
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
先週末の8日、イランは米国の攻撃により死亡したハメネイ師の後継として、同氏の次男で反米保守派として知られるモジタバ・ハメネイ師を最高指導者に選出しました。イラン戦争が想定より長期化するとの懸念が広がるなか、週明けのNY原油(WTI)先物は前週末から大きく上昇して取引が始まりました。
原油価格の急騰を背景に資源国通貨が買われ、豪ドル円は1990年9月以来となる113.96円前後まで上昇。NZドル円も94.19円まで上値を伸ばしました。また、豪準備銀行(RBA)のハウザー副総裁が追加利上げに前向きな姿勢を示したことも、豪ドルの支えとなっています。もっとも、中東紛争の長期化は世界経済への圧迫につながるとの懸念から株価は大幅に下落。12日にはリスク回避の豪ドル売りが強まり、豪ドル/円は112円台まで上げ幅を急速に縮めました(執筆時)。
今週の利上げはあるのか?
豪州では根強いインフレ圧力も確認されています。1月のコア消費者物価指数(CPI)に当たるCPIトリム平均は前年比+3.4%と、2024年10月以来の高い伸びとなりました。また、10-12月期国内総生産(GDP)も前年比+2.6%と、2023年4-6月期以来の高い伸びとなっています。インフレ再燃の兆候が見られるうえ、イラン紛争の影響で原油や天然ガスなどエネルギー価格も上昇しており、インフレ圧力がさらに高まる可能性があります。国内経済も堅調であることから、RBAは近く追加利上げに動く可能性があります。
もっとも、市場では「RBAは2月の理事会で利上げしたばかりであり、その効果を見極めたいのではないか」との見方が強く、9日時点では3月17日の理事会での追加利上げは25%前後しか織り込まれていませんでした。
こうしたなか、10日にハウザー副総裁は「インフレは高すぎる。インフレ抑制のために利上げを行わないことは明らかな問題だ」と発言しました。さらに中東紛争により不確実性が非常に高まっていると指摘したうえで、「来週の理事会では金利引き上げの是非について真摯に議論することになるだろう」と述べました。この発言を受けて、3月の追加利上げの織り込みは68%前後まで急上昇しています。
17日のRBA理事会では、利上げの有無に加え、声明やブロック総裁の会見から今後の金融政策スタンスが改めて注目されそうです。追加利上げ観測が急速に高まっていることから、仮に利上げが見送られた場合には豪ドルが売られる展開も想定されます。
もっとも、RBAが遅かれ早かれ追加利上げに動くとの見方に大きな変化はありません。また、イラン紛争の影響で原油や天然ガスなどエネルギー価格が上昇しています。豪州は資源国であり、かつ中東から地理的に離れていることも豪ドルが選好される一因となっています。
来週も資源価格の動向とRBAの金融政策への思惑を背景に、豪ドルは底堅い動きが続く可能性がありそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は、昨年10月23日以降日足一目均衡表の基準線をサポートに上昇基調を維持しています。引き続き同線が目先のサポートとして意識されそうです。終値ベースで同線を下抜けた場合は調整が加速することも考えられます。その場合は、心理的な節目となる110.00円前後や週足一目均衡表の転換線が下値目途となりそうです。一方、上値は約35年振りの水準へ上昇しています。この上の水準にはめぼしい上値目途が見当たりません。11日の高値(113.96円前後)を上抜けた場合、114.50円、115.00円といった節目が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:111.000-115.500、NZD/JPY:92.000-95.000
3/16週のイベント:
03/16 (月) 11:00 中国 2月小売売上高
03/16 (月) 11:00 中国 2月鉱工業生産
03/17 (火) 12:30 豪 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表
03/18 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期経常収支
03/19 (木) 06:45 NZ 10-12月期四半期国内総生産(GDP)
03/19 (木) 09:30 豪 2月新規雇用者数
03/19 (木) 09:30 豪 2月失業率
03/20 (金) 06:45 NZ 2月貿易収支
03/20 (金) 10:00 中国 1年物/5年物最優遇貸出金利(ローンプライムレート)
一言コメント:
先週の記事で「新たに契約してまで見るつもりはありません。」と書いた、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ですが、子供ではなく私の両親が日本の第3戦(オーストラリア戦)直前に「見たい!」と言い始め、急遽契約することになりました。ただ、日本の第3戦、第4戦は日本が得点をしたのが試合の後半で、私は家事をしていたり子供と寝てしまっていたりで、今のところ1得点も奪うところを見られていません。決勝ラウンドも日本時間午前の試合なので見られそうにありません。もし、決勝の日に「ドル円 昼ライブ」をお休みしたら…ご理解ください。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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