個人投資家として活躍するひろぴー氏が、独自の最新マーケット分析を毎週公開します。現在のFXマーケットを取り巻く情報の整理をする際、また短期間の FXトレード戦略を考える際に、お役立てください。
作成日時:2022年8月22日14時
執筆:CXRエンジニアリング株式会社 代表取締役 ひろぴー
コモディティ価格が食料品中心に上昇しております。
先日もご紹介した各コモディティ市場、日足の比較チャートです。
ここ1ヶ月、上昇傾向にあるのはコーン、小麦、大豆、銅あたりでしょうか。
原油も85ドルを起点にボトムアウトをしつつあるような形状になってきているのが現状です。
当コラムを執筆中の原油価格は93ドル台で推移と上昇基調に戻りそうです。
そして今週金曜日は、パウエルFRB議長のジャクソンホール講演となっております。
先週から全体的にドル高相場の印象がありますが、昨日は、米国PMIが予想以上に悪化していたため、NY時間は荒れました。しかし、現在東京時間はその下げ幅を縮小して元のトレンドに回帰をはじめようとしているような値動きです。
個人的にはそろそろ9月ですし、リスクオフを意識したポジション取りをスタートさせるべきではないかと考えつつあるものの、ここ最近アノマリーが当たらない、または別の格好でリスクオフやリスクオン現象が起こるため、考えが正直完全にまとまっている状況ではありません。
しかしながら、ドル/円は上方向、ユーロ/ドルは下方向、ユーロ/円、ポンド/円も下方向といったリスクオフのドル買い相場にポイントを置いた戦略で勝負をしていこうと考え始めております。
本日もそれぞれ通貨ペアを見ていきましょう。
目次
▼ドル/円は三角保合、その後上離れか?
▼高値圏での並行チャネルか?
▼欧州インフレはさらに悪い!
ドル/円は三角保合、その後上離れか?
ドル/円日足チャートです。
三角保合を形成開始でしょうか?またはアセンディングトライアングルを作りにいく感じでしょうか?
昨晩日足が陰線になった要因ですが、米国のPMIサービス業が44.1と事前予想の49.2を大幅に下回りました。
ここへきて、製造業からサービス業系の経済指標悪化も目立つようになってきたため、全体的に世界経済腰折れを意識した展開が9月に予想されます。
これを受けて、ドルが一気に売られた印象です。
ただし、米国経済が悪化すれば世界景気も当然冷え込みます。結局、ドルストレートでもリスクオフのドル買いを狙うと冒頭で言及した理由がこちらです。
4時間足で今後の展開を探っていきましょう。
高値圏での並行チャネルか?
ドル/円4時間足です。
これは勝手な妄想でありますので、鵜呑みはご注意ください。
実は135.60円で買指値注文を出していたのですが、20pips届かず上昇に転じてしまいました。
ここは重要なレジサポラインであったことから、多くの買いオーダーが並んでいたと思います。
それが135.80円までしか、つかなかった要因でしょうか。
現在は136.80円と1円上昇となっております。次はこの135.60付近で買えなかったプレイヤーが今度は高値を掴んでくると予想します。
イメージしている値動きは並行チャネルレンジです。今週の高値を超えては再び下げ、再び上げと世界的なドル高に徐々に引っ張られるように上昇していくイメージを持っております。
今週のジャクソンホールではおそらくパウエルFRB議長はタカ派でしょう。そしてその温度感を探りにいく展開です。
景気減速はもはや受け入れ「インフレ≧経済」という選択を表明し、40年前にインフレ鎮圧に成功したボルカー前FRB議長にどこまでなれるかが、鍵だと考えます。
米国のインフレを大幅に抑え込むには、やはりインフレ退治です。
一時的な経済失速を受け入れ、失業率上昇でも、インフレ沈静化を優先するために株価の下落を許容し、ドル高相場で1−2年かける戦略に舵を切らねばならない状況に直面していると個人的には理解をしております。
よって、ドル/円はレンジを刻みながらも上昇していくイメージで考えております。
欧州インフレはさらに悪い!
続いて、ユーロ/ドル4時間足です。
ドル/円と同じくして、ドル高方向に推移をすると考えておりますので、下落を意識しております。
昨晩の米PMIでユーロ/ドルは急騰しましたが、現在は徐々に戻してきている状況です。
昨日の発表では、欧州のPMIも各国50を割り込んできており、当然景気の先行きもよろしくなくなってきております。
いずれ0.99下値もさらに割り込んで更新していくと考えます。
欧州のインフレの深刻度は米国の比ではありません。
PPI(生産者物価指数)も上昇が止まらず、小売やサービス指標に転化されてくるでしょう。
そして、CPI(消費者物価指数)も上昇し、物が売れず景況感が悪化し、という悪循環にハマりそうです。
さて、戻り売りポイントですが、下降トレンドラインに沿った形が一つ、もう一つが昨晩の高値である1.0018をバックに戻り売りポジションを構築でしょうか?
0.99を割り込みますと、また20年ぶりの安値圏ですので、正直サポートラインらしきものは見当たりません。
0.95-0.97方向に向かった断続的に下げていくイメージを持っております。
同じくして、ユーロ/円も個人的にはショートしているのですが、ユーロは売り材料が多いということだけ補足しておきます。
イタリアの長期金利も昨日急騰をしましたし、債務問題もまた出てくるでしょう。ユーロはこの秋、注目の通貨の一つとなりそうです。
【ひろぴー氏出演動画】
【インタビュー】
「初心者から上級者まで相場観が一致したときが一番危険」(前編)
<もくじ>
・幼稚園児 投資に目覚める
・どこか引っかかる感じを大切に
・個人投資家におすすめ書籍と読む時期
「低勝率型こそ1憶円への近道」(中編)
<もくじ>
・勝率は低いほうがいい
・その失敗が糧となる!?
・他の金融商品も考え方は一緒
・日銀緩和のときに活きた投資の勉強
・決済はむずかしい
・低レバレッジでリスクを抑える
「はじめて話す 外為注文情報 活用法」(後編)
<もくじ>
・損切り注文の功罪
・シグナル、逆シグナル
・検証の果てに
・ローソク足は基本どおり見る
・外為注文情報の活用
・レポートの勧め
FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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