執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
- ▼押し目買い一筋で乗り切れる状況になさそう 売りも検討可
- ▼05月09日週のドル/円は4月27日以来の安値レベルを示現
- ▼ドル高継続もドル/円の方向は不安定
- ▼ドル/円は底割れ警戒
- 05/16週のイベント
- 一言コメント
執筆日時 2022年05月13日 17時00分
押し目買い一筋で乗り切れる状況になさそう 売りも検討可
05月09日週のドル/円は4月27日以来の安値レベルを示現
一時131.347円まで上昇しましたが、上値では株価の不安定な動きに惑わされて戻り売りが優勢に。予想比強めの米消費者物価指数を受け、高インフレ継続観測から130.800円レベルまで切り返す局面はありましたが、株式全面安のなかで127.506円まで底割れしました。
ドル高継続もドル/円の方向は不安定
米消費者物価指数は1981年12月以来の高水準だった3月の8.5％から減速し、インフレがピークを付けた可能性があることが示唆されました。しかし、依然として米国のインフレ率は6％を超えており高インフレがしばらく続くとの思いから、米金融当局が中立金利2.375％までは粛々と利上げするとの見通しに変わりはありません。この点はドルの支援材料と考えます。しかも、中国のコロナ対策の長期化やウクライナの地政学的リスクによる物流の混乱もリスク回避のドル高を想起させ、ドルの底堅さは増しつつあります。しかしながら、後半の材料はドル高と同時に円高材料でもあるため、結果的にドル/円の方向は見極めづらくなっています。
以前のようにウクライナの停戦合意観測が広がっていれば、ドル/円は押し目買い一本で乗り切れたかもしれませんが、今はそうした環境ではなさそうです。加えて、米引き締めが経済をソフトランディングさせるのは難しいのではとの不安もくすぶり、見通しへの不透明さが増しています。来週の4月米小売売上高で米GDPの7割近くを占める個人消費の落ち込みが目立つようなら、リスク回避の円高地合いが加速しても不思議はありません。円の動向が金利ではなく景況感に左右されやすくなっていますので、指標結果を受けた株価動向を重視したいです。市場の着目点が利上げに米経済が耐えられるかどうかへ移りつつあるなか、株安進展なら下目線、株価反発なら上目線と割り切ってもいいのかもしれません。
ドル/円は底割れ警戒
これまでの支持線を割り込んで、3月31日安値121.275円からの上昇幅の38.2％押しレベルとなる127.499円付近へ下げています。現時点では何とか踏みとどまっていますが、このレベルを明確に割れてくれば、今度は上昇幅の61.8％押しとなる125.123円を目指す危険が高まりそうです。127.500円割れには注意で、押し目買いを入れるにしても、落ちきるまで待った方がいいでしょう。上方向は、上昇トレンドが終了した可能性が高いため、129円前半からは相応に売りが被さってきそうです。
【ドル円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：125.000-130.000
05/16週のイベント
05/16(月) 08:50 日本 4月 国内企業物価指数
05/16(月) 11:00 中国 4月 小売売上高
05/16(月) 11:00 中国 4月 鉱工業生産
05/16(月) 21:30 米国 5月 ニューヨーク連銀製造業景気指数
05/17(火) 21:30 米国 4月 小売売上高
05/17(火) 22:15 米国 4月 鉱工業生産
05/18(水) －主要7カ国（Ｇ７）財務相・中央銀行総裁会議（-20日 於：ドイツ）
05/18(水) 21:30 米国 4月 住宅着工件数
05/18(水) 21:30 米国 4月 建設許可件数
05/19(木) 08:50 日本 4月 貿易統計（通関ベース）
05/19(木) 08:50 日本 3月 機械受注
05/19(木) 08:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
05/19(木) 21:30 米国 5月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数
05/19(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
05/19(木) 23:00 米国 4月 景気先行指標総合指数
05/20(金) 08:30 日本 4月 全国消費者物価指数（ＣＰＩ）
05/22(日) － 世界経済フォーラム年次総会（-26日 於：ダボス）
一言コメント
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