ドル/円が121円を超えてきており、118円後半を超えてから全く押し目もなくレートを大きく押し上げました。
とりわけドルが強いわけでもなく、クロス円も同じぐらいの騰落率で上昇をしております。
変わらず豪ドル/円も強く、ポンドもインフレ率上昇懸念から上値を伸ばしている状況です。
先進国通貨で断続的な利上げが見込める通貨は、米ドル、ポンド、NZドルの3つが主導しており、続いて、カナダドルと豪ドルといった感じです。
但し、オーストラリアは輸出品目が鉄鉱石、石炭、金鉱石、小麦など、ロシアやウクライナでの輸出品目の代替手段となる品目を多く輸出しており、その6-7割程度を占めていることから、今後2年程度は見通しが明るいです。
こういったことから、オーストラリアに資本が集まりつつあるように感じます。そしてまだこれから利上げを開始する余地もあることから、織り込み度は先進国通貨の中で最も低い状況であったこともあり、投資選好されているように考えます。
対して、日本ですが、先日発表された消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.9%、他国と比べてその気配が全くなく、利上げする理由が全く見当たりません。
また日本銀行(BOJ)では黒田総裁が量的緩和の継続を示唆したことから、逆にファンド勢からも安心感を買ったのでしょうか、円だけを売って入れば良いという結論になったのでしょう。
各国インフレ率の上昇により、利上げ期待は正直、どこの通貨でも可能性がありました。
しかしながら、日本だけはインフレ率上昇にもならなければ、実態経済でも良い兆しも全くみられません。
こういった実態経済の乖離、先進国中銀のスタンスと真逆になれば、安心して円を売れる状況です。
当面、この流れは止まるようには思えません。筆者は先週後半からクロス円に強気になり、そのトレードを継続中ですが、まだまだまだ押し目も拾っていきたいと考えております。今日は個人的に注目しているポンド/円と豪ドル/円のチャート分析で進めたいと思います。
目次
▼ポンド/円 月足重要レジスタンスを突破!
▼豪ドル/円月足もブレイク間も無く、目指すはパリティ100円か?
ポンド/円 月足重要レジスタンスを突破!
ポンド/円月足チャートです。当コラムでは何度かご紹介していたポンド/円月足チャートですが、ようやく158円のレジスタンスラインを突破しました。
これにて、6年間形成してきたダブルボトムが完成となりました。
ネックラインは158円台になりますが、この上昇トレンドは強烈だと考えます。
今月BOEは1段階利上げし、政策金利を0.75%としました。欧州エリアはロシアからの貿易を断つ方向で調整中ですので、英国はさらに厳しいインフレ経済が向こう2年ほど待ち受けていると考えます。インフレ退治を先回りしなければ経済を立て直すことができませんから、しばらくはインフレ対応が優先されると考えます。ポンドも米ドルを変わらず断続的な利上げに迫られるでしょう。
テクニカル的にもRCI3本とも上方向に向いており、月足フィボナッチ50%戻しのラインも突破しました。
目先のターゲットは168.27に引けるレジスタンスラインとフィボナッチ61.8%戻し水準のクラスターポイントになります。今月〜来月にかけてこの水準が意識されるのではないでしょうか。
豪ドル/円月足もブレイク間も無く、目指すはパリティ100円か?
続いて豪ドル/円月足です。
90.40-50は2017年の高値水準になります。ここをブレイクすれば2015年につけた97円台が意識されるようになるでしょう。 こちらも同じくRCIは3本とも上方向、オーストラリアの貿易黒字は毎月5000億〜1兆円規模がこの12カ月連続している連発している状況です。
さらに今回のウクライナ情勢はコモディティ価格上昇により、おそらく貿易黒字は1~1.5兆円/月が連発されることが予想されます。わずか2500万人の人口でこれほどの貿易黒字をもたらす国は思いつきません。貿易黒字を人口で割った利益率ですらドイツを大幅に上回る状況です。(※2021年ドイツは円建てで貿易黒字が年間22兆円規模であり、人口は8300万人でした。1ユーロ=130円換算)
このように考えればオーストラリアに資本が向かうことは必然的でしょう。中長期的には1豪ドル=100円を意識しても問題はなさそうです。
正直、今の相場では円を売ればなんでも良いぐらいでは考えておりますが、その中でも最も効率よく上昇率が上位にくるであろう通貨ペアのポンド/円と豪ドル/円をピックアップしました。今日は中長期目線での月足トレードをご紹介しました。数カ月スイングトレードを実施する内容ですのでレバレッジ管理にはご注意いただき、ご興味持てば気長なトレードの参考にしていただければ幸いです。
【ひろぴー氏出演動画】
【インタビュー】
「初心者から上級者まで相場観が一致したときが一番危険」(前編)
<もくじ>
・幼稚園児 投資に目覚める
・どこか引っかかる感じを大切に
・個人投資家におすすめ書籍と読む時期
「低勝率型こそ1憶円への近道」(中編)
<もくじ>
・勝率は低いほうがいい
・その失敗が糧となる!?
・他の金融商品も考え方は一緒
・日銀緩和のときに活きた投資の勉強
・決済はむずかしい
・低レバレッジでリスクを抑える
「はじめて話す 外為注文情報 活用法」(後編)
<もくじ>
・損切り注文の功罪
・シグナル、逆シグナル
・検証の果てに
・ローソク足は基本どおり見る
・外為注文情報の活用
・レポートの勧め
FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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