(火) 08:50 日本 8月国際収支・経常収支
10/11(火) 08:50 日本 8月国際収支・貿易収支
10/12(水)－14（金）20カ国・地域（Ｇ20）財務相・中央銀行総裁会議
10/12(水) 08:50 日本 8月機械受注
10/12(水) 21:30 米国 9月卸売物価指数（ＰＰＩ）
10/12(水) 26:45 米国 バーFRB副議長、発言
10/12(水) 27:00 米国 米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）議事要旨
10/13(木) 07:30 米国 ボウマンFRB理事、発言
10/13(木) 08:50 日本 9月国内企業物価指数
10/13(木) 21:30 米国 9月消費者物価指数（ＣＰＩ）
10/13(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
10/14(金) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
10/14(金) 21:30 米国 9月小売売上高
10/14(金) 23:00 米国 8月企業在庫
10/14(金) 23:00 米国 10月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
10/14(金) 23:30 米国 クックFRB理事、発言
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ（＠TeamHallons） が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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