執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
目次
豪ドルは14日の豪雇用統計に期待が集まる。
今週の振り返り
91.80円付近で週初を迎えた豪ドル円は、5日のRBA（豪準備銀行）金融政策会合の声明文で、RBAがタカ派にシフトしていることがわかると一時94.17円付近まで上昇しました。ただ、3月28日高値の94.31円がレジスタンスとして意識されると上値を切り下げました。さらに、6日に国際エネルギー機関（IEA）加盟国が石油備蓄の協調放出に合意したことから原油価格が大きく下落。豪ドル円も92.40円付近まで下落しましたが、RBAの利上げ開始時期前倒し期待もあり、下値は限定的となりました。
RBAのタカ派シフトで豪雇用統計の注目度がアップ
経済指標では、まず14日（木）の豪3月雇用統計に注目が集まります。前回の2月分ではハロンズ3/19号でも振り返りましたが、雇用者数、失業率、労働参加率、どの項目を見ても良い結果となりました。1月の豪雇用統計では、調査期間が新型コロナ・オミクロン株の感染拡大期間や豪の夏休み期間（南半球の豪は1月が夏休み）とぴったり被ってしまった影響もあり、低調な結果となりました。2月はその分の反発もあったと想定されています。それでも雇用者数は予想を大幅に上回る結果となりました。今回は正規雇用者数の増減に注目したいと思います。既に、失業率は統計開始以来の最低水準、労働参加率は最高水準まで上昇しています。ですので、今後は雇用者数の大幅な増加見込めない可能性があります。そうなると焦点は『雇用の質』という事になります。RBAはかねてより「賃金上昇率」を利上げの一つの目安としています。そういった点を考慮すると正規雇用者が増えたかどうかが注目されそうです。
NZの利上げは織り込み済み。注目は利上げ幅！
発表日は豪雇用統計と前後してしまいますが、13日（水）にはNZ準備銀行（RBNZ）の金融政策会合が予定されています。前回2月23日の会合でRBNZは3会合連続の0.25%利上げを実施しました。前回会合以降、NZ国内では新型コロナ・オミクロン株の感染拡大（2月末～3月中旬）がありましたが、ウクライナ情勢の悪化などもあり他国同様にインフレが収まっている気配はありません。市場では0.25%の追加利上げが予想されていますが、一部では0.50%利上げの可能性も噂されています。利上げ幅はもちろんですが、次回以降の利上げに関してのヒントがあるかどうかにも注目をしたいと思います。
テクニカル的には
豪ドル円は上値は3月28日高値の94.31円付近をトップに4月5日、6日と94円台前半で上値を抑えられてしまいました（桃色帯）。これによって同水準が上値目途として意識されやすくなっています。上抜けるには相応の材料が必要となりそうです。一方で下値は、3月1日以降、日足一目均衡表・転換線がサポートして機能しています。この水準で買い参入も一考かと思います。3月31日の安値90.756円（水色線）を下抜けると上昇トレンドはいったん終了となります。節目となる90.00円や1月28日安値から3月28日高値を結んだフィボナッチリトレースメント（橙色線）38.2%戻しとなる89.00円近辺が下値目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足チャート・一目均衡表、フィボナッチリトレースメント】
予想レンジ：
AUD/JPY：90.00-94.50、NZD/JPY：84.00-87.00
4/11 週のイベント:
04/11 (月) 10:30 中国 3月消費者物価指数（CPI）(前年同月比)
04/11 (月) 10:30 中国 3月生産者物価指数（PPI）(前年同月比)
04/12 (火) 10:30 豪 3月NAB企業景況感指数
04/13 (水) 未定 中国 3月貿易収支（米ドル）
04/13 (水) 09:30 豪 4月ウエストパック消費者信頼感指数
04/13 (水) 11:00 NZ ニュージーランド準備銀行（RBNZ、NZ中央銀行）政策金利
04/14 (木) 10:30 豪 3月新規雇用者数
04/14 (木) 10:30 豪 3月失業率
04/15 (金)~17(月) 豪、NZ復活祭ウィークエンドで祝日休場
一言コメント：
プロ野球が先週開幕しましたね。テレビ中継を見ると超満員とはいかずとも、７～8割くらい（目測）はお客さんが入っているように見えます。プロ野球は今季から入場制限なしで試合開催とのことです。球場がしっかり換気をして、お客さんがルールを守ればなんとかなりそうですね。私は家でビール、ハイボールを片手にテレビ観戦しています。「季節も良くなってきたし、そろそろスタジアムに行きたいな～」と妻の顔色を窺っています。（笑）
外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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