FX/為替見通し「豪は注目指標満載!だが主材料にはならなそう…」週刊為替レポート ハロンズ 豪ドル/円、NZドル/円 2022年05月14日

週刊為替レポートハロンズ 豪ドルNZドル

執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次

 

豪は注目指標満載!だが主材料にはならなそう…

今週の振り返り

今週の豪ドル/円、NZドル/円はともに大幅下落。豪ドル/円は92.20円付近、NZドル/円は83.52円で週初を迎えましたが、米国の金融引き締め加速への警戒感により、世界的に株価が下落したことで、資源国通貨である豪ドルやNZドルには売り圧力がかかりました。11日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)が予想ほど低下しておらず、「米国のインフレ高止まり」「米経済の減速」といった懸念が強まったことで、米長期金利が低下。中国のロックダウン長期化などの影響から世界経済減速懸念も根強く、全面的にリスクオフの円高となり、12日には豪ドル/円は87.29円、NZドル/円は79.46円まで下落しました。

来週のオーストラリアは注目経済指標満載!

来週は豪の注目経済指標が数多く予定されています。
まず、17日に2010年11月以来、約11年半ぶりに利上げを行った5月3日の豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されます。市場予想の0.15%を上回る0.25%の利上げを行った経緯や、今後の利上げ見通しなど、RBAの姿勢に注目が集まります。
18日には豪1-3月期賃金指数が発表されます。RBAはかねてよりインフレ率と賃金上昇率を利上げの条件として挙げていました。インフレ率は4月27日の豪1-3月期CPIでRBAの目標レンジ(2~3%)を上抜けたことを確認しました。今回の賃金上昇率は市場では前年比+2.5%とRBAの目標としている3%に達していませんが、前回(同+2.3%)よりも上昇することを予想しています。予想以上、さらには3%を超える結果となれば、6月7日に開催されるRBA理事会での利上げ幅拡大期待が強まりそうです。
19日には豪4月雇用統計が発表されます。3月分は堅調な結果であったにもかかわらず、期待値が高すぎたために豪ドルは売りで反応しました(※ハロンズ4月16日号参照)。今回は雇用者数変化が+3万人、失業利は3.9%へ改善、労働参加率は66.4%で横ばいとなっています。予想より強い結果となればRBAの利上げ幅拡大期待に繋がりますし、予想よりも弱かったとしても、雇用者数変化(強いて言えば正規雇用者数)がマイナスでなければ、豪ドルへの影響は一時的なものとなるのでなはいでしょうか。

オーストラリア総選挙の影響は?

来週末21日にはオーストラリアの総選挙が行われます。ここで下院の過半数(全151議席中76議席以上)を獲得した政党が政権を握ることとなります。現時点ではモリソン首相率いる保守連合(自由党と国民党)は、最大野党の労働党(アルバニージー党首)に対して劣勢を強いられているとの調査結果が出ています。ただ、前回(2019年)の総選挙でも保守連合が劣勢を跳ね除けて逆転勝利を飾ったように、今回も大逆転劇が起こる可能性はあります。豪では義務投票制という制度を取っており、有権者は正当な理由もなく投票しなかった場合には罰金(20豪ドル)が課されます。そのため100年近く90%以上の投票率が続いています。この中には政治に興味のない無党派層も10数%いると言われていますので、残りの1週間でこの無党派層の票を如何にして取り込めるかが勝負の分かれ目となりそうです。
もっとも労働党に政権が後退したとしても、経済政策面では強硬的な姿勢を取っていないため、豪ドル相場への影響は軽微なものになると思われます。為替相場に影響があるとすれば、①保守連合と労働党いずれも過半数を取れない場合、②接戦となり結果判明が週明けに持ち越される場合、といったことが考えられます。どちらも時間の経過とともに解決されますが、特に①は政権を取るために連立を組まないといけないため政治的空白時間が多くなりそうです。その場合は豪ドル相場にもネガティブな影響が出てくるのではないでしょうか。

来週も相場の中心は…?

これまで、オーストラリアの国内要因での豪ドルへの影響を書いてきましたが、結果の善し悪しが豪ドル相場に与える影響は限定的となりそうです。現在の為替相場は、
①アメリカの金融引き締め開始によるドルキャリートレードの巻き戻し、
②中国での新型コロナウイルス蔓延による都市封鎖やウクライナ情勢の影響から、世界経済に減速懸念が台頭、
といった理由からリスクオフに傾きやすい状況となっています。特に②では、世界経済が減速することで資源需要の減退が予想されます。そういった観点からも株価が下落すると資源国通貨である豪ドル、NZドルは売られやすくなります。では、この流れを変えるにはどうしたらよいのか?一つは中国のゼロ・コロナ政策の方針転換です。現在中国では、地域に1人でも新型コロナウイルスの新規感染者数が出たら14日間ロックダウンという政策を採っています。感染力の強いオミクロン株の特性、日本や欧米などオミクロン株の感染拡大を一通り経験した国でも未だに新規感染者数が出ていることを考えると、上海のロックダウン解除は向こう数カ月は解除されないことになってしまいます。11日にWHOのテドロス事務局長が「持続不可能だ」との見解を示し、中国に政策再考を促しました。中国政府がこれを機に考えを改めてくれるようであれば、中国発の世界経済減速懸念は下火になります。そうなれば、利上げサイクルに入った豪ドルも対円では底堅い動きとなるのではないでしょうか。

テクニカル的には

豪ドル/円の下値は12日にサポートとなった87.30円近辺が引き続きポイントとなりそうです。この水準には①日足一目均衡表雲下限(87.335円)、②昨年12月3日安値ー4月20日高値のフィボナッチリトレースメント半値戻し(87.26円)、③週足一目均衡表基準線(87.261円)、④月足一目均衡表転換線(87.261円)、と多くの目安がありました。来週は①は動いてしまいそうですが、代わりに⑤5月12日安値(87.296円)が加わりますので、引き続き下値目途として機能しそうです。ただし、来週17日辺りから①が上昇していきます。ローソク足が①を下抜けると三役逆転が点灯しますので、売り圧力がかかりやすくなります。その場合は、前述のサポート(87.30円付近)も下抜けて下値拡大となりそうですので要注意を。
一方で上値はあまり目安になるものがありません。日足一目均衡表雲上限や、同基準線が目先のレジスタンスとして見られそうです。

【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表、フィボナッチリトレースメント】

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:
AUD/JPY:85.00-91.00、NZD/JPY:76.50-81.50

5/16 週のイベント:

05/16 (月) 11:00 中国 4月小売売上高(前年同月比)
05/16 (月) 11:00 中国 4月鉱工業生産(前年同月比)
05/17 (火) 10:30 豪 豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表
05/18 (水) 10:30 豪 1-3月期四半期賃金指数(前期比)
05/19 (木) 07:45 NZ 1-3月期四半期卸売物価指数(PPI)(前期比)
05/19 (木) 10:30 豪 4月新規雇用者数
05/19 (木) 10:30 豪 4月失業率
05/20 (金) 07:45 NZ 4月貿易収支
05/21 (土) 豪 総選挙

一言コメント:

先週末に数年ぶりにJリーグ観戦に行ってきました。以前と比べると、声を出した応援はまだ出来ませんが、知人によると、その日からビールの売り子さんが復活したとのことですので、スポーツ観戦も一歩ずつ以前の状況に戻りつつあるようですね。久々の非日常的な空間で楽しかったです。また、歌ったり、声を出して応援できる日が来るのを楽しみに待っています。

nakamura.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー社へ入社。8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、Twitterを通してFX初心者向けの情報発信を担当している。
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