豪ドルのFXデイトレードを行ううえで、インプットしておきたいトレードシナリオなどをギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
今日の豪ドル トレードシナリオ
ここまでの相場
・WTI原油価格は、一時1バレル=91ドル台まで下落。前日公表された、石油輸出国機構(OPEC)月報で「2022年の世界石油需要見通し」が下方修正されたことが材料視された(8月12日)。
・8月2日の豪準備銀行(RBA)理事会で政策金利を市場予想(0.25%~0.50%)通り0.50%の利上げを実施。次回以降も大幅利上げの可能性は残したが、先月までのタカ派的な姿勢は後退した。
・7月27日発表の豪2022年4-6月期消費者物価指数(CPI)は前年比+4.9%(トリム平均)と、インフレ率は前期(+3.7%)から急伸する結果となった。
・6月分の豪雇用者数は8.84万人増と予想の3.0万人増を大幅に上回る。失業率が3.5%まで低下、労働参加率が66.8%(前月66.7%)へ上昇した(7月14日)。7月分は8月18日に発表予定。
・2022年1‐3月期の豪賃金指数(前年比)は+2.4%と前期(+2.3%)を上回る。しかしRBAの目標とする3%には届かず。6月15日に公正労働委員会が最低賃金の5.2%引き上げを発表。これにより賃金指数の伸びも加速しそうだ。4-6月分は8月17日発表予定。
今日のメインシナリオ
豪ドル/円は底堅い。96円台乗せには相応の材料が必要だが…
米国のインフレがピークアウトしたとの思惑が強まっていることで、米ドルの独歩高という状況は収まった。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)高官からは、大幅利上げ継続を示唆する発言が続いていることから、利上げ継続への期待が米ドルを支える一因となっている。国内経済が堅調な豪州は「RBAの大幅利上げにも耐えられる」との思惑が根強い。そのため、豪ドルは対米ドルで「下げにくいが、大きく買われるほどの材料もない」状況となっている。豪ドル/米ドル、そして豪ドル/円相場は方向感が見出しづらく、次の材料を待っている状態だ。本日、豪州にて注目経済指標の発表は予定されていない。交易関係の強い中国では、7月小売売上高と同鉱工業生産が発表される。これらの指標の結果に豪ドル/円相場の方向感を決めるほどのインパクトはないが、短期的には結果の良し悪しに豪ドル/円は反応しそうだ。
昨晩、米国の議員団が台湾に到着した。滞在は2日間の予定で、現時点で中国の反応は確認できていない。これまでは米議員の訪台に対して、中国が強く反発することは少なかった。そのため、今回も過剰な反応はないことが予想される。しかし先日、ペロシ米下院議長が台湾を訪問した際には台湾近海で大規模な軍事演習を行うなど、激しく反発した。ペロシ下院議長の訪台直後というあまり良いとは言えないタイミングのため、「注意すべき材料」として頭の片隅に置いておきたい。
個別の想定シナリオ
■米国のインフレピークアウト期待
⇒それでも、インフレ率は前年比+8%台と高い
⇒FRB高官は大幅利上げ継続示唆
⇒豪ドル/米ドルは次の材料待ち
⇒豪州経済は堅調
⇒豪ドル/円は底堅い
チャート分析
今後の注目材料
11:00 中国 7月小売売上高/7月鉱工業生産
21:30 米国 8月NY連銀製造業景気指数
「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円は雨、豪ドル/米ドルは曇り。7時に豪ドル/円のRSI、豪ドル/米ドルのRSIで売りシグナル点灯。
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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