個人投資家として活躍するひろぴー氏が、独自の最新マーケット分析を毎週公開します。現在のFXマーケットを取り巻く情報の整理をする際、また短期間の FXトレード戦略を考える際に、お役立てください。
作成日時:2022年9月28日13時
執筆:CXRエンジニアリング株式会社 代表取締役 ひろぴー
先週末からポンドの値動きがおかしくなり、今週月曜日は東京時間から急落となりました。
東京時間早朝に欧州通貨の急落は極めて稀だと思います。
ポンド/ドルは一時1.03ドル台に下落し、1985年ぶりとなる最安値を更新しました。
きっかけは新トラス政権の度重なる財政出動です。
ガス価格高騰における国民への補助、法人税率の引き下げなど、大規模な経済対策を打ち出してしまった結果です。
確かに英国民のために良かれと思っての政策だとは思うのですが、このインフレ状況下での財政出動はナンセンスと言えるでしょう。
これは大規模な金融緩和ですから、政策金利引き上げでインフレ退治優先と矛盾した行動となります。
政府からの財政出動では中央銀行と足並みが揃っていないように感じます。
第4四半期はポンド売りがテーマとなるかもしれません。
目次
▼格付け最上位の国債が急落中!
▼ポンド/米ドル1時間足 1.10レベルに戻せるか?
▼ドル/円押し目買い水準
格付け最上位の国債が急落中!
出所:TradingView
これを受けて今週から英国債が急落中です。
10年債利回りが4.4%前後で年初1%だったものがこの状況では、英国の財政悪化を先取りしているのでしょう。
おそらく近々、BOEの緊急会合が開催され、大幅な利上げを実施せざるを得なくなると考えます。
そこでポンドは急騰するかもしれませんが、上がったところが売り場になると予想します。
英国は為替介入するほど、外貨準備高が潤沢ではありません。
為替介入はせずに政策金利の引上げで対抗してくると思われます。
ポンド/米ドルの売りトレードを狙っていきます。
ポンド/米ドル1時間足 1.10レベルに戻せるか?
現在、1.0692で推移しており、BOEからの緊急対応発表待ちといった感じで待っているFXトレーダーが多いでしょう。
また今週の金曜日は月末のロンドンフィキシングです。
四半期の締めということもあり、ドルからポンドへの買い戻しの実需も多いと思われます。
30日金曜日の22-24時は大きく荒れそうです。
個人的にはこのロンドンフィキシングを待って戻り売りで参入を開始しようと考えております。
それまでにBOEから対策発表後であれば、色々とトレードがやりやすそうですが、対策発表前の場合、まだ打診売り程度にとどめておく予定です。
ただし、世界中のファンドトレーダーも同じようなことを考えていると思いますので、もしかしたら上値は限定的かもしれません。
イメージ的には1.10手前で売り指値注文で待機、1.08以上から非常に緩やかに売り上がるイメージでしょうか?
円売りトレンドに少々飽きもきているでしょうから、第4四半期のテーマは英国売りかもしれませんね。
ドル/円押し目買い水準
出所:TradingView
続いて、ドル/円1時間足です。
為替介入後、結局ダラダラと戻す展開となりました。
押し目が一切ありません。
昨日の報道によりますと、30日に発表される日銀レポートには、為替介入額の暫定数字が3兆円や3.6兆円という数字が目立っておりました。
この介入額はかなりの規模です。それが1−2日から持たず、という状況ですから、財務省や日銀もかなりショッキングな出来事だと思います。
24年ぶりの高値からの円買い介入であれば、10円ぐらい急落しても不思議ではなかったのですが、わずか5-6円程度、そしてその翌日には2円帳消しされ、3日後には3円帳消しにされと、添付チャートをご覧いただければわかると思うのですが、順調な上昇トレンドとなっております。
ほぼ、介入水準と同等レベルにまで回復してしまったことから、4営業日でここまで押し戻されてしまうと、次の介入すらためらってしまうと思います。
現状水準で外貨準備高を無駄遣いするわけにはいかないと思いますが、しばらくおとなしく推移すると思います。
次押したら買いが良いでしょう。次のターゲットはやはり150円でしょうか?
その前に1998年の147.65円という高値もありますが、あっさり抜けていくように感じます。
前置きが長くなりましたが、フィボナッチ分析で押し目の目安を確認します。
個人的には38.2%押しの143.20円前後で入りたいなというイメージです。
またはこれだけ強いトレンドですから、23.6%押しの143.85円付近の押し目買いも模索しております。
1996-1998年の過去の為替介入を見ていても、数日しかほとんど効果がなかった歴史を考えますと、やはり押し目は限定的なのかな、と感じます。ポンド/ドルでも同じことが言えるでしょう。今後の値動きの参考になると思いますので、ポンド/ドルの戻りも浅い前提でトレードしていくと良いかもしれませんね。
【ひろぴー氏出演動画】
【インタビュー】
「初心者から上級者まで相場観が一致したときが一番危険」(前編)
<もくじ>
・幼稚園児 投資に目覚める
・どこか引っかかる感じを大切に
・個人投資家におすすめ書籍と読む時期
「低勝率型こそ1憶円への近道」(中編)
<もくじ>
・勝率は低いほうがいい
・その失敗が糧となる!?
・他の金融商品も考え方は一緒
・日銀緩和のときに活きた投資の勉強
・決済はむずかしい
・低レバレッジでリスクを抑える
「はじめて話す 外為注文情報 活用法」(後編)
<もくじ>
・損切り注文の功罪
・シグナル、逆シグナル
・検証の果てに
・ローソク足は基本どおり見る
・外為注文情報の活用
・レポートの勧め
FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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